【目的】高知県では2004年度よりマンモグラフィ検診を開始した。高知市では視触診を含む施設でのマンモグラフィ検診(併用検診)であるが,それ以外の地域では視触診を除外した出張二方向マンモグラフィ単独検診(単独検診)である。今回,単独検診の現状,有効性,問題点等を検討し,視触診除外の可能性を検討した。【対象】対象は04年~09年度の乳がん住民検診受診者100,102名である。【結果】単独検診は81,957名,併用検診は19,065名であった。要精検者数(率)は単独検診5,511名(6.7%),併用検診1,768名)(9.2%)であった。同様にがん発見数(率)は,各々241名(0.29%),93名(0.49%),陽性反応適中度は4.3%,5.2%,早期がん数(率)は192名(79.7%),62名(66.7%)であった。なお視触診のみで発見された乳癌は1名のみであった。【考察】単独検診および併用検診ともにプロセス指標の許容値は十分満たしていた。単独検診は併用検診に比してがん発見率は相対的に低いが,早期がん比率は高かった。これは単独検診に高齢者,無自覚例等が多かったことに起因した。高知県では定期的な症例検討会の開催,検診施設の画像認定の取得義務付け等を行っている。また単独検診では三重読影を採用し,さらなる要精検率の低下,がん発見率の向上に努め,より高い精度管理を目指している。【結語】プロセス指標の結果より,精度管理を高く維持すれば,視触診を除外したマンモグラフィ単独検診は実現可能であることが示唆された。
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