The Journal of JASTRO
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4 巻, 1 号
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  • その実験的検討
    西岡 雅行, 藤岡 富雄, 桜井 誠, 中島 俊文, 小野山 靖人
    1992 年 4 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    生体の動きによる線量分布の変化を知る目的で, 照射時間内に往復運動させたMixDPにおける線量分布の変化をフィルム法を用いて検討した.照射はリニアック装置を用い, SSD 100cmでフィルム面に対し平行に10MVX線で2Gyの照射を行った.照射野の大きさは5×5から20×20cm2, 振幅は4.0cmまでとした.照射中の動きにより, 5cm深における80%線量域は縮小し, 20%線量域は拡大した.この変化は振幅の大きさと相関した.一方, 50%線量域の大きさは振幅, 照射野の大きさに関係なくほぼ一定であった.5cm深における80%と50%線量域の幅の比は動きにより低下し, 照射野が小さく, 振幅が大きい程, 低い値を不した.今回の実験の結果, 生体内の照射時間内の動きは照射野内の高線量域を縮小させ, target Volumeに限局した照射を妨げる因子である事が示唆された.
  • 橋村 孝久, 久島 健之, 児玉 明久, 坂口 俊也, 副島 俊典, 米澤 和之, 今中 一文, 河野 通雄, 大林 加代子, 高田 佳木
    1992 年 4 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1983年から1989年までの間に, 多剤併用化学療法後に胸部放射線治療を施行した限局型肺小細胞癌26例の治療成績を検討した.先行化学療法ではCR5例 (19%), 奏効率77%であったが, 放射線治療を追加することによりCR13例 (50%), 奏効率85%と局所効果の改善を認めた.しかし先行化学療法でPRであった2例は, 放射線治療中に脳および肝に転移巣が出現した.また化学療法後CR (IC-CR) 群は, 1年生存率10%, 3年生存率20%であるのに対し, PR以下 (PR, NC-IC) 群は1年生存率56%, 3年生存率10%であった.さらに中間奏効期間もIC-CR群は局所14カ月, 遠隔部位12カ月であるが, PR, NC-IC群は局所8カ月, 遠隔部位9カ月であり, CR-IC群のほうがPR, NC-IC群よりも生存率, 中間奏効期間が良好で, 局所再発率も低かった.以上よりsequentialな放射線治療は, 化学療法後CR群に対しては局所再発を抑え予後の改善に寄与し, 化学療法後PR以下の群に対してはCRに導入するための強力な局所療法として有用であるが, 化学療法で可能な限りCRに導入した後施行するのが望ましい.
  • 辻 比呂志, 辻井 博彦, 丸橋 晃, 早川 吉則, 稲田 哲雄
    1992 年 4 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    陽子線治療の特徴は優れた線量分布にあり, 周辺正常組織を避けながら, 病巣に高線量の照射を行なうことができる.この特徴を十分に活用するために, 陽子線治療においては, 高精度の照射位置の再現性を維持するための努力が要求される.そのため我々は, 照射部位の照準・確認システムを開発し, 陽子線治療を行なう際に毎回照射部位の確認を行ない, ズレのある場合には修正して治療を行なっている.今回, 52症例 (53病巣) について788回の照射部位の確認・修正における修正距離を計測, 分析したのでその結果を報告した.修正距離の全体の平均値は3.5mmで, 頻度で見ると3mm未満の修正の頻度が60.7%, 3.5mmが16.2%, 5mmを越える修正が23.1%であった.照射位置の再現性に影響する因子についての検討では, 照射部位や患者の年齢が重要であり, 高齢者や可動性の消化管腫瘍症例において, 大きな修正が高頻度に必要であった.性別, 固定具の有無, ビーム方向などについても検討したが, 大きな影響は与えていないという結果であった.これらの結果は, 陽子線治療における毎回の照射野の照準・確認が必須であることを示すと同時に, 通常の放射線治療においても, 特に根治を目的とした照射においては, 十分に配慮されるべき事実であると考えられた.
  • 茶谷 正史, 又吉 嘉伸, 真崎 規江
    1992 年 4 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1977年から1990年までに転移巣に対して放射線治療を受けた原発不明癌は31例で, この期間における放射線治療新鮮登録症例の0.7%,(31例/4654例) にあたる.平均年齢は56歳 (39-86歳) で, 男女比は25: 6である.初診時の転移巣は単発14例, 多発17例で, 転移部位は骨 (14例), リンパ節 (11例), 脳 (10例) が多く, 組織診断では腺癌が15例と最も多かった.生存率は1年31%, 2年16%であった.上中頸部リンパ節のみの転移で原発巣が頭頸部領域に疑われた2例に対しては, 咽頭領域と全頸部を照射野に含めた治療が行われた.この2例はそれぞれ50カ月, 12カ月非再発生存中である.上中頸部リンパ節転移のみの転移で原発巣が頭頸部領域に疑われる症例では, 根治的治療としての放射線治療の役割は大きいと考えられた.
