日本乳癌検診学会誌
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17 巻, 2 号
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第17回学術総会/トピックス
  • 石川 光雄
    2008 年 17 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    ケアストリームヘルス社CRマンモグラフィは読取り装置CR850,CR950,CR975,レーザーイメージャDV6800,DV8900の組合せで構成され,スクリーンはEHR―M2です。読取りは48.5μm,12bitsで処理され,プリントは650dpi(39μm)で出力します。画像処理ソフトウェアP―toneや他のソフトにより最適なマンモグラムを提供しています。
    Ver.4.6搭載の装置では,RAW Data画像の取出し等がユーザーの操作で可能となりました。品質管理用としてトータルクオリティツール(TQT)はシステムの相対感度,SN比,画像の均一性,MTF等を計測,管理します。
    レーザーイメージャの最高濃度は4.0以上が可能です。15種類のコントラスト値からなるTFT(transfer function table)が33種類以上あり,画像補間テーブルの16種類と組み合わせて画像の最適化を図っています。SMPTEパターンやTG―18―QCパターン等を内蔵し,レーザーイメージャの品質管理が可能です。
  • 中野 純子
    2008 年 17 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    今回,新たに開発したFCRデジタルマンモグラフィ専用パラメータは,従来のマンモグラフィ専用T階調パラメータをさらに進化させたもので,乳腺内コントラストおよび乳腺内病変の描出能を維持しつつ乳腺外のコントラストを向上させたパラメータです。
    新しく開発した画像処理パラメータは,GT(階調タイプ),MRT(マルチ周波数強調タイプ),MDT(マルチDR圧縮強調タイプ)を作成しました。
    現行パラメータとの違いを表記します。
    ·GT(GTカ-ブ):T→W(新規設定)
    ·MRT(マルチ周波数処理の濃度依存強調特性):R→W(新規設定)
    ·MDT(DR圧縮処理の濃度依存強調特性):F→T(新規設定)です。
  • 松村 茂樹
    2008 年 17 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    日本人女性の乳癌罹患率は,年々増加しており,その割合は20人に1人と言われ,今後も増え続けることが予想される。
    乳癌は早期に発見し治療すれば,治る病気と言われている。マンモグラフィでは,触っても判りにくい早期の乳癌を発見することができ,早期乳癌のサインである癌細胞周辺の微細な石灰化や腫瘤影を鮮明に描写できる。マンモグラフィに要求される高品質画像を実現した「CP1M200」は,柱状結晶による高鮮鋭化技術/CsBr高X線吸収結晶による高画質化技術/高精細読み取り技術を集約したCR専用のマンモ専用カセッテである。今後,その高画質の有用性によりマンモ診断の一助となることを期待する。
  • 船木 新壽
    2008 年 17 巻 2 号 p. 115-118
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    近年の乳がん検診の受診者増加やその取組みの活発化に伴って,マンモグラフィシステムへのニーズも多様化してきた。一方,FPDをはじめとしたデジタル技術の進歩にともなって,デジタルマンモグラフィシステムやその周辺機器の機能・性能も多様化・高度化してきた。そうした中で,GE・デジタルマンモグラフィシステムは3機種をそろえており,バス検診/施設検診/精密検査などの分野でCADやバイオプシなども含めての対応をしている。
    乳がん死亡低減を目的として,高画質・低被ばく・高い生産性を実現するため,FPD,X線発生システム,画像処理技術,多彩なバイオプシ機能,GE・FFDM用CAD,品質管理ツールなど優れたシステムで,世界2,000台以上の稼動実績に裏打ちされたデジタル時代のコンセプトを開拓し,提供している。将来への課題も,乳がん死亡撲滅へ具体的目標を設け,新技術開発に積極的に取り組んでいる。
  • 辻 久男, 南部 由紀子
    2008 年 17 巻 2 号 p. 119-122
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    本装置は直接変換型フラットパネルディテクタ(FPD)を搭載したデジタル乳房撮影装置である。FPDを搭載しているにもかかわらず,撮影装置本体の構成は設置スペースを考慮した1ユニット構成となっており,重量も191kgときわめて小型・軽量である。画像収集のワークステーションには3Mピクセルの高精細モニタを採用しており,撮影直後に高品位の画像で確認することができる。本装置のFPDの有効視野サイズは約17cm×24cmと小型で日本人に適したサイズとなっており,ポジショニングが容易となっている。乳房を圧迫した後,ワンタッチ操作で乳房を撮影装置側に引き込むことにより,胸壁部のブラインドエリアを極小化するMaxVison機構を搭載している。引き込みの微調整機構により,圧迫した状態でニップルの形状を整えることも可能である。撮像された画像は,各種の画像処理が施されてフィルム・スクリーン系に近い画質となり,従来と違和感なく診断していただける画像である。
