日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
ISSN-L : 0918-0729
22 巻, 1 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
特別寄稿
  • ―本邦の乳癌検診における精中委の活動と課題―
    森本 忠興, 遠藤 登喜子, 岡崎 正敏, 福田 護, 堀田 勝平, 寺田 央
    2013 年 22 巻 1 号 p. 2-15
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    欧米の乳癌死亡率低下の要因は,マンモグラフィ検診の普及により早期乳癌が増加したことやEBMに基づいた標準的全身療法の確立があげられる。一方,本邦の女性乳癌死亡・罹患率はともに増加している。本邦の乳癌検診は視触診単独で長年行われた。2000年以降の厚生労働省の一連の通達により,40歳以上の女性に対するマンモグラフィ検診が開始されたが,その普及が遅れていることがその一因である。また,がん検診には精度管理が必須であり,本邦では,1997年日本乳癌検診学会を中心に検診関連6学会のもとにマンモグラフィ検診精度管理中央委員会(以下,精中委)を設立し,その精度管理システム作りを行ってきた。現在,本邦の乳癌検診の40歳以上受診率は2年に1回で31.4%であり,この低い受診率では乳癌死亡率を低下させることは不可能である。本稿では,欧米のマンモグラフィ検診と本邦の乳癌検診の過去の経緯と現状,精度管理システムについて述べた。さらに,本邦の乳癌検診の問題点を指摘し,今後の具体的な施策,すなわち受診率向上(50%目標),40歳代に対する超音波検診,財政支援,各種検診の精度管理等を含めた「がん対策基本法」に基づく法的整備の必要性について述べた。
第22回学術総会/プレジデンシャルシンポジウム1
日本のすみずみまで乳癌検診を
  • 2013 年 22 巻 1 号 p. 16
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
  • ―現状と課題について―
    上原 協, 玉城 研太朗, 鎌田 義彦, 玉城 信光
    2013 年 22 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    乳癌マンモグラフィ検診は女性検診の柱の一つとして広く認識されるようになっている。「日本のすみずみまで乳癌検診を」をメインテーマとして第22回日本乳癌検診学会学術総会が日本の南西端である沖縄県にて開催された。沖縄県における乳癌検診状況の報告を通してテーマの議論の一助とする。周囲を海に囲まれた沖縄県では一次検診施設の多くが沖縄本島に集中するため,離島における検診では検診車が県内各地を支えている。ただ集団検診のみである点や検診車派遣に伴う費用の点など課題も多いことが指摘されている。また乳癌を取り巻く状況としては年齢調整罹患率において,日本では40歳代をピークとした二峰性曲線が周知されているが,それとは異なり沖縄では60歳代が最も高い罹患率となってきている。高齢化社会も背景に今後は中高年者の乳癌罹患数は増加することが予想され,それに伴う検診対策として今まで以上に中高年者への検診啓発に力を向けることは有益と思われる。今回任意型検診についても検討を行ったところ,対策型に近い受診者数が存在するものと考えられた。ただこの両者では受診対象が異なっており,この点は検診啓発を複雑にしている可能性も示唆された。これらの課題も踏まえ,行政やがん拠点病院,技師会・医師会などで十分な連携を図り,検診事業を進めることが重要と思われた。
  • 大貫 幸二, 宇佐美 伸, 若林 剛, 柏葉 匡寛, 大内 憲明, 狩野 敦, 御供 陽二
