犯罪心理学研究
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12 巻, 2 号
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原著
  • 高橋 良彰
    1977 年12 巻2 号 p. 1-8
    発行日: 1977年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    犯・非行の事前抑止という見地から,各種社会的制裁の抑止カについて,一般青少年を対象として分析した。取り上げた社会的制裁は,法執行機関による公的な制裁と法執行機関によらない非公的な制裁である。具体的には次のとおりである。1)家の人との関係が非常にまずくなる。2)クラスの友達との関係が非常にまずくなる。3)先生との関係が非常にまずくなる。4)今いる学校をやめなければならなくなる。5)将来の進学や就職が難しくなる。6)警察で取り調べられたり注意されたりする。7)裁判にかけられる。8)少年院や刑務所に入れられる。これらの制裁を,つらさという軸で一対比較させた。尺度化は合成標準法によった。対象者は,中学2年生の男女,高校2年生の男女,大学生の男女。

    主な結果:男子について――各学年とも,公的制裁としての「少年院や刑務所に入れられる」が最もつらいとされており,これが中・高・大生にとって大きな犯・非行抑止要因となりうるが,家族との関係とか将来の進学や就職が難しくなるといった非公的制裁も十分大きな影響を持つ。特に中学生のような年少者では,家族関係による制裁が重要な犯罪抑止要因であり,高校生・大学生と年長になるにつれて,将来の進学や就職が困難になるということが重要な抑止要因となってくる。

    女子について――大わくとしては,男子とよく以ており,「少年院や刑務所に入れられる」が各学年とも最もつらいとされている。次に家族との関係が各学年共通してあげられている。男子と比べて異なる点は,クラスの友達との関係が各学年とも男子に比べてつらいほうに位置していることである。逆に,将来の進学や就職が男子に比べて重みが軽くなっている。発達的傾向は男子と同じであり,年長群ほどその重みは増してくる。

  • 青木 邦子
    1977 年12 巻2 号 p. 9-20
    発行日: 1977年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    前回の研究ではいわゆる“腹立たしさ”とか“怒り”がどのような領域に分かれているかが検討されたが,今回はそれらの領域が実際にはどのような構造をもっているかが検討された。前回の研究での質問項目からdel項目,N項目,A項目が選び出され,154項目について前回と同様に腹が立つか立たないかを〇,Xで回答させた。その結果が因子分析され,7因子といずれにも含まれない残りの30項目とが得られた。

    得られた因子は次のように解釈された。

    第一因子:単純な怒り……主に他者との関係のあり方に焦点があわされている。

    第二因子:不平不満が多く何となく面白くない………delに特徴的な因子

    第三因子:幼雅な倫理観にもとずく末熟な判断………delに特徴的な因子

    第四因子:無力感,疎外感,と他者への羨望………delに特徴的な因子

    第五因子:境遇への不満と世の中の矛盾への絶望感…delに特徴的

    第六因子:普通は腹立たしさを感じないが,まれには感じることもあり,それは非行群に多い,

    第七因子:他人には理解できない被害感……delに特徴的,

    今後の研究の方向としては次のようなことが考えられた。非行群では情緒の強さに幅がないこと,どちらかというとカッとするかしないかの二通りでしかもカッとすることが多い面がある。そこで彼らのおこす怒りの強さを五段階評定で測定し同一事態への評点をdelとcontの間で比較すること,またひきおこす情緒の質に分化度の少ないことも予想されるので特にN項目やdel項目のX印回答の情緒の質を形容句の選択によって検討してみたい。

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