造園雑誌
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54 巻, 5 号
選択された号の論文の62件中51~62を表示しています
  • 山田 宏之, 丸田 頼一
    1990 年 54 巻 5 号 p. 299-304
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    都市内に存在する緑地による, 都市における夏季の気温低減の効果を定量的に解析するため, 東京都杉並区において, 1987年に行った気象調査の結果をもとに, 気温低減の効果を算出した。解析にあたっては, 最高・最低気温と緑被率, 緑地の土地被覆状態等との関連において, 層別因子を含む単回帰分析, 重回帰分析, 緑地の土地被覆割合の主成分分析による主成分得点を用いた重回帰分析の3種を試みた。その結果, 最も精度が良かったのは, 緑地の土地被覆割合を用いた重回帰式であった。そこで, その式を使用し, 各丁目単位で予想気温を算出し, 気温緩和の面から見た緑地分布の評価を行った。
  • 伊藤 訓行
    1990 年 54 巻 5 号 p. 305-310
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    関東北東部における人口分布と土地利用の関係を比較すると, 人口密度2,000~4, 999人/km2の地域において, 地域全体の中で市街地の占める割合が拡大してくる。また, 人口密度5,000人/Km2程度を境として, 市街地の占める割合が他の土地利用と比較して著しく大きくなっていくが, このような地域は人口集中地区 (DID) と関係が深い。このような観点から, 都道府県を単位として, 人口集中地区面積および各種の土地利用の全域に占める割合を比較することにより, 人口集中地区は, わが国の “緑” の保全のための一つの指標として有効であることを検討した。
  • 阿部 伸太, 蓑茂 寿太郎, 平野 侃三
    1990 年 54 巻 5 号 p. 311-316
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本論は, 地域制緑地における思潮の変遷をその制度の変遷と対応させ, 都市化の推移の中での計画思想の変遷を明らかにすることを目的としている。これによって, 将来の地域制緑地計画の基本的枠組みを提示した。研究の方法は, 既往文献の確認・解読による思潮史及び制度史の作成と変遷の考察によった。その結果, 地域制緑地思潮は都市化により,(1) 対象緑地 (2) 規制と補償 (3) 計画概念の点で変化が見られ, 一方, 都市化の中で地域制緑地による都市緑地計画手法は重要であるとする考え方は変化していないことが解明された。以上のことから, 様々な空間を一体として捉える状況概念の導入による地域制緑地計画に関する研究の必要性が認められた。
  • 金子 忠一
    1990 年 54 巻 5 号 p. 317-322
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    「太政官布達第16号」の布告により我が国で最初の制度上の公園が誕生してから約120年, 幾多の公園整備の歴史を経て今日に至っている。この間, 1956 (昭和31) 年に「都市公園法」が制定され, これが我が国唯一の都市公園管理に関する法律となっている。しかし, 公園制度が誕生した明治初期の頃から, 公園の取締規則や利用規則など管理運営に関わる条例や規則といった諸制度が自治体や公園を単位として定められてきた。本研究は, そうした諸制度の変遷を整理することにより, 我が国における都市公園の管理運営に関する制度の特色と, それら諸制度の規定内容にみられる公園管理方針の一側面を明らかにする。
  • 蓑茂 寿太郎
    1990 年 54 巻 5 号 p. 323-328
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本論は, 公園整備の推移分析に基づく計画手法研究の一報である。今日, 都市の公園整備が多面的に展開されているが, 都市計画の実際に直面したとき, 公園計画の手法開発の遅れを感じる。と同時に整備の方向を定める思想の欠落に気付く。筆者はこれらの解決にとって, 過去の整備の歴史の分析が効果的であると認識している。つまり, この種の手法開発には, 現実の都市を対象に公園整備の動向を都市化の流れと対応させて考察する史的研究の手法が有効と考える。本研究では世田谷区を対象に公園整備史を作成する手段を通じ, 公園整備に関わる時代的な特異点を都市化の推移と対応させて考察し, 公園計画の手法を体系として整理した。
  • 伊藤 康行, 浅川 昭一郎
    1990 年 54 巻 5 号 p. 329-334
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    緑地に対する需要の高まりや多様化の中で, 都市内にあっても比較的自然性が高く低密度で利用される緑地の重要性が認識されるようになった。しかし, 適正な利用密度や形態に関する研究は数少ない。本論文では, 札幌市の中心部に位置する植物園を事例として, 1日の利用行動をシミュレーションによって再現し, 混雑度に関連すると考えられる利用特性を検討した。その結果, 同時在園者数の増加に伴う芝生広場や園路における利用密度の増加傾向, 園路の区間別交通量と他グループと出会う回数との関係等を明らかにし, 緑地の管理や計画に際するシミュレーションの有効性についても言及した。
