近年, 直線加速器を用いた高エネルギーX線ナロー・ビームによるstereotactic radiosurgeryに対する関心が高まりつつある. 直線加速器によるstereotactic radiosurgeryを施行するためには高エネルギーX線ナロー・ビーム用コリメータの作製, 高エネルギーX線ナロー・ビームの線量測定および照射方法などの基礎的問題の検討が必要である.
今回は照射方法にっき検討を行った. 照射方法を検討するにあたり, 直径9mm, 18mm, 27mmφの照射野を得ることができる高エネルギーX線ナロー・ビーム用コリメータを作製し, ナロー・ビームのTPR (Tissue Peak Ratio) と線量プロフィール測定を行った. 線量プロフィールと等線量分布図から今回作製したコリメータを用いることによりradiosurgeryに使用することに充分満足のできるナロー・ビームを得ることができた.現在radiosurgeryに用いられている主な照射方法 (Dynamic Rotation, 歳差集光法, Multiple Non-Coplanar Converging Arcs法) を頭部ランド・ファントムを用いて比較検討を行った. またコンピュータによる3次元計算で求めたビームの軌跡図からも比較検討を行った.各照射方法とも一長一短はあるが, 軌跡図や線量分布図からはDynamicRotationと歳差集光法を組み合わせた方法Dynamic Spiral lrradiationが優れている.しかし, この方法には患者を坐位で回転することが可能な治療台が必要である.現在, 各施設で使用されている治療機や治療台の大きな改造を行わずに比較的簡便に照射が施行でき, また軌跡図や線量分布図も比較的満足できる方法としてMultiple Non-Coplanar Converging Arcs法がstereotactic radiosurgeryには最も適した照射方法と考える.
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