The Journal of JASTRO
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5 巻, 4 号
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  • わが国における物理・技術を中心にして
    尾内 能夫
    1993 年 5 巻 4 号 p. 229-244
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    日本における放射線治療の歴史を物理・技術的観点から概観した.外部放射線治療機器について, 用いられてきた放射線の種類の変遷とテレコバルト, 直線加速器, べータトロン, マイクロトロン等の設置台数及び使用許可台数ならびに加速器の最高X線エネルギー別と最高電子線エネルギー別設置台数の年次推移を示し, 治療装置の質の変化を述べた.外部照射の関連装置として, 患者データ取得装置, ビーム修正用器具と製作装置, 患者設置用器具及び照射部位と患者線量の確認機器の変遷を概説し, X線シミュレータとX線CTの設置台数の年次推移を示した.密封小線源治療器具について, その線源の変遷及び密封小線源使用許可施設数と遠隔操作式後充填機器の設置台数の年次推移を示した.また, 治療に用いられた非密封線源について概観した.さらに, 絶対線量の評価法, 線量モニタシステム, ビームデータ取得装置の変遷にふれ, 光子ビーム治療と電子線治療, 密封小線源治療及び非密封線源による内用療法における線量計算法ならびにコンピュータを用いた線量計算システムの計算法と計算結果の表示法の推移を述べ, 治療計画装置の設置台数の年次推移を示した.外部放射線治療法と密封小線源治療法の変遷について, 主として空間的線量分布の観点から記述した.
  • 池崎 廣海, 池田 郁夫, 高山 誠, 楠田 順子, 西沢 かな枝
    1993 年 5 巻 4 号 p. 245-252
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    高エネルギーX線ナロー・ビームを使用するradiosurgeryを施行するためにフィルムによる出力係数 (FA) 測定と線量分布測定に関する問題点の検討を行った.10Mvx線と6Mvx線のMixDpファントム深さ3cmにおける黒化度一線量曲線の相対値 (同じ黒化度を得るための線量比) は1.004であった.ブロード・ビーム (照射野10×10cmから4×4cm) において指頭型電離箱とフィルムによるFAは1%以内で一致した.ナロー・ビーム (照射野直径3cmから1cm) のFA測定もブロード・ビームのFA測定の延長上でフィルムを用いて行うことは可能であると考えられる.固定ビームの線量プロフィールにおいてフィルム法, 0.0092ml指頭型電離箱およびTLDによる曲線はほぼ一致した.またMixDp深さ3cmと10cmの黒化度-線量曲線から求めた線量の差は3%であり, radiosurgeryの照射方法から得られる線量プロフィールはフィルム法で行っても実用上問題がないと考えられる.
  • 小幡 康範, 津坂 昌利, 藤井 洋司, 清水 弥生, 金子 勝太郎
    1993 年 5 巻 4 号 p. 253-260
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1981年と1983年にCohenが報告した各臓器の障害に対する時間線量分割関係式から各臓器に対するTDF算式を求め, 線量分布図から臓器別のTDF分布図を計算し, 表示できるようにした.食道癌を例に照射法と総線量による臓器別TDF値の分布を計算し, その差を評価できた.今後, 臓器別のTDF分布図は治療計画の評価の上で非常に参考になるものと考えられる.