  • 知花 弘吉
    1990 年 54 巻 5 号 p. 335-340
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では歩行者空間と歩行者の視覚的かかわりについて明らかにするための一端として, ニュータウン内の緑道において, アイカメラを装着して歩行実験をおこない, 注視特性について検討した。その結果, 緑道での注視は前方確認が主であり, 時間は特別なケースを除くと0.5秒以内に納まる。また, 注視連鎖では, 概ね15秒前後で進行方向の様子をチェックする傾向にあることが伺えた。
  • 永松 義博
    1990 年 54 巻 5 号 p. 341-346
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    社会福祉に対する関心が高まり, 街路空間, 歩行空間等の改善にもみられるように地域環境も整備されつつある。しかし視覚障害者にとっての配慮はまだ完全とはいえない。本研究では彼らの生活行動圏を拡大し, 単独歩行を可能とする都市環境形成の計画指針を得ることを目的とし, 盲人施設を対象に日常生活での利用施設, 視覚障害者対策設備の利用, 点字ブロック, 音響信号機に関する意識調査を実施した。日常生活では商業施設への利用が高く, 次いで文化教育施設である。公共施設では市役所, 福祉事務所等の訪問度が高い。視覚障害者が横断歩道を見つけるための手段として, 音響信号機点字ブロックといった設備が重要な役割を果たしている。
  • 長山 宗美
    1990 年 54 巻 5 号 p. 347-352
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    冒険遊び場 (羽根木プレイパーク) において行動調査 (分布調査及び追跡調査) を行ったところ, 利用者の分布に片寄りがみられ, 人気のある遊具と団体によるパーティを除くと北側に集中した。子供の軌跡 (利用場所) も多くは北側へ集中した。行動内容を分析した結果, その原因は, プレイリーダー, 造りかけのログハウス, 飼育動物小屋の存在と考えられる。軌跡は, プレイパークでの好きな遊びが遊具か遊具でないかによって, 北側に集中するグループと南側も利用するグループの2つに分かれた。しかしながら, 利用者は来園時に必ずしも自分の好きな遊びを行っておらず, 遊び場は常に多様な遊びの可能性を持った状態にあることが望ましい。
  • 山本 和人, 下村 彰男
    1990 年 54 巻 5 号 p. 353-358
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    生活環境快適化の一環として, 優れたプロムナードの整備が求められている。本論ではより明確なイメージの下に造られた, 明治期から戦前期にいたる我が国のプロムナードの系譜を明らかにした。まず西欧のプロムナードを言語と空間形態の両面から分析し, 通過機能より空間の質を重視した歩行路に関する概念であること, Exercise, Amusement, Formalityの3概念の内の複数を含むことを定義とした。
    次に定義を基に我が国における10の概念と32の計画・事例を収集し, 空間形態や設計者等に留意して各々の消長を検討した。そして, 総合型, 高格繁華型, 修景歩道型, 健康行楽型の4タイプを得, それらの系譜と豊かな空間を支えた空間形態を知ることが出来た。
  • 清水 文朗, 宮城 俊作, 田畑 貞寿
    1990 年 54 巻 5 号 p. 359-364
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 歴史的市街地の景観を3層からなる構造として把握した。すなわち, 個々の敷地における建築物とオープンスペースの構成を上部構造, それを規定する宅地割を中部構造, それらの土台に相当する微地形を下部構造としている。本編では, 中部構造の変容の背景にある要因として, 土地の所有者による土地の経営形態に着目し, 敷地の利用形態の変化との関係を分析している。その結果, 土地の経営形態の相違に起因する宅地割の変化の差異が認められ, 個々の敷地内部に見られる空間構成のシステムの変容を指摘することができた。
  • 渡辺 和夫, 中村 攻
    1990 年 54 巻 5 号 p. 365-370
    発行日: 1990/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究はS集落内に居住し, 集落内の土地を所有する者を階層分けし, 各々の階層が所有する土地の面積と分布を分析し, 農村集落の土地所有の特徴を把握することを目的とする。研究の結果は以下のように要約できる。
    1) 土地所有者は家の発生系統及び戦前の所属社会階層により階層分けできる。
    2) 階層の違いにより所有する土地面積に格差がある。
    3) 階層の違いにより所有地の分布に特徴が見られる。
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