    2013 年 22 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    岩手県の面積は日本第2位であるが乳腺専門医は6名のみであり,要精検率を低く保った精度の高い乳癌検診が求められている。岩手県対ガン協会では平成17年度より精度向上のために,1)年間3回計60症例程度の問題症例検討会,2)要精検候補症例の比較読影,3)2名の読影医の判断が異なったときの第三読影,などを開始した。その効果を見るために,平成12年度から平成22年度における検診のプロセス指標を検討した。対象は,地域,職域のマンモグラフィ併用検診を受診した延べ219,607名である。要精検率の推移を見たところ,平成16年度までは7%程度であったが次第に低下し,平成22年度は2.49%になった。乳癌発見率は0.25~0.3%程度の範囲で推移しており,陽性反応適中度は,平成16年度までは4%程度であったものが平成20年度以降は10%に近づいていた。ヨーロッパのガイドラインのマンモグラフィ検診における要精検率の目標値3%(50歳以上,繰返し受診者)を十分達成できており,今後は,モニタ診断による全例の比較読影,マンモグラフィと超音波検査の総合判定の導入などを行い,さらなる精度の向上(主に感度)を目指す予定である。
  • ―がん検診に関する意識調査より―
    坂 佳奈子, 小野 良樹, 広松 恭子, 角田 博子
    2013 年 22 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    日本でのマンモグラフィ検診が実施され10年余であるが,乳がん死亡者数は増加の一途であり,その理由の一つは受診率の低迷であると考える。東京のように医療機関,検診機関が数多く存在し,公共交通機関網も整っている大都会でなぜ受診率が低迷しているのかについて,東京都を都心部,郊外,島嶼部と三つに区分し,がん検診に関する意識調査を実施し分析検討した。アンケート回答数は5,733名。ほぼ定期的に受けている(5年間で2回以上)と回答した方が73.3%と比較的多い結果であった。しかしながら,いまだに「忙しい」「面倒くさい」という理由で定期的に受診しない方も多く,さらなる健康教育・啓発活動の重要性を感じた。積極的に受診できるための条件では「希望日に受診」「職場・自宅近く」「他の検診と共に」があり,実現可能な条件も多く,検診を提供する側のさらなる努力も必要だと感じた。今回,ライフスタイルが異なる三つのエリアでのアンケート調査で相違点が出るのではないかと予想したが,受診者の希望や傾向に大きな違いはないことが判明した。その中で23区内,仕事をしている女性からは,「勤務中」に検診を受けたいという意見がみられた。このような傾向は東京都のような大都会型検診の特徴だと思われた。職業を持つ女性が地域検診を受けやすくするためのシステム作りや職域検診など任意型検診におけるがん検診精度管理も都会での大きな課題だと改めて思われた。
  • 小西 宏
    2013 年 22 巻 1 号 p. 37-39
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
  • ―地方での読影医不足を解決する切り札になるために―
    煎本 正博, 町田 智子, 石井 千佳子, 川村 洋一, 奥田 逸子, 中島 康雄
    2013 年 22 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    画像のデジタル化は医療の質を向上しなければならない。遠隔画像診断は画像デジタル化技術の応用の一つであり,読影医不足解消の切り札となり得ると考えられた。マンモグラフィ検診を有効に行うためには,継続した検診事業で行う必要があり,遠隔画像診断事業もしっかりとした経営基盤の上での継続性が求められる。日本乳癌検診学会では“マンモグラフィ検診遠隔診断支援モデル事業”での結果を分析することにより,その有用性と限界を明らかにし,“検診マンモグラフィ遠隔診断に関するガイドライン”をまとめた。マンモグラフィ検診を遠隔画像診断で普及するにあたっては,個人情報保護のほかDICOM画像の表示障害など多くの問題があったが,近年解決しつつある。一方,マンモグラフィ遠隔画像診断が一般化するにしたがって,所見記載用紙の不統一やフィードバック不足などの問題が浮上してきた。しかし,これらを解決することは,マンモグラフィ検診の普及のみならず,検診全体の精度向上が期待できると考えられ,今後の遠隔画像診断の発展に期待するところである。
  • 角舎 学行, 秋本 悦志, 恵美 純子, 重松 英朗, 舛本 法生, 春田 るみ, 片岡 健, 岡田 守人