  • 早川 和重, 三橋 紀夫, 斉藤 吉弘, 山川 通隆, 中山 優子, 片野 進, 古田 雅也, 新部 英男
    1993 年 5 巻 4 号 p. 261-269
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    肺類表皮癌は, 限局性発育を示しながら気管支に沿って連続性に浸潤し, かつリンパ行性に順次進展することから局所療法である放射線治療にとっては好条件をみたしている腫瘍といえる.ところが, 放射線治療の対象となる症例の多くは, すでに縦隔リンパ節転移や遠隔転移を有しており, 原発巣の制御が直接予後と結びつかないことが少なくない.そこで, 縦隔リンパ節転移の認められない肺類表皮癌の放射線治療成績を分析し, 局所制御と予後に及ぼす因子について検討した.対象は, 群馬大学病院で, 1976年から1989年までの間に根治的放射線治療を行った肺癌患者のうち, 胸水貯留を伴わなずNOならびにN1と診断された肺類表皮癌患者94例とした.治療は10MVX線を用い, 86%の患者に縦隔照射を行った.総線量は単純分割照射法で60Gyから80Gyの照射を行った.全体の2年, 5年生存率はそれぞれ44%, 22%で, 中央値MsTは17か月であった.Perfbrmance status (PS) 別では, PS 0-1の患者の予後がPS2以上の患者にくらべ良好であった (中央値, 22.5か月対12か月, p<0.05).T病期別ではT260例の予後がT324例の予後より良好であった (中央値, 19か月対13.5か月, p<0.1).腫瘍径では, 径5cm以下の47例の2年局所再発率は25%であったのに対して, 5cmを越える症例の2年再発率は39%であり, 両者の生存率には有意差が認められた (p<0.01).総線量では, 80Gy以上照射された症例の局所再発率は60-74Gy照射例に比し低く, 20%にすぎなかったが, 呼吸不全となる例が多くみられ, 5年生存例は認められなかった.予防的縦隔照射線量についてみると, 原発巣の再発例を除くと, 40Gy以上照射された照射野内の縦隔再発は認められなかった.縦隔へ40Gy以上照射された症例の5年生存率は32%であったが, 40Gy未満の症例では9%であり, 両群間に有意差が認められた (p<0.05).年齢, 性別, 原発巣の発生部位では生存率に差は認められなかった.以上の結果から, 縦隔リンパ節転移を伴わない切除不能の肺類表皮癌に対する放射線療法は, 根治を期待しうる標準的治療法であると考えられた.
  • 根本 建二, 宮地 秀夫, 坂本 澄彦
    1993 年 5 巻 4 号 p. 271-276
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    血管とその周囲組織が染まる蛍光色素Hoechst 33342とマウス腫瘍を用い, 放射線照射後の腫瘍内血管密度と色素で染まる範囲の経時的変化とそれに伴う腫瘍への薬剤 (CDDP) 到達性の変化に関して検討を行った.腫瘍は比較的放射線感受性の扁平上皮癌 (SCC) と放射線抵抗性の繊維肉腫 (Fib) を用いた.25 Gyl回照射後の血管密度の変化は, 縮小を認めるSCCでは一旦低下した後再増殖と共に増加していた.これに対して縮小を認めないFibでは腫瘍の増大と共に低下する傾向がみられた.CDDPの急速静注後の腫瘍内濃度の変化もぼぼ血管密度と相関して変化していた.特に血管密度が大きいときには静注後2分のCDDP濃度が高いのが特徴的であった.CDDPの腫瘍内到達性の変化の指標としては血管密度の方が染まる範囲より優れていた.Fibrosarcomaでは照射後3日目に蛍光色素で均一に腫瘍が染まり血管の透過性の上昇を示すと思われた.
  • 標的容積外に障害を起こさぬために
    稲田 哲雄, 高田 義久, 舘野 之男
    1993 年 5 巻 4 号 p. 277-284
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    治療専用加速器からえられる高品質の陽子線を想定し, そのブラッグ曲線を算定した.これに基づいてSOBP幅1, 2および3cmの深部線量分布を求めた.他方, 直径1, 2および3cmの球形ターゲットを肺野に設定し, これらに最適な陽子線照射条件を求めた.入射線量を最大ターゲット線量の10%以下に抑えるには直径1cmのターゲットで4-5門, 2cmで5-6門, 3cmで6門照射を必要とし, その場合のターゲット周囲の線量急増域の平均線量はそれぞれ1) 7%, 12-15%および12-13%であった.