  • 橋本 尚美
    2008 年 17 巻 2 号 p. 123-126
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    シーメンスでは,現在MAMMOMATシリーズで2機種のデジタル乳房X線撮影装置を揃えている。この2機種は,MAMMOMAT NovationDRとMAMMOMAT Inspirationである。
    それぞれの特長は,MAMMOMAT NovationDRは精密検査まで対応したデジタル乳房X線撮影装置,そしてMAMMOMAT Inspirationはワークフローを改善した検診などに最適な次世代型デジタル乳房X線撮影装置である。
    シーメンスのこの両デジタル乳房X線撮影装置に共通することは,被検者が快適な検査を受けられるように設計され,かつデジタル画像ならではの高画質を実現した日本人向け画像処理パラメータを搭載していることである。
  • 宮城 理奈
    2008 年 17 巻 2 号 p. 127-130
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    当社は,新型デジタルマンモグラフィ装置「MGU-1000D MAMMOREX™ Pe・ru・ru™M(ペルル)DIGITAL」を開発,販売開始した。
    本装置では,マンモグラフィ専用フラットパネルディテクタの採用により,高画質・高スループットを実現した。開発に当たっては,各担当の女性スタッフ大勢が関わり,受診者が乳癌検診に対して安心して前向きに取り組んでいただけることを配慮して,装置の形状や素材,デザインを一新した。マンモグラフィは,高度な撮影技術を要するデリケートな検査であることを念頭に置き,操作される方にも確実かつ安全に扱っていただけるよう,日本語で見やすい画面や人間工学の視点に基づいた操作スイッチを実現した。
トピックス
  • ―更新制度導入の目的と具体的な運用方法―
    篠原 範充, 森本 忠興, 遠藤 登喜子, 岡崎 正敏, 福田 護, 木村 千明, 堀田 勝平
    2008 年 17 巻 2 号 p. 131-138
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ検診精度管理中央委員会には,教育・研修委員会と施設画像評価委員会を設置して,関連6学会の協力のもとに検診の精度管理システムを確立するための活動を行ってきた。教育・研修委員会は,1999年3月より医師・技師に対して教育と研修を目的としたマンモグラフィ講習会を実施してきた。近年,精中委主催,他団体との共催により全国で年間50回を超える読影講習会,技術講習会が開催されている。2008年3月31日現在,マンモグラム読影医師12,051名,マンモグラフィ撮影放射線技師12,591名が講習会を受講している。
    精中委では,昨年度よりマンモグラフィ検診の精度維持を目的にマンモグラフィ認定更新制度を導入した。そこで本稿では,更新制度導入の目的と読影部門と技術部門の具体的な講義内容について説明する。また,認定更新制度の期間,期限内に更新手続きを行っていない人への対応方法について説明する。これら更新制度の導入により継続教育が行われ,教育・研修システムが充実したと考える。今後も,精中委は精度の高い検診システムを社会に保障するため精力的に活動する予定である。
原著
  • ―視触診,画像診断の限界に関する検討―
    岡崎 邦泰, 岡崎 憲二
    2008 年 17 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    平成16年1月から平成18年6月の間に乳癌精検の目的で当院を受診し,乳癌と診断された158例のうち早期乳癌(T0,T1症例)78例を研究対象とした。そして,これら早期乳癌78例の視触診と画像(マンモグラム,超音波画像)の精検結果をもとに診断の限界について検討し,さらに乳癌検診の方法論についても考察を加えた。
    1) 早期乳癌の40.1%は触診で腫瘤を触知しなかった。
    2) T0群(腫瘤を触知できない)では,マンモグラムと超音波画像を併用することにより5mm以上の腫瘤であれば発見が可能である。しかし4mm以下では異常所見を見出すことは困難である。
    3) 乳癌検診に対する超音波検査の導入については,腫瘤を触れないT0群と高濃度乳腺症例が主な対象となる。T0群に対する精度は,マンモグラムではfalse negative例が4/32(12.5%),超音波画像5/32例(15.6%)で大差はなく,超音波検査が特に有効との結果は得られなかった。現在多くの施設で行なわれている超音波検査のレベルでは,導入には今後多くの課題の検討が必要とされるであろう。
    4) 腫瘤の触知できるT1,2,3群では,false negative例がマンモグラフィで4.8%,超音波画像で2.4%に見られた。視触診を省略した検診ではこれらの症例は見逃される可能性があり,視触診の併用は必要と考えられた。
