The Journal of JASTRO
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5 巻, 3 号
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  • 外部光子照射治療
    入船 寅二
    1993 年 5 巻 3 号 p. 153-163
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療計画装置を用いて, 外部光子照射治療計画を行う場合の問題点, 特に線量計算について述べた.使用者は線量計算アルゴリズムと, その精度を充分に理解していなければならない.即ち, 基本線量分布データの取得と計算マトリックスの大きさ, 不規則形照射野, 不均質部補正を含む各種補正法, などである.この内, 重要なのは不均質部補正である.現在用いられている方法は, 光子フルエンスを2次元 (又は1次元) で計算し, 2次電子の寄与についての考慮がないので, 10MV以上のX線では, 条件により補正しない場合より精度が悪くなることがある.又, 他施設や既刊の基本データを使用している施設があるが, 基本線量分布が不正確であれば, 線量計算アルゴリズムの精度を検討する以前の問題となる.
  • 線源-減衰板間距離が線量分布に及ぼす影響
    垣花 泰政, 末山 博男, 中野 政雄, 金城 司, 真栄城 守侯, 佐方 周防
    1993 年 5 巻 3 号 p. 165-171
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    電子線による全身皮膚照射時に, 電子線エネルギーを低下させる目的で用いる減衰板の, 線源からの位置及び厚みが線量分帥に与える影響について検討した.本研究において次のような点を明らかにした.減衰板を患者側に設置する利点は1) X線混入率の低下, 2) 患者皮膚表面で線量率が高くなる, ことである.5mm厚減衰板の場合, 1) X線混入率は1m位置で15%, 3.5m位置で8%である, 2) 3.5m位置における線量率は1m位置の約2倍となる.結論として, 減衰板はできるだけ患者近くに配置した方が全身皮膚照射に適した線量分布となる.
  • 塚田 博
    1993 年 5 巻 3 号 p. 173-180
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1968年から1991年まで当院で経験した1期非小細胞肺癌放射線治療例49例の局所非再燃率および生命予後に影響を及ぼす因子を, 単因子解析と多変量解析により検討した.局所非再燃率に関しては, いずれの因子にも有意性はみられなかった.予後に関しては, 単因子解析では血清アルブミン, 血清LDH, 呼吸機能および縦隔照射の有無の4因子が有意な因子として認められ, Coxの比例ハザードモデルを用いた多変量解析では, 血清アルブミン, 血清LDHおよび年齢の3因子が有意な因子として認められた.特に血清アルブミンは, PSよりも客観的に患者の全身状態を表わす指標として有用であると考えられた.
  • 河守 次郎, 鎌田 力三郎, 佐貫 栄一, 太田 岳樹, 前野 俊雄, 山口 哲司, 齋藤 勉, 熊谷 曜子, 浦橋 信吾, 武藤 晴臣
    1993 年 5 巻 3 号 p. 181-188
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    電子線腔内照射による舌癌治療における頸部外照射の頸部リンパ節転移の予防効果について検討した.1967年~1988年までにTl-T2NO舌扁平上皮癌新鮮例は102例あった.これらのうち原発巣が制御されなかった症例を除く89例を検討対象とした.89例のうち47例は電子線腔内照射に頸部予防照射が併用され, 残りの42例は, 電子線腔内照射単独であった.頸部リンパ節転移は23例に発症した (25.8%).頸部予防照射施行群では, 12例に発症し発症率は25.5%であった.非施行群では11例に発症し26.2%で有意差はなかった.しかし40-50Gy照射された群では, 3例が発症し14.3%で非施行群より発症率が有意に低かった (P<0.05).また40から50Gy照射された群では, 照射野内からの発症は1例のみであった.5年累積生存率は40から50Gy照射された群では94%で, 非施行群の85%を上回っていた (P<0.05).以上から, 電子線腔内照射における40から50Gyの頸部予防照射は, 頸部リンパ節転移を抑制し有用であると思われた.
  • 菅原 正, 水谷 好秀, 仲澤 聖則, 大河原 清
    1993 年 5 巻 3 号 p. 189-196
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1976年から1985年までの間に, 根治照射を受けた147名の子宮頸癌患者の晩発性腸管障害の発生に有意な影響を及ぼす因子についてretrospectiveに検討した.照射は全骨盤腔照射 (WPI) 20-50Gyの後, 高線量率腔内照射 (ICI) によりA点へ総線量22.5-36Gy/5-8F/2.5-4週が照射された.IIb-IV期には, スプリット照射野による傍結合織照射10Gyが用いられた.これらの患者の晩発性腸管障害発生のactuarial rateは, 5年間で26.4%であった.晩発性腸管障害頻度と相関する因子として比例ハザート法による多変量解析によって推計学的に有意であった患者因子は, 年齢 (60歳以上), 高血圧の既往, 長い子宮頸癌症状の持続期間, 腹部と骨盤部の炎症の既往の4因子であった.治療因子としては, WPIとICIの直腸前壁の分割線量, 外照射とICIによる直腸前壁の総線量が障害と有意な相関を示した.照射期間と障害は相関を示さなかった.
