1) 因子分析の結果,次の8因子が得られた。
Ⅰ:ひがみを根底とする非合理的な腹立たしさ。因子得点の高い者は非行群に多い。
Ⅱ:世の中の矛盾,それから来る不合理なとり扱いへの腹立たしさ。因子得点の高い者は女子に多く,低い者は非行群に多い。
Ⅲ:身勝手な人,わがままな人への腹立たしさ。因子得点の低い者は男子と非行群に多く,女子には極めて少ない。
Ⅳ:持てないもの,できないことへの腹立たしさ。因子得点の高い者も低い者も男子に多く,非行群ではあいまいな者が多い。
Ⅴ:“自己のおかれた困難な状態への他人の対応”への腹立たしさ。因子得点の高い者は男子に多く,低い者は非行群に多い。
Ⅵ:対人環境における居心地の悪さへの腹立たしさ。因子得点の高い者は非行群に多く,低い者は男子に多い。
Ⅶ:法律で禁止されていることやタブーとされていることを侵すことへの腹立たしさ。因子得点の高いものは非行群に多く,男子では少ない。
Ⅷ:自我内部でひきおこされる不安への腹立たしさ。因子得点の高い者は非行群に多く,低い者は男子に多い.
2) 用語の分析から次のようなことが明らかにされた,各群で使用頻度の高かった5語をあげておく。
①男子:仕方がない,頭に来る,不愉快だ,まあいいじゃないか,面白くない。
②女子:仕方がない,不愉快だ,頭に来る,やりきれない,面白くない。
③非行群:仕方がない,何となくいやだ,頭に来る,気にくわない,面白くない。
3) 尺度値の分析から次のようなことが明らかになった。項目番号をあげておく。
①三群に共通して高い尺度値を与えられたのはNo.3,4,9,11,19,で, 3,4,9,19 はいづれの因子にも含まれていない。
②男子・女子に共通しているのはNo.10,26で,また,女子・非行群に共通しているのはNo.15で,いづれも第三因子に入っている。
③男子のみで尺度値が高かったのはNo.63,64,49で,49はいづれの因子にも含まれていない。
④女子のみで尺度値が高かったのはNo.17,24で,いづれも女子に特徴的な因子に含まれている。
⑤非行群のみで尺度値が高かったのはNo.7,13,20,72で,7,20はどの因子にも含まれていない。この7と20が非行群において高い尺度値を与えられていることは他の二群にくらべて特徴的であるといえよう。
最後に,今までと同様,今回の報告でも三群の有意な差をもとめるという意図はなく,従っていわゆる差の検定はしていないことをお断りしておく。
Three investigations were carried in a juvenile training school in Japan on the assumptions of Part I of this article.
In Research 1, a tentative typology (Typology 1) was constructed from interpersonal axes by using questionnaires, interview method and semantic differential tests.
In Research 2, the validity of the typology was checked by using questionnaires to staffs. And the dimensions for constructing a treatment typology which is based on the typifications of staffs and inmates were investigated by using a method which is similar to Q-sort technique.
In Research 3, a treatment typology (Typology 2) was constructed as the results of Research 1 and 2 and of intensive case analyses. The dimensions of typology are interpersonal orientation, interpersonal skill and value orientation.
八王子医療刑務所における男子身体疾患者について3か月にわたって行ったGTにより次のような結果を得た。
(1) 当所のごとき特殊集団においてGTを行う場合収容者各人の治療条件,施設内における生活環境について配慮することが必要である。
(2) GTに参加しない,いわゆる背景集団についてのきめのこまかい考慮もGT成功のための重要なポイントになると思われる。
(3) Dグループに対するGTの成果の可否が再犯防止のための鍵になるのではないかと考えられる。
(4) 収容者の抵抗,不満などをいかに受けとめるかが,治療効果,教育効果に関与すると思われる。