光反応理論、不斉合成そして太陽エネルギー蓄積で興味のもたれる2-ピリドン(1)の光励起による不斉フォトピリドン(2)の生成実験と、その光反応のエネルギーと立体化学変化について主に半経験的量子化学計算を用いた動的解析(MO解析)を行った。 先ず不斉な新規なイミドアミドホスト(
l)-3などを調製し、水素結合錯体1a・(
l)-3などとして光反応し、不斉な(
R)-2aなどの合成を行った。次に1の光励起一重項(S
1)1*のMO解析は、1*が非平面なenantiomer平衡体(1*
Φ(+)と1*
Φ(-):ΔE
K≒8-9kcal/mol)として存在すること、また3種のポテンシャルエネルギー面(PES)を求め、1*
Φ(+)はr
3-6≒2.0A付近の失活で(
R)-2になることを示した。1・(
l)-3の光反応での(
R)-2の生成は、1・(
l)-3のS
1励起では1*
Φ(+)・(
l)-3となり、r
3-6の減少と失活で、(
R)-2・(
l)-3となり、それとなることが示された。そこで(
d)-3利用の場合のMO解析を行い、1・(
d)-3からは1*
Φ(-)・(
d)-3を経て (
S)-2が生成することを示した。また著名なBachらのホスト6による1→(
R)-2の光反応もMO解析し、検証した。 さらに1⇔2の大きなエネルギー蓄積、置換基効果そして触媒作用をMO解析し、新しい太陽エネルギー蓄積系を提案した。
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