The Journal of JASTRO
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2 巻, 4 号
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  • Lester J. PETERS
    1990 年 2 巻 4 号 p. 247-253
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    Although several rare congenital syndromes are associated with hypersensitivity to radiotherapy, the extent to which genetic factors modulate the radiosensitivity of cells from “normal” individuals is largely unknown. Some evidence exists that fibroblasts from apparently normal patients who sustained unusually severe radiation reactions are more radiosensitive in vitro than cells from patients treated similarly whose reactions were not excessive. Other data show that tumor cells from cancers that recur after radiotherapy are on average less radiosensitive in vitro than cells from tumors that are cured. Finally, there are fragmentary clinical data suggesting that a correlation may exist between the severity of normal tissue reactions to radiotherapy in a given patient and the probability of tumor control. All of these data are consistent with the hypothesis that genetic factors modulate the radiosensitivity of both normal and neoplastic cells from patient to patient. If this hypothesis is true, development of assays precise enough to identify patients who are significantly more or less radiosensitive than average would allow radiation doses to be titrated according to individual radiosensitivity with an improvement of the therapeutic ratio for all patients.
  • 血中濃度および副作用の検討
    藤田 昌宏, 真崎 規江, 村山 重行, 又吉 嘉伸, 池田 恢, 清水谷 公成, 井上 俊彦, 小塚 隆弘
    1990 年 2 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療に少量のCisplatin (CDDP) を連日同時併用した頭頸部癌症例52例 (5mg/m2:31例, 6mg/body: 21例) について副作用を検討した. うち8例について血清CDDP濃度を測定した. CDDP5mg/m2を併用した6例について毎回のCDDP静注前に残存している血清全CDDP濃度は7日目に0.35-0.64μg/ml, 14日目に0.42-0.91μg/ml, 20-21日目に0.60-0.82μg/mlと漸増傾向を示した. さらに, 2例についてCDDP投与開始後11または16日における血清中の蛋白非結合型CDDP濃度は, 5分後:0.34,0.38μg/ml, 30分後:0.14, 0.16μg/mlであった. この治療による2度以上の急性障害の頻度は, 悪心・嘔吐:4例 (8%), 白血球減少:11例 (21%), 血小板減少:4例 (8%) であった. 骨髄抑制はCDDP総投与量120mg以上の26例では42%,それ未満の26例では12%にみられた. 明らかな腎障害は認められず, 血清クレアチニンの一時的な上昇 (1度) が3例に認められたのみであった.
  • 藤巻 高光, 松谷 雅生, 高倉 公朋
    1990 年 2 巻 4 号 p. 263-273
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    Glioblastoma 47例 (初回治療26例, 放射線治療直後13例, 臨床“再発”8例)に術前にbromodeoxyuridine (BUdR) を投与, 摘出組織を抗BUdRモノクローナル抗体を用いて染色し, S期細胞標準率 (LI) と臨床経過との関連を検討した.[1] 初回治療時のBUdR LIは3.9~17.4% (平均8.2%) であった. 再発までの期間中央値は, 5%未満が15ヵ月, 5%以上 (19例) で6ヵ月であり, 死亡までの期間中央値はそれぞれ30ヵ月, 16ヵ月と,どちらも有意の差であった. BUdR陽性細胞は血管内皮細胞増殖を伴う血管の周囲において多い傾向を認めた.[2] 放射線治療直後ではLIは平均3.8%に低下し, 1%未満を示した例の照射線量は1%以上例に比し有意に多かった. 照射線量増加につれてLIは低下する傾向を認め, LI0.1%未満を示した最少線量は外部照射70Gyであった. LIと生存期間との間には負の相関を認め, 再発期間および生存期間は1%末満群と5%以上群の間で有意の差を認めた.照射後の病理組織所見は,(a) 内皮細胞増殖を示す血管が閉塞しその周囲が全壊死となる.(b) 同血管が部分的に開存し, 周囲に細胞質腫大や多核化などの変化を受けた細胞が生残し, 一部BUdRの取り込みを認める (LI1~2%前後).(c) 開存した毛細血管周囲に形態変化を受けた細胞が生残し, その間に小型ないし中型の紡錘型細胞,星状細胞が散在し, BUdR LI 2~5%以上を示す. [3] 照射終了後7ヵ月以上を経て“再発”手術となった8例の検討では, LIは0.1%未満~17%と広範囲に分布し, 0.2%以下を示す4例と2%以上を示す4例の2群に大別できた. 前者の前照射線量は後者より多く, 摘出組織所見は広範な凝固壊死巣が主体で, 一部に腫瘍細胞が観察された. 良好な予後を期待し得る0に近いLIを得るには, 最低70Gy程度の照射が必要である. しかし高線量照射により拡大性の腫瘍部放射線壊死巣が生じる可能性があり, 再発との鑑別診断と治療が今後の問題となる.
