日本補完代替医療学会誌
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12 巻, 2 号
日本補完代替医療学会誌
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 杉野 友啓, 山田 浩嗣, 梶本 修身
    2015 年 12 巻 2 号 p. 55-64
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,木の内装と間接照明を組み合わせた寝室環境による睡眠の質改善と疲労軽減効果について検討するため,健常成人男性を対象とした医学的試験を実施した. その結果,木の内装と間接照明を組み合わせた寝室環境は直接照明の寝室環境との比較において,セントマリー病院質問票による主観的睡眠評価から睡眠の質を改善すること,アクティブトレーサーによる自律神経機能評価から就寝時に副交感神経優位な状態へスムーズに移行すること,VASによる主観的評価から起床時の眠気および疲労感が軽減すること,およびATMTにおいて作業能率(パフォーマンス)が向上することが示唆された. 木の内装と間接照明の組み合わせは,就寝前に適した副交感神経優位な状態へスムーズに移行させる寝室環境をつくることにより,睡眠の質を改善し疲労を軽減させる機能性を有することが示唆された.
  • 平野 栄一, 山本 勝徳, 玉田 耕治, 郭 太乙, 森永 哲夫
    2015 年 12 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    【目的】ヒト胎盤抽出物(HPEx)の肝癌細胞における影響をin vitroにおいて解析した. 【方法】肝癌細胞株はHLE及びHuh-7細胞を用いた.細胞増殖に及ぼす影響及びsorafenibとHPExの併用効果はホルマザン染色法により検討した.HPExの正常細胞障害抑制効果は,実際の治療を疑似した方法,すなわちsorafenib前もしくは後処理のデータに基づいて構築された実験プロトコールを用いて分析した.細胞毒性はLDHアッセイにより測定した. 【結果】ヒト胎盤抽出物はHLE及びHuh-7細胞の増殖を用量依存的に有意に抑制した.ヒト胎盤抽出物とsorafenibの併用により肝癌細胞の増殖抑制は有意に抑制された.加えて,HPExは癌細胞に対するsorafenibの感受性を促進し,臨床治療を意図した全ての実験条件下のラット初代肝細胞におけるsorafenib誘導による細胞毒性を有意に抑制した.特にHPExによる前処理は後処理に比較してより効果的であった. 【結論】HPExは癌細胞の増殖抑制,sorafenibの癌細胞に対する感受性促進,正常細胞障害抑制効果を認め,HPExのこの3つ組機能は肝癌治療に役立つ.
  • 岡野 秀鑑, 上馬塲 和夫, 眞鍋 雄太, 柴田 和宏, 霜鳥 良雄
    2015 年 12 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    高齢化社会を迎え,認知症などの脳疾患に対する治療が必要とされている.筋肉の疲労や障害に対して手技マッサージが血行を促進するように,今回我々は浸透度が大きい長波超音波(30 kHz,2 mW/cm2以下)の経頭蓋微弱超音波振動刺激装置を用いて,健常者の頭蓋前頭部あるいは後頭部から照射することで,脳の血流がどのように変化するかを検討した. 方法は,本装置を前頭部あるいは後頭部に装着して,振動させる前後での脳内血流変化を測定した.すなわち,健常成人において,まず前頭部のみの照射でXeガスX線CT画像による測定を行い,次に,前頭部と後頭部の照射によるSPECT画像の変化を測定した.その結果,本装置の発する数ミリワットの微弱超音波振動により,脳血流量が増加することが示された.
  • 大桑(林) 浩孝, 藤田 貴則, 河田 拓也, 中野 長久, 太田 富久
    2015 年 12 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    黒ショウガ( Kaempferia parviflora ) はタイで古来民間薬として様々な疾患に対して利用されている.この黒ショウガからメトキシフラボン類が同定され,機能性について報告されているものもある.黒ショウガの80 %エタノール抽出物を樹脂に吸着させ,そのうち70 %エタノール溶離物を除去したあとの99.5 %エタノール溶離物中に5種類のメトキシフラボン; 5-hydroxy-3,7,3’,4’-tetramethoxyflavone, 5-hydroxy-7-methoxyflavone, 5-hydroxy-3,7-dimethoxyflavone, 5-hydroxy-3,7,4’-trimethoxyflavone, 5-hydroxy-7,4’-dimethoxyflavoneの含有を確認した.この5種類のメトキシフラボン混合物である99.5 %エタノール溶離物の安全性を検討するために,マウスを用いた28日間反復経口投与試験,および変異原性試験のうちマウス小核試験を実施した.その結果,28日間反復経口投与試験においては体重変化,血液学検査,臓器重量測定,血液生化学検査においては被験物質投与による有意な毒性は示されなかった.また,マウス小核試験において陰性の結果が得られ,被験物質は生体に対し,変異原性を有する可能性はないと考えられた.
  • 大野木 宏, 内藤 裕二, 東村 泰希, 宇野 賀津子, 吉川 敏一
    2015 年 12 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    フコイダンは褐藻類に含まれる硫酸化多糖である.われわれは,これまでに北海道函館近海に生育するガゴメ昆布のフコイダンに注目して,その化学構造を決定するとともに,動物試験やin vitro試験において免疫賦活作用を明らかにしてきた.本研究では,健常成人の免疫機能に対する有効性や安全性を評価した.30名の被験者に4週間,ガゴメ昆布フコイダンを含む食品(1日あたりフコイダンとして200 mg)またはプラセボ食品を摂取してもらい,全血液細胞におけるサイトカイン産生能の評価を行った.その結果,プラセボ食品摂取群においては摂取前後で多くのサイトカイン産生能の低下が認められたが,ガゴメ昆布フコイダン摂取群ではその低下が抑えられ,特にIFN-γやIL-2などのTh1型のサイトカインにおいてその作用が顕著であった.また,血液検査,尿検査においては臨床上問題となる症状は認められず,有害事象も認められなかった.以上の結果から,ガゴメ昆布由来フコイダンは健常者の免疫機能の低下予防や維持に有効な,安全な食品であることが示唆された.
  • 上馬塲 和夫, 許 鳳浩, 鈴木 信孝, 浦田 哲郎
    2015 年 12 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    ヘビースモーカーもしくはメタボリックシンドロームなどライフスタイルの異常などにより酸化ストレスが増大していると思われる健常人を対象として,アガリクス粉末製剤(BHNアガリクスエキス末)1包 (2.5 g) あるいは3包 (7.5 g) を4週間摂取させ,その安全性と免疫能やQOLなどに対する有効性を検討した.被験者45名から文書による同意を取得した後,ランダムに3群に割り付けた.対照群15名(男8名/女7名;42±8歳;BMI 22.6±3.5 kg/m2;BP 120±15/79±8 mmHg),1包摂取群15名(男10名/女5名;43±8歳;BMI 23.9±4.5 kg/m2;BP 125±17/75±14 mmHg),3包摂取群(男10名/女5名;44±6歳;BMI 23.9±4.4 kg/m2;BP 119±17/78±17 mmHg)に対して安全性とインスリン抵抗性 (HOMA-R) ,免疫パラメーター,QOL調査 (SF36) を摂取開始直前,2週間後,4週間後に行った.その結果,アガリクス1,3包/日は,被験者の呼吸器系,肝腎機能,インスリン抵抗性に関する安全性には問題を示さなかった.また,有効性については,血清の高感度CRPの減少,NK細胞機能である血清IFN-γ の上昇,免疫を抑制するTGF-βの低下を認めた.さらにQOLも,摂取量に依存して改善した.
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