The Journal of JASTRO
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15 巻, 1 号
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  • 窪田 宜夫, 町田 光, 岡田 忍
    2003 年 15 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療の失敗の大きな原因の一つは, 局所制御の失敗である. 腫瘍細胞, 特に放射線抵抗牲の腫瘍の腫瘍細胞の放射線感受性を薬剤で高める試みは, 以前から実験的に研究されてきたが, 臨床的に使われるようになった放射線増感剤は少ない. 近年, 分子生物学の進歩により, DNAの二重鎖切断の修復機構が解明されてきた. このような基礎的な知見にもとづいで, 修復機構の阻害剤の放射線増感効果について検討した. 今回, 得られた結果からは, PI3Kの阻害剤であるwortmanninは, DNA-PKとATMの両者の阻害を通して放射線増感効果を引き起こずことが考えられだ. また腫瘍内微小環境因争の一つである低pH環境にある細胞, あるいはプラトー期の細胞では, PI3K阻害剤の放射線増感効果が大きく見られること, またp53遺伝子のstatusによらず放射線増感効果を引き起こすことなど, PI3K阻害剤の放射線増感効果の特徴は, 臨床の放射線増感剤として期待が持てるものである. 今後, 臨床応用可能な薬剤の開発が期待される.
  • RALS位置決め画像におけるI. I.-DR画像利用の問題と対策
    源 貴裕, 小田 雅彦, 中江 保夫, 上紺屋 憲彦, 中尾 宣夫
    2003 年 15 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    RALSでは患者体内に挿入する密封線源の位置を取得するため, 2方向から撮影された模擬線源のX線フィルム像から3次元的な線源位置を再構成する方法が用いられている. この線源位置再構成には数種の方法があるが, いずれにおいても幾何学的精笈が線源座標位置そして線量分布の評価に大きく影響する. 最近ではRALSにおいて透視による位置確認や回転機構を有するなど取り扱いの簡便さからCアーム装置を使用している施設も少なくない. しかしながら, Cアーム装置を使用したI. I.-DR画像を用いる場合, 機械的な精度やI. I. の蛍光面による歪みが生じる.そのためRALS位置決め画像においてI. I.-DR画像は用いられず, Film撮影に依存している.
    そこでわれわれは, Cアーム装置の簡便性およびデジタル画像の特性を坐かしつつ, I. I.-DR画像に婦する歪み補正を行ったRALS位置決めシステムを構築した. それにより線源位置座標の再構成精度を1mm以内に保ち, 尚且つ作業の簡素化, 治療時間の短縮が図れた.
  • 新部 譲, 唐澤 克之, 貝津 俊英, 家城 隆次, 石川 仁, 田中 良明
    2003 年 15 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】当院では1999年9月から, 中等量の1回線量を用いて肺腫瘍に対する3D-CRTを施行している. 今回, 初期治療成績を検討したので報告する.
    【対象と方法】1999年9月から2001年5月までの間に, 3D-CR7を施行した肺腫瘍患者18症例, 20腫瘍を対象とした. ただし, これらの症例は, すべて以下の条件を満たすものである. 最大腫瘍径: 5cm以下, V20: 20%未満, 中等量の1回線量: 3-4Gy/回, Perfomance Status (PS): 0-3 (ただし, 患者の年齢, 呼吸機能は問わない). 対象症例の平均年齢は75. 4歳 (54-86). 肺腫瘍の原発部位別では, 14症例, 14腫瘍が原発性肺癌であり, 4症例, 5腫瘍が転移性肺腫瘍で (結腸, 食道, 胸腺, 肺 (原発に対しても3D-CRT施行)), 1症例, 1腫瘍は肺癌再発例であった. 3D-CRTの治療方法については, 6-10門のnon-coplanarの周定多門を用い, 1回線量3-4Gyで, 平均総線量62, 0Gy (51-64) 施行した. 全治療期間は平均28窪であつた (24-36).