  • 野崎 美和子
    1992 年 4 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    ヒトの奇形腫群腫瘍は原始胚細胞を起源とし, 細胞の分化過程で発生してくる腫瘍と考えられている.ラットでは, 妊娠初期に胎児を摘出して胎児膜を腹腔内に残しておくと, ヒト類似のヨークサック腫瘍が誘発されることが報告されている.今回, これらの報告に準じた胎児摘出術により腫瘍の誘発に成功し, 継代移植により長期観察可能な可移植性腫瘍を確立することができた.ここに, この腫瘍の生物学的・病理組織学的特徴と放射線治療実験への応用の可能性について検討したので報告する.誘発実験では, 腫瘍は近交系ラット (Wistar Mishima, WM/Ms) にのみ誘発可能でclosed colonyのWistarおよびDonryuラットには誘発されなかった.誘発抑制実験では, 胎児摘出術直後の腹部への200cGy照射により腫瘍の誘発は抑制され, 起源細胞の放射線感受性は高いと考えられた.移植実験では, 近交系およびclosed colonyのWistar系ラットに高率に移植が可能で, 担癌ラットの生存期間が長く長期観察可能で, かつ, 高頻度にリンパ行性転移が認められることが特徴的であった.病理組織学的にはPAS陽性の豊富な間質を特徴とし, 電顕で間質の基底膜様層状構造が証明され, これまでに報告されている実験的ヨークサック腫瘍と類似であった.継代移植腫瘍の照射実験では, 腫瘍細胞照射後の移植で腫瘍生着率・ラットの生存率に線量依存性があり, また, 照射によるBrdUrd標識率にも線量依存性が認められ, これらを指標として放射線治療実験に利用できると考えられた.放射線治療実験のなかで, とくに多分割照射やBRMとの併用実験は, 正常組織障害や延命効果の判定のためにヒト腫瘍と同じように長期観察することが望ましい.現有する実験動物腫瘍では担癌動物の生存期間がヒトに比べてはるかに短く, また, 長期生存しながらリンパ節などへの遠隔転移をきたすものが少ないので, 本腫瘍は長期観察を必要とする治療実験に有用であると考えられた.
  • 柏原 賢一, 西谷 弘, 竹川 佳宏, 岸 恭也
    1992 年 4 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌術後照射97例における予後因子について検討を行った.全例に広汎子宮全摘出術と骨盤内リンパ節廓清術が施行された.リンパ節転移陽性・労組織浸潤・脈管侵襲・膣摘出不十分・原発巣の大きい例・腺癌・腺扁平上皮癌・正常残存筋層3mm以下の症例に対して, 6MVX線にて全骨盤照射 (93例は中央遮蔽併用) を30-60Gy施行し, 4例に腔内照射を併用した.症例の臨床進行期はIb 37例, IIa 15例, IIb 45例で5年生存率は80.4%, 78.8%, 84.1%で全体では81.5%であった.再発は局所4例, 遠隔転移15例, 両者6例の25例に認められ, 再発期間も60%は2年以内であった.又, 再発後の1年生存率は50%と比較的良好であった.予後因子としては, 妊娠回数, 流産回数, 組織型, 労組織浸潤, 骨盤内リンパ節転移に有意差が認められた.早期障害のあるものは予後の良い傾向が見られるものの, 有意差を見るまでには至っていない.以上より, 適応を絞った子宮頸癌術後照射の有用性はあるものの, 今回の検討で有意差の見られた予後因子に関し, high risk groupに属するものに対してはさらにadjuvant chemotherapyなどの考慮が必要であると考える.
  • 障害の発生について
    加藤 真吾, 新部 英男, 早川 和重, 長谷川 正俊, 荒井 正彦, 三橋 紀夫, 三隅 修三, 田村 勝
    1992 年 4 巻 1 号 p. 55-62
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    Late radiation brain injury after treatment for pituitary adenomas was analyzed retrospectively. From 1970 to 1983, 53 patients with pituitary adenomas were treated at our clinic with postoperative radiation therapy (RT) or RT alone. During the period under study, patients were treated with various fractionation schedules. Initially, each fraction size was 2-2.5Gy, 5 days per week for a total delivered dose of 50-60Gy. Later the fraction size was changed to 3Gy, 3 days per week, for a total dose of 51-60Gy, to increase the rate of control of the tumor. The field size ranged from 9cm2 to 40cm2, and parallel opposed portals were used. Radiation brain injury was diagnosed clinically and radiographically with CT, 201T1-SPECT, 18FDG-PET. Radiation brain injury occured in 6 patients (1 patient had reversible injury, and the others had irreversible injury). Irreversible radiation injury occurred in patients who received more than 51Gy at 3Gy per fraction (51Gy, 1 case; 60 Gy, 2 cases), but did not occur in patients who received 50-60Gy at 2-2.5Gy per fraction. The case with irreversible injury who received 51Gy had severe complications after surgery, and that was suspected to be one of the causes of the injury. There was no relation between field size and radiation injury. We conclude that, radiation doses of 60Gy at 3 Gy per fraction do not seem to have any therapeutic advantage.
  • 神宮 賢一, 三好 真琴, 上原 智, 大曲 淳一, 和田 進, 宮崎 麻知子, 舛本 博史, 松井 正典, 島村 易, 平田 秀紀, 早淵 ...
    1992 年 4 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 1992/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    喉頭癌にFAR療法を応用した時の, 正常組織に対する効果増強は, 晩期反応を指標にすると, 腫瘍に対する効果増強よりも小さく, Therapeutic Gain Factorは1.35であると前に報告した.至適線量は, 喉頭癌のような中等度感受性の腫瘍では, 正常組織耐容線量で決められる.FAR療法での早期反応は強いので, 至適線量を決めるのに早期反応を指標とすべきか晩期反応を指標とすべきか判断は難しい.この正常組織耐容線量を, 長期間持続する潰瘍, 浮腫を指標として至適線量を発生率が急速に増大する直前の線量, 5%発生線量とすると, それは声門上部癌でTDF85, 声門部癌でTDF100であった.
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