犯罪心理学研究
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13 巻, 2 号
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原著
  • 青木 邦子
    1978 年 13 巻 2 号 p. 1-13
    発行日: 1978年
    公開日: 2020/01/18
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    本研究では,具体的,かつより現実に近い反応を知るための用語の選択と,サーストン法による評定と具体的用語による評定の比較,その他がとりあげられた。その結果は次のようにまとめられる。

    1.自由記述により集められた106語の怒りを表現する語について,どの程度の腹立たしさを示すかがサーストン法によって評定され,17語句が調査用として選ばれた。それらのMdnは0.3~8.5でQ-Vは0.5~2.2,Q-Vの平均は1.3である。

    2.サーストン法の評定と具体的用語による評定の比較では,研究Ⅱの結果にもとづいて選ばれた154項目について,サーストン法で0-9段階の評定を行なわせたものと,調査用として選ばれた17語句による評定の結果とが用いられた。その結果,全ての項目においてサーストン法のMdnよりも17語句のMdnの平均値の方が小さく,この傾向はサーストン法のMdnが大きくなるほど顕著であった。すなわち, 「あなたはこういう事態にどのくらい腹を立てるか」と聞く場合と,「こういう時にはいつもどのような言葉を使うか,えらんで下さい」と聞く場合では結果にかなりのちがいがでて来ることが示された。また,一般にはあまり望ましいことではないけれども自分にはほとんど関係のないこと,あるいはむしろ有利に働らくこと,自己ヘの批判,などの場合には,サーストン法のMdnは高く,17語句法のMは低くなる傾向が示された。いわゆるタテマエとホンネの反映であろうか。

    3.65名の被験者の用いた語句の頻度が検討された。第1位:面白くない(3.1)※3 20.2回,第2位:やりきれない(2.5)19.1回,第3位:仕方がない(0.5)18.9回,第4位:頭に来る(5.7)13.7回,第5位:不愉快だ(5.2)11.9回,第6位:なんとなくいやだ(1.3)11.2回,第7位:がまんがならない(6.9)10.5回,などである。それによると0.5~3.1で69.4回,45%5.2~6.9で36.1回,23%,となり合わせて68%,約2/3が占められている。従ってそれほど語彙が分散するわけではないことが示されている。

    4.17語句法による個人の平均値とその個人内の標準偏差から,四つの型が想定された。H-H型:M,S.D共に高;L-L型:M,S.D共に低;H-L型:M一高,S.D-低;L-H型:M-低,S.D-高,である。個人別にこの型に分類したところ,各々,19人,21人,10人,15人となっていた。次の「研究Ⅳ」ではこの型の分析を中心として,非行群・統制群の資料をもとにして考察する予定である。

資料
その他
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