  • 井上 俊彦, 手島 昭樹, 茶谷 正史
    1990 年 2 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    子宮体癌の罹患率の増加とともに, その放射線治療症例が近年増加してきた. 我々は過去12年間子宮体癌の高線量率腔内照射法について改良を重ねてきたので報告する. 1977年から1988年の間に大阪府立成人病センターで照射された67例の子宮体癌のうち, 内科的あるいは技術的な問題で手術非適応になった13例に対して高線量率腔内照射法を用いた根治照射が実施された. その治療法は使用したアプリケータによって3群に分かれた. A群ではポリエチレンタンデムチューブと癌研式コルポスタットがManchester法に準じて用いられた. B群ではCADO-E I型子宮体癌アプリケータが, C群ではCADO-E II型子宮体癌アプリケータが用いられた. 線量分布に関する検討では, CADO-E II型子宮体癌アプリケータの使用で満足すべき結果が得られた. 高齢・重篤な合併症あるいは進行癌症例を対象にしたために, 3年以上の生存例は4例と少なかった. しかし, Tla症例では8例中7例に骨盤内病巣の局所制御が出来たので, 高線量率腔内照射による長期生存の可能性が十分に示唆される成績であった.
  • 白土 博樹, 高邑 明夫, 有本 卓郎, 鎌田 正, 辻井 博彦, 入江 五朗
    1990 年 2 巻 4 号 p. 283-295
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1971年から1984年までに治療された96名の中咽頭扁平上皮癌について解析した. 全員週4回照射にて2.5Gyから3.45Gyまでの数種類の一回線量が試された. 全例の5年生存率は32%であり, 2年以上観察し得た71例の局所制禦率は照射単独で37%であった. 局所制禦の指数関数モデルでの等効果曲線の傾きは, T1-3に対して4週から7週において0.38であった.50%局所制禦率の等効果曲線がlinear-quadraticとすると, α/β は1.8となり低い値を示した. しかし, 晩期障害のα/β はさらにそれより低い傾向を示していた.
  • 治療法変遷による比較
    斉藤 泰博, 菊池 雄三, 河井 裕, 今本 哲郎, 早坂 和正, 天羽 一夫
    1990 年 2 巻 4 号 p. 297-304
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1971年6月より1988年9月までの期間 (過去17年3カ月) に, 組織学的あるいは臨床的に頭蓋内原発のGerminomaと診断された31症例について, 放射線治療を行った. 照射法は1971年から1978年までは局所照射のみを, 1979年以降は全脳照射に局所照射を加えた. 局所照射単独例は13例あり, 照射線量は20Gy~50Gy/13f~28fで, 照射野は4×5cmから9×13cm (最多は8×8cm) であった. 全脳照射例は18例あり, 左右対向2門にて全脳へ30Gy/18f/4.5w照射後, 局所へ20Gy/10f/2.5wの追加照射を行った. 全症例の5年生存率は93.0%, 10年および15年生存率は84.3%であった. 局所照射例の5年ならびに10年生存率は84.6%, 76.9%であった. 全脳照射例では, 5年生存率100%で局所再発は認められていない. 頭蓋内再発は4例に認められ, いずれも局所照射のみ, もしくは40Gy/5w以下の症例であった. 脊髄予防照射は10例に対して施行された. 適応基準としては髄液中の腫瘍細胞陽性, または蛋白, 細胞数の増加例などに, 後方1門にて全脊髄に20Gy/10f/2.5w照射した. 治療中に髄液異常を認めたも看過された1例を除き (29カ月後に脊髄転移), 照射例, 非照射例いずれも再発は認められていない. Germinomaの治療法として全脳照射30Gy後に局所照射20Gyを追加した総線量50Gy/7w, また髄液所見による脊髄予防照射は有効な方法と考えられた.
