本研究では, 従来とは測定理論が異なる非定常プローブ法によって, パン製品およびその副材料の有効熱伝導度を凍結温度や澱粉の糊化温度を含む広範囲な温度領域において測定し, 状態変化あるいは温度への依存性について考察を行った. 製パン産業においてはフレッシュな製品の供給や不規則労働の軽減が図れることから, 冷凍生地による製パン法が最近になって注目を集めており, この製パン法の確立が急務となっている. 今回実測した熱物性値を用いてパン生地冷凍過程における温度分布変化を数値計算によって求めたところ, 計算結果について十分な妥当性が確認でき, このような数値計算の手法が生地の冷凍障害を軽微に抑える最適な生産条件の推測に活用できることが示唆された.
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