    【結果】全症例での1年局所劇御率, 粗生存率はそれぞれ, 87.7%, 94.1%であった, 原発性肺癌症例のみで疲, 1年局所制御率, 糧生存率はそれぞれ909%, 92.3%であった. 肺に対する有害事象についでは, 臨床症状を虜するようなGrade 2以上の有害事象が生じた症例はなかった.
    【結語】当院で施行している中等量の1回線量を用いた肺腫瘍に対する3D-CRTは, 良好な局所制御が得られた上, 重篶な有害事象が生じなかったことからは, 今後有用な治療法となる可能性が示唆された.
  • 濱本 泰, 新野 恵司, 石山 博條, 小池 修治, 細矢 貴亮, 青柳 優
    2003 年 15 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    山形大学附属病院では頭頸部扁平上皮癌新鮮症例のうち局所進行例を中心にシスプラチンの超選択的大量動注と放射線治療を欝用し, さらに必要に応じて手術も加えた集学的治療を行っている. その局所効果と有害事象について調査した. 対象は1998-2000年に超選択的動注と放射線治療を施行した上顎洞癌10例 (T3;1例, T4;9例), 口腔癌3例 (T2;1例, T4;2例), 中咽頭癌5例 (T2;2例, T4;3例) の計18例である. シスプラチンを週個, 100-150mgずつ超選択的に動注し, 同時にシスプラチンの全身毒性を軽滅するためにチオ硫酸ナトリウムを上大静脈内に投与した. 動注翻数は2-9園 (平均4. 9回), 照射線量は40-70Gy (平均56. 8Gy) であった. CRは上顎洞癌で10例中7例, 口腔癌で3例中2例, 中咽頭癌で5例中2例に得られた. 適宜, 手術を加えた結果, 上顎洞癌と口腔/中咽頭癌の2年局所制御率はそれぞれ80%, 63%で, T4症例に限ると上顎洞癌, 口腔癌/中咽頭癌でそれぞれ78%, 40%であった, 2年生存率は全体で88%, 上顎洞癌で90%, 口腔/中咽頭癌で86%であった. 局所再発の発生例ではいずれも6ヶ月以内に発生していた. チオ硫酸ナトリウム併用により, シスプラチンの全身への毒性は軽慶であったが, 局所の軟部組織に潰瘍や撰孔形成が3例にみられたが, いずれもシスプラチンの総動注量が1,000mg以上または照射線量が70Gyに達する症例であった. シスプラチン超選択的大量動油併期の放射線治療は局所進行頭頸部癌, 特に上顎洞癌の局所制御率および生存率の改善や手術縮小, 根治的手術の適応拡大に有整と考えられた. シスプラチンや放射線の投与量が多いと局所軟部組織の障害がみられることがあり, 注意を要する.
  • 奥村 雅彦, 西村 恭昌, 橋場 久幸, 鈴木 実, 澄田 貢, 村野 喜彦
    2003 年 15 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    当院では2000年12月より頭頸部腫瘍ならびに頭蓋内腫瘍に対して強度調放射線療法(Intensily Modulated radialion therapy, IMRT) の臨床応用を開始した.当院でのIMRTにおけるquality assurance (QA) の現状を報告する.IMRTは, 4MV X線を用いたdynamic multi-leaf collimator IMRTを用い, 治療計画は, inverse planningで行っている.最適な治療計画の決定は, 複数のプランを立てて検討するため約2日を必要とし, ファントムによる各ビームならびに総ビームの線量測定, アイソセンタの設定に約3日を要する. 線量プロファイルにおける計算値との誤差は; ほぼ2mm以内とよく一致した. 出力測定においては実測値が計算値より低くなる傾向を示した, IMRTのQAではMLCの位置精度が最も重要となる. 当院では, 半導体プロファイラーを用いて, 始業前ば全ビームの線量プロファイルの測定を行い, 線量プロファイルの変紀の確認を行っている.また, 週1回のフィルム法でMLC位置精度確認を行っている, この方法は, 0.2mmのMLC位置変化の認識が可能であり精度が高い. QAプロトコルはIMRTを安全に遂行するために重要であり, わが国でのIMRT統一QAガイドラインの作成が急務と考えられる.
