【目的】 先天性水腎症を超音波検査(Ultrasound sonography:以下,US)で評価するさいの客観性について検討する。
【対象】 先天性腎盂尿管移行部狭窄症と診断された小児17名(男15名,女児2名,範囲0カ月∼110カ月,平均月齢21カ月)における合計31腎。
【方法】 順天堂大学医学部6年生と小児科医が同時にUSにおける水腎症の重症度評価を行った。そのさい,腎盂最大前後径 (Central echo complex; 以下,CEC) を計測するCEC計測法と胎児泌尿器科学会 (Society for Fetal Urology; 以下,SFU) が提唱した表記法 (以下,SFU分類法) による記載を行い,両者の結果を比較した。
【結果】(1) CEC計測法の計測値とSFU分類法のGradeはよく相関した (相関係数r
s=0.943,危険率P<0.01)。
(2) CEC計測法でもSFU分類法でも医師と学生の判定は7割以上の例で完全一致した。
(3) 学生と医師の所見が全く異なる例は,CEC計測法で3.2%,SFU分類法で0.0%であった。
【結論】 SFU分類法は従来のCEC計測法と互換性があり,同等以上の客観性・迅速性も有する。したがって今後,先天性水腎症のUS評価にはSFU分類法を用いた方がよいと思われた。
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