    2013 年 22 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    広島県では,「広島乳がんネットワーク」により医療施設が乳がん診療の役割分担を行っている。その中で,乳がん検診・精密検査の中心となる精密検査施設,乳がん治療の中心となる周術期施設には,それぞれ乳癌認定医,乳腺専門医が常勤することが必須条件とされている。しかし,ネットワーク開始時には乳癌認定医,乳腺専門医が不足していることが明らかになったため,広島大学病院乳腺外科と広島県が共同で平成23年度から「広島乳癌認定医・乳腺専門医育成プロジェクト」を開始し,定期的な育成カリキュラムのもと人材育成を行った。これまでに行われた6回のプロジェクトの講義には県内全域から延べ146名の医師が参加し,その中から専門医,認定医がそれぞれ6名ずつ誕生した。レベルの高い乳がん検診を行うためにはこれらの資格取得者を継続して育成する必要があるが,乳癌学会の施設認定や資格に必要な手術症例数の確保など,個々の施設の努力だけで解決できない問題もある。効率の良い人材育成を行うためには,がん拠点病院や基幹病院の努力だけでなく,自治体によるがん治療,がん検診の現状把握と継続したサポートが必要である。
  • ―乳がん検診を中心に―
    秋月 玲子
    2013 年 22 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
  • 2013 年 22 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
第22回学術総会/プレジデンシャルシンポジウム2
日本のすみずみまで乳癌検診を:各論
  • 2013 年 22 巻 1 号 p. 64
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
  • 鶴賀 信篤
    2013 年 22 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    自治体出張集団検診の報告は視触診施行前提で,その視触診の実態は示されていない。平成21~23年の3年間に,自治体出張集団検診で私が行った視触診受診者数は24,473人で,その実態を示した。私自身の3年間の機関別・年度別・地域別の要精検率は1.4~4.9%で,数値幅が広く,これらの事項による差違はない。平成22年度の視触診・マンモグラフィ併用検診の要精検率は,名古屋公衆医学研究所では4.8%と低い。他の2機関では8.5%・9.4%であり,平成23年乳癌検診学会発表諸機関と同程度であった。平成22年度について検討した,愛知乳癌検診研究会の資料では,名古屋公衆医学究所の視触診要精検率は全体では1.3%であった。他の諸機関でも,4.5%の1例を除き,0~2.8%と低い。同年の私の視触診要精検率は,名古屋公衆医学研究所で4.2%であり,他の2機関で3.2%と,愛知乳癌検診研究会の視触診要精検率と比較して高い。愛知県I市では,クーポンの有無で検診法を分けており,平成22年度の検診要精検率は,視触診・マンモグラフィ併用5.5%・マンモグラフィ単独3.5%であった。自治体出張集団検診の検診環境,医師の問題,視触診などの現状を示した。問題点の多い視触診をやめ,精度管理があるマンモグラフィ単独検診にすれば,受診しやすくなり,「日本のすみずみまで乳癌検診を」の目的にかなうと考える。
  • 赤嶺 博子, 小田部 守生, 佐平 直美, 大見謝 まゆみ, 中村 香織, 内田 恵美, 棚原 真千子, 金城 幸善
    2013 年 22 巻 1 号 p. 71
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    当協会は沖縄本島南部に位置し,人間ドック,地域検診,職域検診,学校検診を主業務として行なっている。沖縄県は有人離島39を有し,41の市町村をかかえている。当協会では,乳癌の早期発見を目的として1999年度より人間ドックに超音波検査の乳癌検診を導入し,2003年度からは超音波単独での出張検診を始め,2005年度にはマンモ車に超音波検査機器を搭載しての併用検診も開始した。現在,当協会では7つの離島地域を含む17の市町村において乳癌検診を行なっている。今回,沖縄県における当協会の乳癌検診の状況と1999年から13年間にわたる検診成績を報告するとともに,離島における乳癌検診の実際の様子を紹介する。
  • 何森 亜由美, 中島 一毅, 鶴野 正基
