The Journal of JASTRO
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9 巻, 4 号
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  • 高橋 正治
    1997 年 9 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    電子線術中照射の理論的背景と臨床に関する過去10年間の論文をレビューし,その流れについて述べた.電子線術中照射は世界的にみても膵癌が最大の標的であり,全症例の約50%を占めるが,他のいろいろな癌にも応用されてきた.しかし,その評価はまちまちであり,治療成績,副作用の頻度や程度に大きな幅があった.それは適応症例選択の問題や,照射技術のみならず外科技術を含めた各施設の治療の質に問題はないだろうか,などの疑問が残った.これらの問題を見極めたうえで,術中照射は再評価されるべきものと考えられる.
  • その背景と現状
    菅原 正
    1997 年 9 巻 4 号 p. 263-276
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療成績を改善する方策として近年行なわれている一日多分割照射の拠って来る背景と,種々の施設における局所制御率と正常組織障害の現状がレビューされた.腫瘍の局所制御の照射期間依存性は速い増殖速度(Teff)と加速再増殖に由来している.Teffの速い頭頸部扁平上皮癌では,70-81 Gy/6a7週のhyperfractionation(HF)や72Gy/5週のaccelerated hyperfractionation(AHF)+split course(SP)によっては高い晩発障害の発生頻度と比較的低い局所制御率が報告されている.54Gy/2週cHARTは晩発障害が低いが制御率も比較的低い.これら両者の中間の62Gy/4週のAHFは治療利得の点で良好と考えられた.α/β,α,Tκ,TI/2,Teffに適切と思われる値を代入して計算した生物学的等価線量から推定した利得因子(60 Gy conventionalfractionationを基準とした晩期反応組織に対する腫瘍の細胞致死効果比)は,上記の各施設による報告と同じ傾向を再現した.Teff≦4日の腫瘍では62 GyAHF,cHART,72 GyAHF+SPの利得が高いが,Teff≧5日の腫瘍では62 GyAHF,cHART,81 GyHFの利得が高い.特に,62 GyAHFはTd,の全領域で良好であり,今後の追試が必要である.
  • 坂出 耕一, 晴山 雅人, 大内 敦, 志藤 光男, 永倉 久泰, 森田 和夫, 原渕 保明, 形浦 昭克
    1997 年 9 巻 4 号 p. 277-284
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1980年より1994年までに放射線治療を施行した1, II期頭頸部非ポジキンリンパ腫107例を対象とした.治療は, 1980年より1986年までは放射線治療単独, 1987年以後は放射線と化学療法の併用療法を基本として行った.照射線量は, 39~48Gy, 照射野は, 眼窩, 鼻腔副鼻腔初発の場合は腫瘍の浸潤部位を, ワルダイエル輪, 頸部リンパ節等の初発は浸潤部位及び周囲のリンパ節を含めた.化学療法は, 1980年より1984年まではCOP, VEMP等アドリアマイシンを含まないregimenが, 1985年以降は, CHOPが施行された.
    107例中, 95例がCRとなった.CRが得られなかった12例中9例が鼻性T細胞リンパ腫 (進行性鼻壊疽) であった.CR後の照射部位内への再発は, 95例中, わずか鼻性T細胞リンパ腫患者1例にしかみられなかった.原病5年生存率は, ワルダイエル輪: 77%, 頸部リンパ節: 87%, 鼻腔副鼻腔: 47%, 眼窩: 95%で, 鼻腔副鼻腔は, 有意に (p<0.01) 予後不良であった.とりわけ, 鼻性T細胞リンパ腫は, 5年の原病生存率が27%と極めて不良であった.鼻性T細胞リンパ腫を除きかつ組織型が中等度または高度悪性群の77例で原病生存率に対する多変量解析を行うと, 年齢 (P<0.02) が最も有意な予後因子であり, 組織型, 5cm以上のbulky病変の有無及びアドリアマイシンの投与量は, 有意ではなかった (p<0.08).患者を60歳未満と60歳以上に分けて分析すると, 60歳未満の群では, アドリアマイシンを含む化学療法を施行された群では未施行群に比べ有意 (p<0.05) に予後が良好あった.しかし, 60歳以上の群では, 全く差がみられなかった.また, 60歳以上の群では, 5cm以上のbulky病変の存在及びstageが有意な予後因子であったが, 60歳未満の群では, 両群問に差がみられなかった.