  • 西原 徳光, 浦上 育典, 寺井 雅也, 丸山 修一郎, 丸田 力, 大歳 雅洋, 泉 昭, 西田 禎宏, 足立 光平, 松永 剛典
    2008 年 17 巻 2 号 p. 147-153
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県内において約1年の短期間にマンモグラフィ講習会を5回開催し,そのうち3回に事前講習会を行った。今回われわれは,5回の講習会受講者を事前講習会受講者群(I群),事前講習会未受講者群(II群)の2群に分け,2群間での本講習会読影試験の合格率と所見別カテゴリー正答率から,未熟なプレプレ講習会が含まれてはいるが,事前講習会で行った教育効果を検討した。合格率では臨床マンモグラム読影経験がある受講者が事前講習会を受講すれば合格率は約75%に達し,臨床マンモグラム読影経験がない受講者が事前講習会を受講しなければ合格率は30%に達しなかった。事前講習会による合格率上昇度は臨床マンモグラムの読影経験の有無によって変わらず,合格に対する効果は事前講習会受講と臨床マンモグラムの読影経験の間に大きな差異がないと思われた。正答率ではI群はII群に比べて腫瘤,石灰化と構築の乱れの所見に対するカテゴリー正答率が明らかに高かった。FADでは明らかな差異は認められなかった。今回の検討では,検診マンモグラムの読影能力に与える影響において事前講習会は臨床マンモグラム読影経験に匹敵すると考えられた。
  • 中嶋 啓雄, 坂口 晃一, 藤原 郁也, 水田 成彦, 鉢嶺 泰司, 中務 克彦, 正木 綾
    2008 年 17 巻 2 号 p. 154-160
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィの普及によって,微細石灰化のみで要精密検査となる症例が増加している。われわれは,このような症例に対して,より小さな侵襲で確定診断を得る方法として,ステレオガイド下マンモトーム生検を行っており,その成績と手技の実際を報告する。
    2002年5月~2007年10月までに,マンモグラフィで微細石灰化病変を指摘された450例に対してステレオガイド下マンモトーム生検を行った。石灰化のカテゴリーは,カテゴリー2:9.8%(44例),カテゴリー3:68.2%(307例),カテゴリー4:16%(72例),カテゴリー5:6%(27例)であった。
    全例で,石灰化の採取が可能で確定診断が得られた。カテゴリーごとの癌発見例の割合は,カテゴリー2:0%(0例),カテゴリー3:7.8%(24例),カテゴリー4:22.2%(16例),カテゴリー5:85.1%(23例)で,全体では14%(63例)であった。
    マンモトーム生検を行うにあたり,患者をリラックスさせるための工夫や,手技的な工夫を段階的に導入した。そして,全症例を前期(2002年5月~2005年10月)の223例と,後期(2005年11月~2007年10月)の227例に分け,検査時間と合併症について検討すると,平均検査時間は前期:38.7分に対して,後期:26.0分と有意に短縮していた。合併症では,前期・後期において,気分不良:4.5%・1.8%,後出血:4.0%・1.3%,創感染:0.4%・0%であり,後期では合併症が減少していた。
    ターゲットとした微細石灰化病変のすべてにおいて,マンモトーム検査で確定診断が得られた。マンモトーム手技に関するさまざまな工夫を行うことで,検査時間の短縮と合併症の減少が得られた。
  • 藤坂 智史, 川原 浩, 佐々木 雅史, 福島 昇
    2008 年 17 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2009/04/24
    ジャーナル フリー
    乳房撮影において品質管理は重要である。乳房撮影精度管理マニュアルには品質管理としてX線装置の評価に線質(半価層),またシステムの評価に平均乳腺線量の算出があり,その測定には低エネルギーで校正されている線量計,高純度アルミニウム板を用いる方法が記載してある。しかし現在,乳房撮影装置を設置している施設でも線量計と高純度アルミニウム板を所有している施設は少ないと思われる。
    今回,1回の照射で半価層と入射空中線量が測定できる特徴を持つマンモグラフィ品質管理用ガラス線量計(以下,ガラス線量計とする)を使用し,乳房撮影に主に用いる撮影条件において半価層,入射空中線量,平均乳腺線量を求め,電離箱線量計を用いて求めた値と比較した。また経費の面も比較を行い,ガラス線量計を使用した品質管理の有用性を検討した。
    半価層はガラス線量計が最大で0.01 mm薄くなった。入射空中線量の誤差は7%以内であり,平均乳腺線量を計算した結果,誤差は10%以内であった。また概算ではあるが経費の比較を行ったところ,ガラス線量計による品質管理は電離箱線量計を用いた場合に比べて安価であった。
    ガラス線量計を用いた品質管理は電離箱線量計による方法より簡便で安価であり,電離箱線量計を所有していない施設でも定期的な品質管理を精度よく実施できることが示唆された。
症例報告
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