初犯少年を対象に,犯行前,発覚,逮捕,罰をどのように認知してい,たかを回想的に調査し,分析した。対象者は14才以上20才未満の少年で刑法犯によって1970年8月中に全国の警察署で検挙された男子初犯少年。
主要な結果は次の通り。
1) 初犯少年全体をみた場合,発覚,逮捕,罰について犯行前考えていた者は少なく,特に,逮捕,罰について何も考えなかった者が,各々半数以上を占める。この傾向は粗暴犯に特に強くみられる。
2) 属性別に初犯少年全体を通して比較した場合,次のような結果がえられた。
イ)余罪の有無別,非行集団加入経験の有無別では,余罪のある者,非行集団加入経験のある者の方が,発覚,逮捕,罰を予測している者が多く,発覚,逮捕を恐れ,罰を重くみている者が多い。即ち,非行の度合の進んでいる者程,発覚,逮捕を恐れ,罰を重くみながら犯行におよんでいる者が多くなる傾向がみられる。
ロ)単独犯・集団犯別では,集団犯の方が発覚,逮捕,罰を予測する者が多く,発覚,逮捕を恐れ,罰を重くみなす者が多い傾向がみられる。
ハ)犯行時の心理状態では,犯行時こわいと思った者の方が,発覚,逮捕を恐れ,罰を重くみなしている者が多い。また,犯行の難易別では,やりやすかったと思った者の方が,発覚や逮捕を恐れていた者が少なく,重い罰を予測した者が少ない。
これらを窃盗犯と粗暴犯別にみた場合,窃盗犯は初犯少年とほぼ同じ傾向がみられたが,粗暴犯では異なり,余罪の有無別では差異はみられず,非行集団の加入経験の有無別では若干の差がみられた。犯行の難易別ではほとんど差はみられなかった。
1. 非行少年(以下del)の情緒ー特に怒りーについて研究がすすめられた。
2. 自由記述,その他により500余項目が集められたが,そこから256項目が選択された。
3. 1973~1974年にかけて調査が行なわれ,del47名,統制群(以下cont)45名の資料が得られた。
4. 回答は〇.×印で,腹立たしさをいくらかでも感じれば〇,そうでなければ×をつけさせた。
5. 0-1型資料による因子分析を行ない,その固有値にもとづいて20の腹立たしさの領域が得られた。
6. delとcontの回答の分布がX2検定され,105項目にいづれもdelに「腹立たしさを感じる者が多い」という方向で有意差がみられた。
7. 〇印回答率から75%以上の者が腹をたてる一般的な怒り解発事態が21項目(A項目),25%以下の者しか腹をたてない非解発事態が28項目(N項目),得られた。但し,有意差105項目の中には28のN項目以外の〇印25%以下項目を18項目,含んでいる。
8. 有意差項目,A項目,N項目の組合せから若干の考察が試みられ,a)いんねんをつけられたり,わらいものにされたり,損な役まわりを押しつけられたりすること,また,世の中の矛盾した様相,自分の家庭の状況,などに対しては,delはcontより腹立たしさを感じやすいこと。b)自己認識とその対処,欠如や欠乏,親子の間柄,職場の条件,安易な風潮,当然なことや不可抗力,などに対しては,一般にはあまり腹をたてないのに,たてる人がいるとすればそれはdelに多い,c)他人の身勝手さや厚かましさ,他者からこうむる不利益,政治や行政の貧困,などに対しては全体的に腹をたてやすいこと,d)対人関係における強制,不当なとり扱いや批判,公衆道徳の無視,利己主義,に対しては一般に腹をたてやすいが,中でもdelは腹をたてやすいこと,などがとりあげられた。
9. 今後の問題点が5点指摘された。
The purpose of this study is to make clear the function of family to delinquency.
The problem of the relationship between the family as a social system and delinquency as a social phenomenon can be rightly understood only when we examine the way the family relates to each action space of delinquents.
In this paper we intended to understand mainly the relationship of the family to each developmental phase in delinquency which consist of the formation of delinquent readiness, and the control way to delinquent behavior.
The relationship of the family to the delinquency should not be considered as the same structure and function throughout one’s life cycle
In the Socialization-Depth (or each developmental phase), the function and structure of the family to delinquency is different.
(1)MJATの解釈法上の問題点があげられ,その解明のために,尺度間因子分析の意義が明らかにされた。
(2)MJATの各尺度にMJPIのEd, Li を加えて尺度間因子分析を行った結果,その尺度構造が明らかにされ,それぞれの因子の意味づけが行われた。
(3)井部の研究と本研究の異同を通じて因子の意味がより深く検討された。
(4)因子分析尺度で測定される態度の態度内構造に与える示唆が検討された。
(5)MJATにおける「社会的な望ましさ」への反応としての自己防衛の問題をとりあげ,第1因子(負極)のケース研究によってその典型例や自己防衛の少ない例などを検討し,それらが解釈法に与える示唆を検討した。
今後の問題としては各因子構成尺度によるプロフィール型と行動レべルとの関連をしらべることにより,因子の意味の実際的妥当性を検証することが必要と考えられる