  • 広田 佐栄子, 副島 俊典, 押谷 高志, 久島 健之, 上田 英二, 大林 加代子, 高田 佳木, 木村 修治
    1993 年 5 巻 4 号 p. 285-292
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1984年以降, 兵庫県立成人病センターにおいては上咽頭癌に対して新しいプロトコールを作成し加療にあたっている.本論文では, 1984年から1991年の問にこのプロトコールにて治療された未治療上咽頭癌33症例について解析を行った.また, 対象として1972年から1983年にかけて当センターにて治療された86例の上咽頭癌症例を選んだ.経過観察期間は全例2年以上であった.
    我々のプロトコールにおける治療方針の要点は,
    1) CDDP (但し, 70歳以上はCDDP以外を使用) を用いた放射線化学療法
    2) 40Gy照射終了時点での腫瘍残存症例およびT4症例に対する10-20Gyのブースト照射
    3) 予防的頸部照射, である.
    プロトコールにて加療した症例群は対象群と比較して有意に良好な5年生存率 (56.6%vs47.6%, p<0.05) 及び低い局所領域再発率 (18.2%vs48.8%, p<0.01) を呈していた.生存率の差はTl-3及びNO-2の症例において有意であったが, T4, N3症例においては有意ではなかった.また, ほとんどの症例においてプロトコールは安全に施行することができた.
  • 小池 幸子, 安藤 興一, 池平 博夫
    1993 年 5 巻 4 号 p. 293-301
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    C3Hマウスに移植した2種類の線維肉腫を用いて, 低酸素細胞の性格と微小血流との関係を調べた.小さいNFSa腫瘍は細胞生存率曲線に放射線抵抗成分を示した.この成分は人為的に腫瘍全体を低酸素状態にしたとき得られる生存率曲線と平行していた.腫瘍が大きくなると, 低酸素成分はDo値不変のまま上方へ移動し, その結果低酸素分画は3.9%から40%への増大した.R1137腫瘍では, 大きさにかかわらず放射線抵抗分画が認められなかった.しかし, 大きなRll37腫瘍では放射線抵抗性低酸素細胞が含まれており, Do値は常酸素と低酸素の中間を示し, ミソニダゾール投与により増感された.従がって, NFSa腫瘍中の低酸素細胞は分画を形成するが, R1137腫瘍中のそれは中間状態の低酸素細胞であった.ガドリニウム造影核磁気共鳴法により, NFSa腫瘍が大きくなると血流量パラメータと血管床容積パラメータが有意に減少することが判った.R1137腫瘍でも同様な減少が認められた.小さな腫瘍中の血流量パラメータと血管床容積パラメータはNFSaの方がR1137よりも高い数値を示していた.腫瘍が大きくなると, NFSaはR1137よりも高い血流量パラメータを示したが, 血管床容積パラメータに関しては逆であった.血流量パラメータのみでは腫瘍低酸素状態を把握できないが, 血流量パラメータと血管床容積パラメータの比をとると分画形性低酸素細胞と中間性低酸素細胞の違いが分かれることが示唆された.
  • M. Heinrich SEEGENSCHMIEDT, Rolf SAUER
    1993 年 5 巻 4 号 p. 303-326
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    This overview summarized the most important clinical fundamentals to implement combined hyperthermia (HT) and radiotherapy (RT) in clinical trials and reviews clinical HT-RT data obtained in superficial and medium depth tumors treated with external heating devices.
    In the first part we discuss the following clinical fundamentals: selection of appropriate clinical sites for HT-RT studies, selection of suitable HT-devices, priniciple design of clinical HT-RT studies, requirements for treatment prescription, relevant treatment endpoints, definition and assessment of a thermal enhancement ratio (TER) and therapeutic gain factor (TGF), impact of prognostic parameters on treatment stratification and statistical evaluation.
    In the second part we review and discuss clinical results of thermoradiotherapy (HT-RT) for advanced breast carcinoma, recurrent breast cancer, advanced head and neck tumors, cervical neck node metastases, malignant melanomas and residual microscopic disease. In addition, clinical results of pilot studies are reviewed, which have applied a triple modality approach of thermo-radiochemotherapy (HRC) for various tumors. Finally, possible future perspectives of clinical HT-RT research are outlined.
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