日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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20 巻, 1 号
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解説
  • 大西 正展
    2019 年 20 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2019/03/15
    公開日: 2019/03/30
    ジャーナル フリー

    様々な手法を用いて食品の香りを分析することにより,おいしさに関わる要因の解明を目的として研究を行った.食品を食べているときの香りを高い再現性で発生させる装置としてretoronasal aroma simulator(RAS)を用いて食べているときの香りを分析し,果物の果汁感,本物感を高めて味に効く香料RASAROMA®を開発した.RASを用いることにより砂糖の有無やミルク添加によるフレーバーリリースの変化率をデータ化できることを示した.香気成分の疎水性と乳脂肪分の相関性に着目して,ミルク飲料処方中の乳脂肪分の設定から香気成分ごとのリリースの抑制率を推定する手法を提唱した.おいしさの解明を目的として行った一連の香りの研究を通じて,ヒトが感じる食品の香りは咀嚼行為や食品の基材,食べてからの時間によって変化することを明らかにし,おいしさの要因が複雑であることを再認識するに至った.

技術論文
  • 蔦 瑞樹, 吉村 正俊, 葛西 智, 松原 和也, 和田 有史, 池羽田 晶文
    2019 年 20 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2019/03/15
    公開日: 2019/03/30
    [早期公開] 公開日: 2019/02/17
    ジャーナル フリー

    2015年および2016年に収穫されたリンゴ‘ふじ’576個の可視-近赤外分光スペクトルをリンゴ用の選果機により取得した.スペクトル取得1ヶ月後に試料の切断面をスキャンし,内部褐変発生の有無を判定した.選果機に搭載されている上部・下部の分光器で取得したスペクトルそれぞれについて,新規に考案した総当たり差吸光度を含む様々な前処理を適用し,partial least squares discriminant analysisにより内部褐変発生の有無を予測するモデルを構築した.上部,下部それぞれについて誤判別率が最小となるモデルを組み合わせた「メタモデル」を構築したところ,誤判別率19.8%,感度88.6%,特異度78.1%の精度で内部褐変発生を予測可能であった.本研究では実際にリンゴの選果施設に導入されている装置を用いた.したがって,本研究の成果は容易に選果現場に応用可能であり,‘ふじ’の付加価値向上に寄与することが期待される.

ノート
  • 大木 梓織, 佐藤 千樺, 久保田 菜月, 中嶋 奎太, 石川 匡子, 秋山 美展
    2019 年 20 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2019/03/15
    公開日: 2019/03/30
    [早期公開] 公開日: 2019/02/17
    ジャーナル フリー

    馬鈴薯澱粉にパルミチン酸を添加し,加熱処理により難消化性を付与させた澱粉についてX線回折法(XRD)による分析と,澱粉と複合体を形成しうる脂肪酸量の定量を行い,両者の関係から澱粉-脂肪酸複合体形成に伴う分子構造変化について調べた.XRD分析において,脂肪酸添加により2θ=13, 19°付近に新たなピークの出現が確認された.新たな2つのピークが加熱温度上昇に伴い増加する内部脂肪酸量と強い正の相関を示したことから,澱粉-脂肪酸複合体由来の構造を反映したピークであることが示唆された.

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