    2013 年 22 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    近年マンモグラフィはデジタル化が進んでおり,検診読影もデジタルマンモグラフィモニター読影に移行しつつある。また,受診率50%を目指している乳癌検診の普及にはより多くの読影医の確保が不可欠である。今回,われわれが取り組んだモニター読影システムを自宅に設置する「在宅モニター読影方式」は,育児や介護等により施設での読影業務が不可能な読影者でも,読影業務に従事できる可能性を示した。そして,モニター読影の普及に伴い,増えつつあるデジタルマンモグラフィ読影医の需要に応え,マンパワーの有効活用による人材確保に有用であると思われた。検討するべき課題として,コスト面では初期投資が高額となること,運用法において個人情報の管理,使用中のメンテナンスやシステムトラブルの対応があげられる。重要なことは,育児や介護等で施設での読影業務が不可能な読影医が確保できる読影時間や症例数・時間帯・開始時期等の状況には差があるため,条件に配慮した個別対応が不可欠になると思われた。
  • 内田 賢, 大橋 仁志, 神尾 麻紀子, 三本 麗, 野木 裕子, 加藤 久美子, 木下 智樹, 武山 浩
    2013 年 22 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    【背景】日本の女性悪性腫瘍の中で最も頻度が高いのは乳癌であり,全体の20.8%を占める。欧米先進諸国では1990年以降乳癌死亡率は減少しているが,日本では増加が止まらない。しかし乳癌検診の受診率は低く,30数%である。一方,日本の総人口は2008年をピークとして減少に転じ,同時に高齢者が増加し,世界一の高年齢化社会が到来している。【検討方法】公表されている乳癌検診受診率,乳癌の罹患率,死亡率,乳癌手術年齢および日本の人口などの統計資料から,今後の乳癌検診の課題を検診年齢に焦点をあて検討した。【結果】日本の乳癌罹患数は60,986人(2007年),死亡数は12,455人(2010年)で,ともに年々増加している。乳癌の手術平均年齢は58.4歳(2010年)で,65歳以上の割合は,最近10年間に25.3%から32.9%に増加した。乳癌検診の受診率は平均30%で,65-74歳では16~20%,40-54歳では43~46%である。一方,今後少子高齢化により総人口は減少し続け,65歳以上の女性人口は26.3%(2012年)から20年後には40%を占める。このような人口構造の変化により,20年後は40歳台の乳癌数が減少し,65歳以上の乳癌数が増加する。【結論】世界一の高齢化社会を迎えている日本では,今後人口が減少する一方,高齢者乳癌数が増加する。しかし,高齢者の乳癌検診は軽視され,検診の機会が少なく受診率は低い。今後増加する65歳以上の高齢者に対する乳癌検診への勧奨と対策が緊急課題である。
  • ―広報委員会ニュースメールの目指すもの―
    村上 茂, 石田 孝宣, 大竹 徹, 竹下 茂樹, 村田 陽子, 山川 卓, 田中 真紀
    2013 年 22 巻 1 号 p. 81
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】EBMをもとに適切な乳癌検診体制を確立するためには,必要正確な情報にアクセスすることが必須である。日本乳癌検診学会広報委員会のミッションは各会員に適時適切なる情報提供を行うことにある。そのための方法としてニュースメールの発行を行った。【これまでの取り組み】配信開始の時点で全会員数4,169名のうちメールアドレスの登録を受けたのは1,841名(44.2%)であった。平成22年10月25日より3カ月毎のメール配信を開始し,平成24年6月までに8回の配信を行った。 内容は1)学会総会に関する情報提供,2)乳癌検診に関わる重要なエビデンスの提供,3)乳癌検診学会の歴史を振り返る特別寄稿などを中心に取り上げた。【今後の課題】メールによる情報発信は全国一斉に行えるが,あくまでも一方向であり,受け取った会員が活用できているのか,どのように評価しているのかの調査が重要である。アドレス登録を増加させるためにも,まず魅力的なメールにすることが重要と考える。今回,学会誌に同封する形で,会員の評価,満足度,利用頻度などのアンケート調査を行った。その結果を踏まえて,今後の広報委員会としての情報発信のあり方を討議したい。
  • ―日本乳癌検診学会広報委員会ピンクリボン活動小委員会予告―
    島田 菜穂子, 太田代 紀子, 佐久間 浩, 笹 三徳, 宮良 球一郎, 田中 真紀
