The Journal of JASTRO
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6 巻, 3 号
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  • 滝沢 正臣
    1994 年 6 巻 3 号 p. 127-134
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療における電子的な画像保管 (PACS) の可能性と構築法について述べた.放射線治療用PACSは, 大型のシステムが愛知がんセンターで稼働し, 放射線治療の効率化に役立ちつつある.しかしながら, 高額の運用コストやマンパワーの点から, 本邦の一般的な放射線治療システムにおけるPACSのモデルにはならず, 小型で操作性にすぐれ, かつ経済性の高いシステムが必要である.ここでは, 放射線治療用画像管理調査での結果をふまえて, 小型の放射線治療用画像管理システムのネットワークによるモデル, IS & C規格によるモデルを提案した.
  • THERAPEUTIC RESULTS IN A SERIES OF 57 PATIENTS
    高邑 明夫, 有本 卓郎, 鎌田 正, 白土 博樹, 富田 雅義, 北原 利博, 鈴木 恵士郎, 影井 兼司, 西岡 健
    1994 年 6 巻 3 号 p. 135-142
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1973年1月から1987年7月までに下咽頭癌57例に対して根治的放射線治療を施行した.40例は放射線単独治療, 17例は照射後再発に対して救済手術が行われた.T3-4期は46%であり, 頚部リンパ節転移は58%に認めた.50例に対しては1回分割線量2.5Gy, 週4回照射法で総線量60Gy以上 (通常70Gy/28分割/7週) を照射した.他7例には50-55Gy/16分割/4週の短期照射を施行した.全体の2, 5, 10年累積生存率はそれぞれ37%, 19%, 12%であった.病期別5年累積生存率は1期100%, II期27%, III期11%, IV期13%であった.患者背景因子の単変量解析の結果ではT病期 (T1-2対T3-4) と病期 (1期対III期及びIV期) が5%の有意水準で5年生存率と関連していた.再発は86%に認めた.再発率は1期0%(013), II期78%(8/11), III-IV期95%(41/43) であった.局所領域再発は77%に認めた.局所領域再発の80%は初回治療後2年以内に生じた.遠隔転移は10例に認めた.7例 (12%) に重複癌を認めた.2年咽喉頭温存率は25%(14/57) であり, このうち71%(10/14) がT1-2であった.現在, 11%(6/57) の患者が良好な咽喉頭機能で4年以上 (54-167カ月) 生存している.7例が54-167カ月の範囲で無病生存中であり, その43%はI-II期であった.うち2例は根治的頚部郭清術あるいは咽喉頭全摘出術により救済を受けた.早期癌は放射線治療による局所制御の可能性があったが進行癌では制御困難であった.下咽頭癌においては局所領域再発のみならず遠隔転移も少なくないので放射線治療による腫瘍制御効果を増強するためには化学療法のような全身的な補助療法が必要であると思われる.
  • CHNICAL RESULTS AND CONSIDERATIONS
    神宮 賢一, 上原 智, 三好 真琴, 大曲 淳一, 生島 仁史, 和田 進, 島村 易, 松井 正典, 舛本 博史, 有地 栄一朗, 森口 ...
    1994 年 6 巻 3 号 p. 143-149
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1979年2月から1991年3月までの間に, 密封小線源治療を受けた, T1, T2の口腔底癌患者は46例であった.4例は局所再発, 放射線障害共に無かったけれども, 2年以内に他病死したので, 局所制御率, 放射線障害発生率の算出からは除外した.
    42例の2年局所制御率は93%(39/42) であった.密封小線源治療単独群では, 100%(27/27), 外照射および化学療法併用群では, 80%(12/15) であった.線量効果関係でみると, 密封小線源治療による70Gyでの治癒率88%, 外照射を加えた80Gyでの治癒率90%で, 制御率向上はなかった.腫瘍の進展範囲でみると, 歯肉浸潤群, 口腔底限局群, 舌浸潤群の制御率はそれぞれ75%(6/8), 100%(19/19), 93%(14/15) で, 差は無かった.
    下顎骨露出を指標とした2年放射線障害発生率は, 10%(4/42) であった.密封小線源治療単独群では7%(2/27), 外照射併用群では13%(2/15) であった.線量効果関係でみると, 障害発生率は密封小線源治療による70Gyでは5%で, 外照射を加えた80Gyでは13%と急激に増加していた.腫瘍の進展範囲でみると, 歯肉浸潤群, 口腔底限局群, 舌浸潤群での障害発生率はそれぞれ13%(1/8), 5%(1/19), 13%(2/15) で, 差は無かった.
    T1及びT2口腔底癌患者の局所制御率は密封小線源による70Gyからは, 外照射を加えても向上せず, 一方放射線障害は急速に増大していた.腫瘍の進展方向では大きな差は無かった.従って, 腫瘍が歯肉に及んでいる症例でも, 密封小線源単独で治療した方が外照射を併用するより良いと考えられた.
    重複癌は28%(13/46) に認められた.特に消化管に多く, 治療前, 及び経過観察中での全身検索の必要性が示唆された.
  • 今中 一文, 坂口 俊也, 児玉 明久, 泉山 一隆, 岡本 欣晃, 河野 通雄, 平塚 純一, 今城 吉成, 広田 佐栄子, 副島 俊典
    1994 年 6 巻 3 号 p. 151-158
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1961年8月から1993年10月までに126例, 143病巣の乳癌術後で他臓器転移のない, 胸壁・局所リンパ節再発に対して放射線療法を行なった.再発部位は, 胸壁66病巣 (結節・散布型49, びまん性浸潤型17), 鎖骨上窩リンパ節47病巣, 腋窩リンパ節21病巣, 胸骨傍リンパ節9病巣である.全体のCR率は73%で, 胸壁結節・散布型が84%と最も良好で, 胸壁びまん性浸潤型が35%と最も不良であった.再々発は照射野内外それぞれ6例 (64%) の頻度で認められ, びまん性浸潤型で照射野外に多く見られた.
