日本図書館情報学会誌
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62 巻, 3 号
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論文
  • 福田 悟志, 難波 英嗣, 竹澤 寿幸
    2016 年 62 巻 3 号 p. 145-162
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/07
    ジャーナル フリー

    本研究では,科学研究費助成事業データベース(KAKEN)の分類体系に基づいて,学術論文を機械学習により横断的に分類する手法を提案する。これまで,論文を効率的に分類するための情報として,研究者名や雑誌名などが用いられてきた。我々は,これらの情報に加え,論文固有の特徴表現である要素技術とその効果に着目する。一般に,論文には,新しい技術(要素技術)を用いて得られた新たな研究成果(効果)が記述されている。このような研究動向を示す表現は,特定の研究分野の特徴を表す重要な手掛かりになる。提案手法の有効性を検証するために,KAKEN の研究課題データとCiNii articles の論文データを用いて実験を行った。そして,KAKEN の分類体系である「分野・分科・細目表」を対象とした時,それぞれ平均0.853,0.712,0.615 の分類精度が得られた。これらの値は,要素技術とその効果に関する表現を用いない場合より高いことから,本手法の有効性が確認された。

  • 南 友紀子, 岩瀬 梓, 宮田 洋輔, 石田 栄美, 上田 修一, 倉田 敬子
    2016 年 62 巻 3 号 p. 163-180
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/07
    ジャーナル フリー

    本研究では,van Deursen らの「デジタルスキル」を基礎に,従来の情報検索の専門的なスキルを組み込んだウェブ環境における情報検索スキルの現状を明らかにすることを目的とする質問紙調査を行った。2014 年8 月にオンライン調査を実施し,1,551 名から回答を得た。その結果,ウェブ環境で検索を行う人々は,(1)ブール演算子などの高度な情報検索技法は用いない,(2)ウェブ上の情報の形式は理解している,(3)検索語の選定に対する意識は高い,(4)一定の評価方針のもとに複数の検索結果を閲覧する,(5)インターネットから恩恵を受けていると感じている,ことが明らかになった。階層的クラスタリングにより回答者を8 クラスタに分割し,高い情報検索スキルを持つクラスタを特定した。この高能力者群は,比較的若く,男性が多く,学歴が高く,批判的思考能力と自己認識が高かった。高能力者群は全てのスキルの平均得点が最も高いが,検索技法に関するスキルのみ得点は大幅に低かった。

  • 村上 幸二
    2016 年 62 巻 3 号 p. 181-199
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/07
    ジャーナル フリー

    目録に件名を付与する際の典拠となる件名標目表は,我が国の標準件名標目表としては基本件名標目表(BSH)があるが,小学校の図書館目録を対象とした件名標目表としては小学校件名標目表がある。主要な民間MARC には,BSH による件名が採用されている場合が多いが,OPAC に小学校件名標目表とBSH を統合的に利用できる機能を備えれば,児童が親しみやすい言葉で主題を選びつつ,BSH を用いた主題検索の可能性が広がると考えられる。本稿では,小学校件名標目表とBSH に付されているNDC と各参照指示をベースとして両件名標目表の用語や表記の相違点に焦点を当て,両者を統合的に検索できる手法を検討した。システムを試作して実験を行った結果,多くの場合においてNDC と各参照指示のリンクが有効に機能することが認められた。一方で,文字列による検索機能に依存しなければならないケースなども示された。

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