音楽教育学
Online ISSN : 2424-1644
Print ISSN : 0289-6907
ISSN-L : 0289-6907
39 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究論文
  • ―その構造的特殊性と生成に至る教育的背景―
    嶋田 由美
    2009 年 39 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2009年
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル フリー

     本稿は, 1900年前後に作られた唱歌の基本拍内同音反復のリズムを持つ特徴, いわゆる「唱歌調」の構造的特殊性と, それを生み出すに至った教育的背景について明らかにするものである。

     1882年発刊の『新体詩抄』で提唱された七五調による詩形は, その後の唱歌歌詞の基本構造となり, この七五調を唱えることから, 次第に今日「唱歌調」と言われる同音反復のリズムを持つ楽曲構造が生み出された。この背景には, 1890年の「教育勅語」渙発以降, 教育内容が徳育に特化され, 七五調の唱歌歌詞にもさまざまな徳目が詠い込まれる必要性があったこと, そして唱歌が地理や歴史等の他教科教育の補助的手段となり, 他教科の教育内容を歌詞に持つ唱歌を教授することによって, 唱歌科としての位置づけを得ようとしたことが挙げられる。即ち, この期の「唱歌調」と言われる唱歌は, 基本拍内同音反復のリズムに七五調の教科的, 或いは教訓的な歌詞内容を入れ込んで徳育に資すことを目的としたものであった。

研究論文
  • 菅 裕
    2009 年 39 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は, 経験年数の異なる吹奏楽指導者の演奏診断および演奏指導の方法, さらにその背後にある指導観の違いについて分析することにより, 演奏指導力の熟達化を特徴づける要因について考察することにある。中学生による吹奏楽合奏VTR視聴中の各指導者の内言発話および各指導者自身による合奏指導の内容のカテゴリー分析とPAC分析に基づくインタビューの結果, 経験年数が比較的短い4名の指導者が「正確な演奏の追求」を重視しているのに対し, 経験年数の最も長い指導者は, 楽曲構造についての演奏者の総合的な音楽理解を促進し, それに基づく自発的・積極的表現姿勢を引き出すことを重視していた。また経験年数が比較的短い指導者の中心的指導方法が「指示」であるのに対し, 経験年数の長い指導者の場合は「指示」の割合が相対的に低くなり「モデリング」「理論的説明」「メタファー」「質問」の使用頻度が高かった。

研究動向
書評
feedback
Top