    切除後病巣に対しては照射線量50Gyで94%の制御率が得られ, 切除しない3cm未満の病巣では70Gyの照射線量でCR率67.6%, 3cm以上の病巣では68.4%であった.
    全体の再発後5年生存率は37%で, これを局所効果別にみると, CR症例では48%, PR以下の症例で9%と有意にCR症例の予後が良好であった.部位別では胸壁結節・散布型の5年生存率が76%と最も良好で, 胸壁びまん性浸潤型, 鎖骨上窩リンパ節転移の予後が不良であった.
    以上の結果より, 乳癌術後の胸壁・局所リンパ節再発に対する放射線療法は有用な治療方法と考えられるが, さらに治療効果をあげるためには胸壁びまん性浸潤型と鎖骨上窩リンパ節転移に対する検討が必要である.放射線療法単独では限界があり, 前者に対しては局所制御率を向上させるような, 後者には遠隔転移巣を考慮に入れた併用療法が不可欠と思われる
  • 陽子線照射による急性期皮膚反応について
    河島 光彦, 奥村 敏之, 立崎 英夫, 辻 比呂志, 辻井 博彦
    1994 年 6 巻 3 号 p. 159-168
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    皮膚の色調を連続変数を用いて量的に表示し客観化する目的で, 工業用分光測色計によって皮膚の色調を明度 (L*), 彩度 (C*) および色相角度 (h) で表現することの有用性を検討した.印刷や塗料と違い, 人間の皮膚は正常な状態においても血流変化などの生理的因子や物理的刺激などにより微妙に色調が変化すると考えられる.しかし今回の検討では, この分光測色計によって皮膚の色調を量的に表示する際の誤差範囲は十分に容認できると考えられた.
    L*, C*, hの各パラメータでは, L*およびhにおいて照射野で治療の進行と共に有意にその値が低下した.C*においては明らかな照射に伴う表色値の変動は見られなかった.
    さらにL*では正常皮膚での測定誤差も小さく, かつ照射の進行に伴う表色値の低下も治療期間との間に高い一次相関があった.このためL*を指標に用いることによって正常皮膚の色調や, その陽子線照射に伴う変化を高い精度で, かつ一次回帰という簡便な回帰法で評価しうることが示された.
    さらに症例を蓄積することにより, 照射に伴う表色値の時間的推移を明らかにする必要があるが, 今後本法を陽子線のみならずX線や電子線等にも応用して, 表色値を指標とした分割照射の等価線量の算定といった放射線生物学的検討を行なえるものと考えられる.
  • 唐澤 久美子, 兼安 祐子, 田中 真喜子, 喜多 みどり, 鈴木 恵子, 大川 智彦
    1994 年 6 巻 3 号 p. 169-179
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1966年1月から1993年5月までに, 我々の施設にて15例の聴器悪性腫瘍患者に対し放射線療法を施行した.年齢は, 3歳から81歳, 平均52歳で, 男性10例, 女性5例であった.原発部位は, 12例が外耳道, 3例が中耳と考えられた.Stellが提唱した癌腫のT-stage分類に基づきT分類を行うと, Tl: 4例 (うち肉腫1例), T2: 8例 (うち肉腫1例), T3: 3例, UICCのNM分類別ではNO: 13例 (うち肉腫2例), N1: 1例, N2: 1例, 全例M0であった.組織学的には, 扁平上皮癌10例, 腺様嚢胞癌3例, 脂肪肉腫, 横紋筋肉腫がそれぞれ1例であった.治療は, 手術と放射線療法の併用が12例, 放射線療法単独が3例であった.放射線療法の併用は, いずれも術後に行なわれ, 照射線量は, 3歳と5歳の小児ではそれぞれ31Gy, 50.4Gyであったが, その他の例では電子線照射の1例の48Gy (TDF 88) を除き60から66Gy (TDF 98-103) が照射された.現在までの観察期間は11か月から15年3か月である.局所制御率は73%で再発率27%であった.累積5年生存率は, 52.6%であるが, 累積5年原病生存率は, 65.8%であった.急性の副作用は, 照射野内の軽度の放射線皮膚炎, 粘膜炎のみで特に加療を必要としなかった.晩期障害としては, 小児照射例の1例に, 15年後に軽度の側頭骨発育不全が認められたのみで, その他現在までに重篤な副作用は認められていない.聴器悪性腫瘍に対する手術と放射線療法の組み合わせは有効な治療法と考えられた.
  • 真里谷 靖, 竹川 鉦一, 樽澤 信子, 渡辺 定雄, 青木 昌彦, 甲藤 敬一
    1994 年 6 巻 3 号 p. 181-192
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療を1施行した中咽頭癌48例の治療成績について検討した. Kaplan-Meier法による5年累積生存率および5年累積局所制御率は, それぞれ54. 5%, 53. 6%であった. 死因はすべて腫瘍死であり, 大部分が局所の制御失敗によるものであった. 予後を考える上で重要な因子として, 臨床病期 (特にT因子), 病理組緯型, 腫瘍細胞動態, 照射期間, 照射線源などが考えられた. 併用化学療法の有用性は明らかでなかった.組織内照射のboost照射への利用, 進行例での外科的治療の積極的な併用が望まれた.
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