    鼻性T細胞リンパ腫を除いた症例では, CR後の照射部位内の再発はみられず, 局所制御における放射線治療の有用性が示された.60歳以上の群では, 予後に影響を与えるほどの化学療法の効果はみられなかった.
  • 早渕 尚文, 鬼塚 昌彦, 芝本 雄太, 末山 博男, 福原 昇, 新部 英男, 村田 貴史, 西多 俊幸, 岸 和史
    1997 年 9 巻 4 号 p. 285-295
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1985年から1994年までの10年間に日本全国の62の主な放射線治療施設で治療された中枢神経初発のリンパ腫544例について報告し, 合わせて文献的な考察を加えた.
    年齢の中央値は61歳であったが, 全身状態の不良なPSの3と4の症例が半数近くを占めた. 明らかにAIDSに関連して発症したと思われる症例はなかった. 放射線治療は全脳照射と局所追加照射の組み合わせがほとんどで, それぞれの照射の線量の平均は37.0Gyと10.9Gyで総線量の平均は47.9Gyであった. 全脊髄への照射や髄注はほとんど行われていなかった. 全身化学療法は46%の患者に行われていたが, その半数以上の患者では2サイクル以下であった. 完全寛解は58%で, そのうち約半数に再燃がおこり, 再燃部位の70%以上は照射野内であった. 全症例の50%生存月数は19カ月で5年生存率は16.9%であった. 単変量解析では年齢, 全身状態, 腫瘍の個数, 播種の有無, B症状の有無, LDHのレベル, 放射線照射の線量などで治療成績に有意差が認められたが, 化学療法の有無によっては差が認められなかった. また, 多変量解析では年齢のみが治療成績に関係していた. 合併症の問題もあり, 放射線治療による局所コントロール率の向上はこれ以上は難しいと考えられ, 今後は化学療法を如何に組み合わせていくかが大きな検討課題と思われた.
  • 西村 哲夫, 野末 政志, 鈴木 一徳, 今井 美智子, 飯島 光晴, 金子 昌生
    1997 年 9 巻 4 号 p. 297-304
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    目的: HDR分割組織内照射を行った可動部舌癌の治療成績を検討した.
    対象と方法:対象症例は1992年10月より1996年3月までに治療した34例 (男22, 女12) で年齢は23~84歳 (平均57歳) だった. 病期はT1:3例, T2a (≦30mm): 12例, T2b (>30mm): 15例, T3:4例でいずれもNOだった. 腫瘍の厚みは10mm以下が27例, 11mm以上が7例だった. 治療方法は組織内照射単独: 8例, 外科切除後:3例, 全身化学療法先行:3例, 動注先行:14例, 外照射先行:5例, 動注+外照射先行:1例であった. アプリケータの挿入は全身麻酔下で行い, 線源より5mm外側を線量評価点として1日2回照射5日間10回の照射を標準とした. 組織内照射単独では60Gy, 外照射の併用では45~55Gyとした. 化学療法後の線量は肉眼的に腫瘍が消失したものに50Gy, 残存病巣に55Gyを照射することを原則とした.
    結果: 原発巣の局所再発はT2の5例 (14.7%) に認められた. 腫瘍の大きさ別の再発率はT1:013, T2a:3/12 (25.0%), T2b:2/15 (3.3%), T3:0/4, 厚さ≦10mm:5/27 (18.5%), 厚さ>10mm:017で大きさと局所再発には相関はなかった. 治療別には特に化学療法を先行させた17例は, 再発例が1例 (6.9%) と他の群に比べて良好な成績を示した. リンパ節転移は11例 (32.4%) に出現し, 原発巣の進行度 (最大径,厚さ) に比例して頻度が高くなる傾向にあった. 2年のcause specific surviva1は91%だった. 舌の潰瘍は評価可能26症例の中7例 (26.9%) にみられた. 動注後に60Gyを照射した群と外照射を併用した群に頻度が高くなる傾向にあった. 94年3月までの13例では6例 (461%) に認められた. 線源配置や線量により留意するようになったそれ以降の13例では1例 (7.7%) に減少した. 潰瘍はいずれも保存的処置で6ヵ月以内に治癒した. 骨露出は2例に認められた. 何れも初期のスペーサの装着が困難であった進行症例に見られた.
