この論文は,我が国における過去数十年間の,犯罪者・非行少年に対する人格アセスメントの理論体系とその進展を概観し考察しようとするものである。
序論では,問題意識,重要なコンセプトや用語の定義や説明等,考察の対象(「犯罪心理学研究」1巻~46巻所載の該当論文260本), 考察の手順(研究態様による考察と研究内容による考察の2手順)が述べられる。
本論では,主に上記の「研究内容による考察」の手順により,以下のような4つの一般的人格査定の進展的段階と時代的推移とを複合させた枠組みを用いて,我が国におけるこれまでの犯罪者・非行少年に対する人格査定研究の理論的基盤の概観と考察が試みられる。
(1)全体観的・形態学的人格類型論
(2)精緻な心理測定理論・技法を用いた人格特性論
(3)複数要因の構造化と時間的推移を踏まえた人格力動論
(4)一般的法則性による追求の末に開ける価値的理解
上記の4段階は,興味深いことに,個別的な人格アセスメントにおける連鎖的技法編成の際に,ほぼこのとおりに採択されるものと考えられる。
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