    2013 年 22 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    ピンクリボン運動を始めとする教育啓発活動は,2000年以来広がりを見せ,さまざまな内容・母体・規模・場所で行われている。活動の目的は,乳がん死亡率低下であるが,活動が有効かつ適正に進んでいくために,全国の現状調査を行い,実態を把握するとともに乳がん死亡率低下を実現しうる有効な活動の有り方や効果判定について考察・提言を行う。調査対象:当学会員およびピンクリボン活動団体,調査期間:2013年3月~5月,調査内容:主催する,関与する,または知っている活動の母体,内容,目的等について調査し,解析を行う。目的:1)現在全国で行われている活動の実態を把握し,これらの効果と,問題点を探る。2)検診受診率向上,乳がん死亡率低下のため,ピンクリボン運動が今後共有すべき目的・方法・母体,効果判定等に関して考察,指針作成等提言を行う。3)啓発教育活動に対する,当学会の役割を考察する。おわりに:当調査で,乳がん死亡率低下をもたらすピンクリボン活動はどうあるべきか考察・検証することは,情報を繋ぎ,活動の効果・質・社会認識を高めるとともに,あるべき活動を見直す機会になりえる。そのためには学会員各々の認識向上と調査参加が不可欠であり,協力を切望する。
  • ―生命保険会社だから出来ること―
    西田 幸弘, 橘高 信義
    2013 年 22 巻 1 号 p. 86-89
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
  • 富永 愛
    2013 年 22 巻 1 号 p. 90-94
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    医療訴訟は年間700件以上になり,医療に関わる私たちは日本全国どこでも訴訟のリスクを無視できなくなっている。乳癌の臨床も例外ではない。視触診,マンモグラフィ,乳腺エコーを行っていたにもかかわらず見つけられなかった際には,「癌を見落とした」といわれる可能性がつきまとう。 しかし,一方で乳がん検診の受診率が向上するほど,適切に診断を行える医師数は不足し,乳癌を専門としない医師による読影や視触診は増加せざるを得ない。この矛盾のなかで,訴訟リスクを回避するために私たちはどうすればよいか。ここでは特に,これから検診に関わる乳腺エコーに焦点を当て,エコー所見が決め手になって,医療機関側の責任(精査義務違反)が認められた二つの判決を分析し,今後の乳がん検診と見落としのリスクについて問題提起を行いたい。また,今後,専門医制度の充実にともなって生じうる,学会の精度管理責任についても乳癌検診学会の役割と法的責任の観点から提言を行う。
  • 2013 年 22 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
第22回学術総会/全国集計報告
原著
  • 鈴木 咲子, 角田 博子, 川上 美奈子, 長谷川 博子, 米津 香苗, 小山 智美, 秋山 忍, 河北 俊子, 齋田 幸久
    2013 年 22 巻 1 号 p. 115-122
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ(MMG)・超音波(US)併用検診における総合判定により,単独判定に比べ見落としなく効率的に乳癌を検出できるかどうかを検証することを目的とした。対象は2006年1月から2007年12月までの併用受診者4,941人とした。判定基準は2010年に日本乳癌検診学会で発表されたJABTS (The Japan Association of Breast and Thyroid Sonology)による併用検診要精査基準案を用い,それぞれのモダリティと総合判定について,要精査率,癌発見率,陽性反応適中度を比較し,その後の経過を検討した。総合判定では癌発見26例,0.53%であった。要精査率はMMGまたはUSでカテゴリー3以上をすべて要精査と仮定した場合と比較すると,8.3%から5.7%へと2.6%減少した。陽性反応適中度は6.3%から9.2%へと2.9%増加した。総合判定により精査不要とした128人のうち,MMGで要精査となる境界明瞭平滑腫瘤がUSで線維腺腫あるいは嚢胞と判明した例が39.8%と最も多かった。2010年12月時点で128人中94人が再受診し,5例が要精査となったが,精査で悪性所見はないことが判明した。総合判定は超音波検査で危惧される要精査率の不要な上昇を抑え,しかも見落としなく有効に癌発見に貢献できる可能性が示された。