    結論:舌癌34例に対する初期のHDR分割組織内照射の成績を述べた. その成績に改善すべき点が残されているが, 初期の頃の技術的な問題点や線量配分を解決することにより辺縁再発, 潰瘍の発生を減少させることが可能と考えられた. ことに動注化学療法の先行した群では進行症例も含んで良好な局所制御が得られ, 進行症例にもこの治療法が適応になると思われる. 舌癌に対するHDR分割組織内照射はLDR持続照射に代わりうる可能性があるものと考えられ, 今後も臨床的検討を続けたい.
  • 清水 わか子, 荻野 尚, 石倉 聡, 河島 光彦, 池出 恢
    1997 年 9 巻 4 号 p. 305-311
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    食道癌扁平上皮癌に対する化学療法放射線治療同時併用療法の治療効果と予後について検討した.対象患者数は49例で臨床病期分類は食道癌取り扱い規約を用い, CDDP+5-FUと60Gyの同時併用療法を行った. 全症例の腫瘍消失率69.4%, 生存期間中央値 (MST) 12.3ヶ月, 局所制御期間中央値7.3ヶ月であった. 腫瘍消失例, 治療前嚥下障害のない症例, 治療後嚥下障害のない症例, 深達度A2以下の症例, および縦隔リンパ節転移陰性例のMSTはそれぞれ, 32.4ヶ月以上, 20.4ヶ月, 20.4ヶ月15.7ヶ月で, 予後良好であった. 食道癌扁平上皮癌に対するCDDP+5-FUと60Gyの同時併用療法は有効な治療方法であり, 嚥下障害の程度は予後の指標として有用である可能性が示唆された.
  • 萬 篤憲, 土器屋 卓志, 荻田 幹夫, 沓木 章二, 沖 陽輔
    1997 年 9 巻 4 号 p. 313-321
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    骨転移の疼痛緩和と照射線量の関係を検討した. 対象は1994年から1996年までに当院で放射線治療を行った93名181部位の有痛性骨転移とした.主な照射スケジュールは50Gy125回/5週, 40Gy120回/4週, 30Gy/15回/3週, 30Gy/10回/2週, 8Gy/1回/1日, 8Gy/2回/1週であったが, 全身状態が不良なために中止となった場合や4Gy/1f回のみの照射を行った場合についても疼痛評価を行った. 総線量を4-8Gy, 9-28Gy, 30-39.6Gy, 40-60Gyの4群に分類した. 疼痛の評価方法は, 照射直前, 照射後1週, 2週, 4週, 8週, 16週, 24週, 50週にRTOGのスコア法を用いて評価を行った. 疼痛スコアの奏効率は4-8Gy群では77%(34/44), 9-28Gyでは77%(24/31), 30-39.6Gyでは82%(44/54), 40-60Gyでは98%(51/52) であった. 疼痛スコアの著効率は4-8Gy群では46%(20/44), 9-28Gyでは52%(16/31), 30-39.6Gyでは45%(24/54), 40-60Gyでは75%(39/52) であった. いずれも40-60Gy群は30-39.6Gy群に比較して有意に良好であった. 経時的に線量別に疼痛スコアの奏効率を比較したところ, 線量群による差は明らかではなかった. 28Gy以下ではモルヒネ使用の継続が多かったが, 疼痛スコアの奏効率は良好であった. 40-60Gy群では, 鎮痛剤スコアの奏効率は24週以上安定して良好であった. 疼痛スコア・鎮痛剤スコア両者の著効率は40-60Gy群では他群に比較して高い傾向が見られ, 24週にわたり安定していた. 疼痛の再燃率は, 40-60Gy群ではそれ未満の線量に比較して少ない傾向が見られた. 薬剤を必要とする急性副作用は30Gy以上の照射において25%に認められた.
    予後不良と考えられた場合も30Gy未満の照射に鎮痛剤を適切に併用することにより疼痛緩和は良好であった. 一方, 全身状態が良好であり, 40Gy以上を照射した群においては, 鎮痛剤を使用せずに24週にわたり疼痛緩和が良好であった. 生命予後が半年以ドの場合には疼痛緩和のために30Gy以上の線量を照射する必要はないが, 長期予後が期待され, 少線量の照射効果が不十分であったり, モルヒネの長期・大量使用が困難な場合には40Gy以上の分割照射の適応があると考えられる.