  • 最適化プログラムについての検討
    隅田 伊織, 吉岡 靖生, 田中 英一, 井上 武宏, 井上 俊彦
    2003 年 15 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    前立腺癌に対する高線量率組織内照射において,“最適化” アルゴリズムであるgeometrical optimlzatlon法とdose point optimization法とを用い, 各々の線量投与点を変化させた場合の線量分布を比較検討し, DVH (dose volume histogram) から算出したcoverage index (CI) およびdose non-uniformity ratio (DNR) を指標として評価した.Geometrical optimization法では, 処方線量を投与する等線量曲線を, 各々アプリケータから3mm, 5mm, 10mmの点を通る曲線として比較した, 3mmのように近いと, CIは90%に満たなかった.5mmおよび10mm外側ではCIは良好であったが (97%, 100%), 10mm外側ではDNRは0.84と高い値を示し, ターゲット内にhigh dose volumeが多くなった.一方, dose point optimization法では, CTV表面に線量投与点を置いたとき, CIは72%となり, 本来CTV表面に指定された線量を投与するはずのdose point optimization法が, その機能を必ずしも発揮しないことを示した. CTVから5mmおよび10mm外測の曲面上にdose pointを置いたときにはCIは良好となったがく91%, 100%, その際はDNRが0.64, 0.85と高い値を示し, high dose volumeが増大した. いずれの “最適化” プログラムを使用するにあたっても, 他の条件により必ずしも良好な線量分布が得られるわけではないので, 作成した線量分布の適否を放射線治療医が判断し治療計画を行うべきである.
  • 染谷 正則, 中田 健生, 永倉 久泰, 大内 敦, 坂田 耕一, 晴山 雅人
    2003 年 15 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】当院で頭部放射線治療を行った小児血液腫霧患者の遅発性有害反応について検討した.
    【対象・方法】初発年齢15歳以下, 放射線治療後無病生存で2年以上経過観察した症例でALLに対しProphylactic Cranial Irradiation (PCI) を行った28例と, ALL, AML, CML, MDS, Aplastic anemia, Malignant lymphomaに対しTBI-BMTを行った14例. 性別は男児28例, 女児14例, 初発年齢は2~15歳. 治療はPCI群で化学療法+PCI 18~24Gyが投与され, TH群では紀学療法+TBI 3~12. 8Gy+BMTが投与された,
    【結畢・結論】遅発性有害反応として,-2S. D. 以下の低身長を4例, ホルモン補充が行われたものを3例, 精神運動発達運延を2例, 白質脳症を3傍, 二次癌の発生を重例に認めた. PCI群においては, 原発轍性腺機能不全や精神運動発達達延, 白質脳症, 抵身長などの遅発性有害反応は, 治療開始年齢3歳以下で220y以上の汐CIを行った症例や, 再発にて救済治療が行なわれた疲側において認められ, 特に18GyのPCIでは運発性有害反応が少ないことが示唆された. また再発後救済油療を行う際には遅発性有書反応のリスクが増大するため, Informed consentの際にはこの事実の説明を怠ってはいけないことが明らかと思われた.
  • 日本放射線腫瘍学会・データベース委員会
    西尾 正道
    2003 年 15 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    霞本放射線腫瘍学会データベース委員会による放射線治療施設構造調査が行われた. 調査は2001年末現在の状況を問うアンケート形式により746施設に対して費われ, 637施設 (85%) から回答を得た. 集計修業過程で廃院や治療機器を廃棄した施設を除外すると, 2001年に放射線治擬を実施していた施設は7G7施設と推定されるが, そのうち分析可能と判断した603施設 (85%) を対象どして集計を行なった. 2001年の一年間に放射線治療に登録された新規患者数は118,016人であり, 未回答施設の推定値を加え補正すると, 約13万人が放射線治療を受鐘てお吟, 漸増傾向が続いでいる現状が示された.