  • ―実現可能で有効な乳癌検診システムに対する高知県の試み―
    山川 卓, 杉本 健樹, 藤島 則明, 高橋 聖一, 安藝 史典, 宇賀 四郎, 秋田 美智子, 原 澄江, 小嶋 みか, 藤村 隆
    2013 年 22 巻 1 号 p. 123-128
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    【目的】高知県では2004年度よりマンモグラフィ検診を開始した。高知市では視触診を含む施設でのマンモグラフィ検診(併用検診)であるが,それ以外の地域では視触診を除外した出張二方向マンモグラフィ単独検診(単独検診)である。今回,単独検診の現状,有効性,問題点等を検討し,視触診除外の可能性を検討した。【対象】対象は04年~09年度の乳がん住民検診受診者100,102名である。【結果】単独検診は81,957名,併用検診は19,065名であった。要精検者数(率)は単独検診5,511名(6.7%),併用検診1,768名)(9.2%)であった。同様にがん発見数(率)は,各々241名(0.29%),93名(0.49%),陽性反応適中度は4.3%,5.2%,早期がん数(率)は192名(79.7%),62名(66.7%)であった。なお視触診のみで発見された乳癌は1名のみであった。【考察】単独検診および併用検診ともにプロセス指標の許容値は十分満たしていた。単独検診は併用検診に比してがん発見率は相対的に低いが,早期がん比率は高かった。これは単独検診に高齢者,無自覚例等が多かったことに起因した。高知県では定期的な症例検討会の開催,検診施設の画像認定の取得義務付け等を行っている。また単独検診では三重読影を採用し,さらなる要精検率の低下,がん発見率の向上に努め,より高い精度管理を目指している。【結語】プロセス指標の結果より,精度管理を高く維持すれば,視触診を除外したマンモグラフィ単独検診は実現可能であることが示唆された。
  • ―旭川市医師会乳癌検診委員会の取組み―
    和田 博司, 平田 哲, 池上 淳, 菅野 普子, 赤羽 弘充, 沼田 昭彦, 黒蕨 邦夫, 黒田 龍彦, 粟井 是臣
    2013 年 22 巻 1 号 p. 129-132
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    本学会でもマンモグラフィ撮影画質の精度管理の重要性,またより多くの施設認定の合格が強く望まれている。しかしながら,その認定率はいまだに低い。旭川市乳癌検診委員会はこの検診制度開始前から各施設の画質の差を認識していた。本委員会では,ダブルチェック制を有効に機能させるためにも,検診に参加する全施設が精中委精度管理評価を受けることが重要と考え,地域をあげた活動を展開した。その結果,このたび11ある参加全施設が認定を受けたため,その経緯と今後の方針に関して報告する。
  • 川島 健, 辻村 享, 岩瀬 克己
    2013 年 22 巻 1 号 p. 133-138
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    われわれはマンモグラフィ撮影装置(LORAD M-IV)の精度管理を行う際に,ヒール効果として知られている管軸方向(乳頭胸壁方向)の濃度分布差だけでなく,管軸垂直方向(左右方向)にも濃度分布差が生じることに気付いた。そこで2つの実験を行い,濃度分布特性を調べた。実験1は精度管理に使用したフィルムのRMI156ファントム内部81箇所を濃度測定して,濃度分布グラフを作成した。実験2は撮影範囲すべてを覆う均一な厚さ約10mmのアクリル板を1~5枚重ね合わせ,フルオートで撮影してフィルムを作成,得られたフィルムの管軸方向1~17cm,管軸垂直方向1~23cmの範囲の108箇所を濃度測定して,濃度分布グラフを作成した。結果として,管軸方向では乳頭側の濃度が胸壁側より低くなり,胸壁側から約9cmまでは緩やかに,それを超えると急激に濃度低下していた。最大濃度差は約0.5であった。管軸垂直方向では左側から右側に向けて約7cmまで少し濃度上昇し,そこから緩やかに濃度低下していた。最大濃度差は約0.25であった。この濃度分布特性は精度管理や臨床での読影に影響を与えると思われる。この特性を与える原因究明も含め,今後さらなる検討が必要と思われる。
feedback
Top