  • 松岡 祥介
    1990 年 2 巻 4 号 p. 305-312
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    正常マウスの全身を薄板状 (2mm×3cm) 電子線錐を用いた櫛状に照射し, 不均等線量分布の正常組織への影響を定量的に調べた. 電子線は45MeV直線加速器からのものを用い, 照射はマウスをパルス式の遠隔移動台にのせ, 2mm幅 (beam width) の一本の線錐を用い行なった. 非照射野の幅 (Beam interval) を0mm, 1mm, 2mm, 3mm, 4mmに調整し照射し, その効果をLD50/30を指標にして調べた. 線量, 線量分布の測定はTLD (Termoluminescence Dosimeter) とFCR (Fuji Computed Radiography) imaging plateを用いて行なった. 一本のビームを照射した時の, ビーム中心, アクリルファントム表面の線量を指示線量とした. LD50/30はBeam intervalが0mmの場合, 9.3Gy, 1mmの場合, 10.2Gy, 2mmの場合, 15.0Gy, 3mmの場合, 26.3Gy, 4mmの場合, 29.8Gyであった. LdをLD50/30, Rvをbeam width/(beam width+beam interval), つまり照射野の全照射野に対する割合 (Relative volume) と定義し関係式 (1) を得た.
    Ld=8.21×Rv-1.12 (1)
    指数-1.12の95%信頼限界は-1.73と-0.52の範囲であり, この指数-1.12は統計的に-1.0と有意差がなかった. 指数が-1.0であると仮定するとLD50/30とRelative volumeの積が一定であることを示す. 照射は一本のビームで行なわれており, 照射により受けるマウスのtotal energy (integral dose) はbeamの指示線量と照射した全スリットビーム数の積に比例する. 一方, 照射したスリットビームの数とRelative volumeも比例関係にある. よって, この実験の範囲では, LD50/30はマウスが受けるintegral doseに依存し, beam intervalとは関係がないと考えられた.
  • 増永 慎一郎, 平岡 真寛, 芥田 敬三, 西村 恭昌, 永田 靖, 徐 志堅, 高橋 正治, 阿部 光幸
    1990 年 2 巻 4 号 p. 313-320
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    T1-4N0M0浸潤性膀胱癌に対する膀胱全摘術の術前療法としての温熱併用放射線治療の有用性を術前放射線単独治療と比較し検討した. 1980年10月より1983年10月まで京都大学医学部附属病院放射線科にて, Linac 10MV X線を用い全骨盤照射40Gy/20fr./4wk.(TDF=66) を術前に照射した群20例 (第1群), 1984年4月から1989年3月まで同様に24Gy/6fr./2wk.(TDF=53) を術前に照射した群24例 (第2群), 及び同期間内に24Gy/6fr./2wk. の術前全骨盤照射に加えて8MHzRF誘電加温装置を用いた照射直後40-60分間, 週2回, 計4回の加温療法を同時併用した群28例 (第3群) を対象とした. さらに第3群は, 膀胱内平均温度が41.5℃を越える高温度治療群と, 41.5℃以下の低温度治療群に分けられた. 高温度治療群においては, 第2群及び低温度治療群に比べてdown-stage率と癌組織の変性率が有意に高かった. また, 有意差を認めないものの高温度治療群の患者の局所制御率及び生存率は, 他群に比べ最善であった. 温熱治療に関連した合併症はほとんどが加温中の疼痛であり重篤なものは認めなかった. これらの結果は, T1-4N0M0浸潤性膀胱癌の術前治療としての温熱併用放射線治療の有用性を示唆するものと思われた.
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