  • 照射方法の比較検討
    高山 誠, 楠田 順子, 池崎 廣海, 池田 郁夫, 西沢 かな枝, 古屋 儀郎
    1993 年 5 巻 3 号 p. 197-207
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    近年, 直線加速器を用いた高エネルギーX線ナロー・ビームによるstereotactic radiosurgeryに対する関心が高まりつつある. 直線加速器によるstereotactic radiosurgeryを施行するためには高エネルギーX線ナロー・ビーム用コリメータの作製, 高エネルギーX線ナロー・ビームの線量測定および照射方法などの基礎的問題の検討が必要である.
    今回は照射方法にっき検討を行った. 照射方法を検討するにあたり, 直径9mm, 18mm, 27mmφの照射野を得ることができる高エネルギーX線ナロー・ビーム用コリメータを作製し, ナロー・ビームのTPR (Tissue Peak Ratio) と線量プロフィール測定を行った. 線量プロフィールと等線量分布図から今回作製したコリメータを用いることによりradiosurgeryに使用することに充分満足のできるナロー・ビームを得ることができた.現在radiosurgeryに用いられている主な照射方法 (Dynamic Rotation, 歳差集光法, Multiple Non-Coplanar Converging Arcs法) を頭部ランド・ファントムを用いて比較検討を行った. またコンピュータによる3次元計算で求めたビームの軌跡図からも比較検討を行った.各照射方法とも一長一短はあるが, 軌跡図や線量分布図からはDynamicRotationと歳差集光法を組み合わせた方法Dynamic Spiral lrradiationが優れている.しかし, この方法には患者を坐位で回転することが可能な治療台が必要である.現在, 各施設で使用されている治療機や治療台の大きな改造を行わずに比較的簡便に照射が施行でき, また軌跡図や線量分布図も比較的満足できる方法としてMultiple Non-Coplanar Converging Arcs法がstereotactic radiosurgeryには最も適した照射方法と考える.
  • 小泉 正, 副島 俊典, 廣田 佐栄子, 大林 加代子, 石田 輝子, 高田 佳木, 吉田 祥二, 木村 修治
    1993 年 5 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1962年から1986年までの25年間に当院で加療した子宮頸癌新鮮症例のうち, 5年以上追跡可能であった2465例の二次癌について検討した. そのうち放射線治療群は1502例, 手術単独群が963例であった. 二次癌としては5年以上の潜伏期をおいて他臓器に発生したものとし, 危険率はSchoenbergが提唱した人年法で算出, 有意差検定はO/E比を用いて検討した. 観察された二次癌は放射線治療群で42例, 手術単独群で8例であった. 放射線治療群における二次癌42例のうち直腸癌は6例, 膀胱癌は4例でO/E比はそれぞれ4.02, 7.98と有意に発生率が高かった. 直腸癌は6例中当院で手術された3例は潜伏期は最短9年, 最長21年でいずれも子宮頸癌に対する放射線治療後より慢性放射線直腸炎の症状を呈していた. そのような症例では放射線誘発癌の可能性も考え, 注意深い経過観察が必要と考えられた.
  • Charn Il PARK, Hyong Geun YUN, Young Soo SHIM, Noe Kyung KIM
    1993 年 5 巻 3 号 p. 217-225
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    Two hundred fifty-three patients with clinical stage III non-small cell lung carcinoma treated by radiation therapy alone at Seoul National University Hospital between 1979 and 1987 were retrospectively analysed. Median follow-up period was 52 months, ranged from 44 to 100 months. One hundred twenty-four patients were stage IIIA and 103 patients were stage IIIB. The overall survival at 2 and 5 years for all patients was 14.8% and 4.3%, respectively with median survival of 9 months. No difference was observed in median survival time between stage IIIA and IIIB (10 vs 9 months p = 0.29), in 2-year survival rate (18.4% vs 10.5%) or in 5-year survival rate (4.9% vs 3.5%). In a multivariate analysis, N-stage was related to survival. For stage IIIA patients, the 2-year survival rate with NO-1 and N2 was 32.5% and 12.8%(p=0.0056), respectively. For stage IIIB patients, the 2-year survival rate for N0-2 and N3 was 12.8% and 6.4%, respectively (p=0.05). A total of 198 patients had failed after treatment. Of 178 patients who were evaluable for the failure sites, local failure alone and as a component of overall failures occurred in 100 patients (56%) and 28 patients (16%), respectively. Distant metastasis was noted in 44% of the overall failures.
    As local failure is a major component of overall failure, new therapeutic strategies should be considered in the management of stage III non-small cell lung carcinoma.
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