接着剤分子を新たに設計する際には, 理論と実験の両面からその接着機構に関して考察することが重要である.本研究では,新規接着剤分子である2-メルカプトピリジル基(2MP基)をもつビニルモノマーについて,被着体表面との吸着状態を解析することを最終目的とした.同モノマーに対し密度汎関数法に基づいた第一原理量子力学計算を実行し,その分子軌道を算出した.2MP基の平衡反応(互変異性化反応)によって得られるチオール型とチオン型の電子状態を比較したところ,HOMOとLUMOの分子軌道の状態から,被着体表面と分子軌道を介して相互作用を起こすときはチオン型の方が優位であることが確認された.
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