  • 岩崎 晃
    1997 年 9 巻 4 号 p. 323-331
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    高エネルギー光子ビーム線量校IKに関して, JARPとAAPMプロトコールの相互比較を行った.ある与えられた照射条件下では, 両プルトコールは実質的に同じ結果を与えることが判った.JARPプロトコールで使用しているfcap, fmed, Aw, Cλ 係数を, AAPMプロトコールで使用しているパラメータでもって表した.電離箱壁とビルドアップキャップが異なる電離箱に対しては, Attixが提唱した空洞ガス校正係数 (Ngas) 式は, 必ずしも正確な吸収線量値を与えないことが判った.ファントム電子密度の違いによって生ずる散乱線量の増減分を補正するために導入した散乱補正 (ESC又はSC) 式の欠陥を, 密度比例尺度理論に基づいて指摘した.
  • 許 承宰, 禹 洪均, 金 源東, 安 鋪讃, 金 大容, 河 星換, 朴 賛一
    1997 年 9 巻 4 号 p. 333-337
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1983年から1993年までソウル大学校病院と順天郷大学校病院の治療放射線科で放射線治療を受けた断端癌19例の分析を行なった.放射線治療は外部照射単独, または外部照射と腔内照射を併用した.観察期間の中央値は39カ月であった.5年無病生存率および累積生存率は各々51%と70%であった.6例の骨盤内再発と2例の遠隔転移が認められた.TandemとOvoidを用いた腔内照射と外部照射を併用した群に比べて, 外部照射単独または外部照射とOvoidだけを用いた腔内照射を併用した群で, より高頻度に再発が認められた.Grade2の合併症は21%(4/19) に認められた.しかし致命的な合併症は認められなかった.断端癌の治療は放射線治療が主な方法でTandemとOvoidを用いた腔内照射と外部照射を併用した群で, 良好な結果を得ることができた.
  • 江部 和勇, 河村 光俊, 岡田 守久, 狩野 裕一, 辻 龍雄, 福田 てる代, 松永 尚文
    1997 年 9 巻 4 号 p. 339-344
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】表在性口腔癌に対して, 三者同時併用療法 (放射線+温熱+動注) を試みたので, その方法及び治療結果に関して報告する。【方法】口腔癌患者3人を対象とした。症例1, 2に三者同時併用療法が, 症例3に二者同時併用療法 (放射線+温熱) が施行された。作製した歯科用スプリントにマイクロ波アプリケータを固定し, そのスプリントを患者に装着した後, 放射線治療室にて加温が開始された。加温中 (病巣の表面温度=41-42℃) に, 放射線照射が施行された。抗癌剤は患側浅側頭動脈留置カテーテルより, 逆行性に96時間持続注入された。症例1では2回, 症例2では4回, 症例3では6回の同時併用療法が施行された。【結果】患者3人ともに, 一次効果CRが得られた。総線量は各症例で, 30Gy (症例1), 26Gy (症例2), 60Gy (症例3) であり・三者同時併用療法を施行した症例1, 2では, その総線量は低かった。副作用として口内炎が認められたが, 保存的治療にて治癒した。【結論】表在性口腔癌に対して, 新規に開発された三者同時併用療法 (放射線+温熱+動注) に関して, 主にその方法を報告した。
  • Ramona MAYER, Edgar PETRU, Gero LUSCHIN-EBENGREUTH, Dieter SZOLAR, Pet ...
    1997 年 9 巻 4 号 p. 345-348
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    A 26-year-old woman with two pregnancy terminations previously presented with a high-risk choriocarcinoma metastastic to the subcutaneous tissue and the lung. Curettage failed to demonstrate tumor cells. After chemotherapy with methotrexate and actinomycin D, the patient developed a solitary, 2-cm brain metastasis. She was referred to the University Hospital of Graz and received 5 courses of EMACO (etoposide, methotrexate, actinomycin D, cyclophosamide, vincristine) chemotherapy and whole-brain radiotherapy (40 Gy; daily fractions of 2 Gy). Fifty-four months after radiotherapy the patient is in complete remission with no neurologic deficits and able to work in her original profession.
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