  • 第2回放射線治療談話会アンケート調査結果
    齋藤 勉, 石橋 了知, 奥村 敏之, 唐澤 克之, 関根 広, 高橋 健夫, 西口 郁, 幡野 和男, 古川 雅彦, 村山 重行
    2003 年 15 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    [目的] 関東地方にある放射線治療施設に協力を得てアンケート調査 (第2回) を行い, 患者に対する説明や同意書などインフォームド. コンセントの実体を調査した.
    [対象・方法] ゲジケート依頼を連絡可能な関東地方の167施設に平成13年4月に郵送し依頼した, 調査結果は平成8年に行なった初回調査結果と比較した
    [結果] 90通の返答があり, このうち雛通が有効回答だった. 初回調査と比し腫瘍医数, 専属技師数. 物理士数に有意な変動はなかった. 一万, 初回調査と比し年間治療開始患者数は平均241人から286人に増加し (p=0.30), 両調査に回答した施設では有意差が認められた. 癌告知の割合が癌患者の半数以下しか実施されていない施設は13%に減少し, 告知を患者の半数以上に行なっている施設数は初回調査と比し有意に増加した. 説明時に75%の施設で同意書を取得していないが, 初回調査と比し有意に減少していた. 初回調査に比べ鋭明は全体に詳しくなり, それは放射線治療の目的, 放射線治療の方法, 予想される有害事象において顕著であった.
    [結論] 放射線治療患者数が増え説明をより詳しくするようになったが, 腫瘍医数は増加しておらず. 同意書を敬得する施設も増加したがまだ少数であった.
  • 黒崎 弘正, 岡崎 篤, 丸野 廣大, 宇木 章喜
    2003 年 15 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    医学・医療の分野でも情報公開化が推進されつつあり, 積極的にハイパーサーミアを知りたい, ハイパーサーミアを受けたいという患者さんが増えつつある. 今回, ハイパーサーミアについてのセカンド・オピニオン目的に虎の門病院放射線科を受診した患者を対象に検討を行なった. 対象は2000年4月から20Ol年12月までに虎の門病院放射線科をハイパーサーミアのセカンド・オピニオン目的で受診した12名を対象に検討を行なった. 男性8名, 女性4名; 平均年齢は53歳であった. 紹介状を有する患者が8名; 写真を持参した患者が11名であった. なお当院の温熱装置はThermotron RF-8である, 診察は1回もしくは2回行なわれ, 費やされた時間は0.5~3時間 (中央値1.5時間) であった. 診察の結果, ハイパーサーミアの適応と判断された患者は2名にとどまっていた. また, ハイパーサーミアに関する情報源はl2名中9名でインターネットであり, そのうちの7名はYahoo!Japanで「温熱療法」で検索し, 当院を受診していた, 患者サイドでは「ハイパーサーミア」という言葉よりも「温熱療法」という言葉が使われていることが分った. また, インターネット上を含めハイパーサーミアの情報量が少なく, 啓蒙活動の必要性が示唆された.
  • 古山 浩子, 溝江 純悦
    2003 年 15 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    当施設内で使用している複数の治療計画装置問で治療計画データを交換できるシステムを開発した. 対象とした装置は, 当施設で開発した炭素イオン治療計画装置と商用治療計画装置である. このシステムにより各装置のソフトウェア資源を炭素イオン治療箭画およびその解析に統合的に使用することが可能となった. 腫瘍・標的体積および臓器領域の輪郭, および線量分布をRTOGデータ交換フォーマットのファイル経由で交換する. ソフトウェア実装上の問題としてCT座標との位置合わせや線量分布インポートの方法を述べた. テストの結果, 輪郭と線量分布の交換後位置ずれはCT画像1ピクセル以内であった. この交換システムは臨床および研究に有効利用されている. 炭素イオン治療計画で画像位置合わせや線量分布の比較などが用例としで挙げられる. また, DICOMRT情報オブジェクトとの双方向変換にも用いている.
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