日本図書館情報学会誌
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55 巻, 4 号
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論文
  • 國本 千裕, 宮田 洋輔, 小泉 公乃, 金城 裕奈, 上田 修一
    原稿種別: 論文
    2009 年 55 巻 4 号 p. 199-212
    発行日: 2009/12/28
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は読書の行為に焦点を当て「読書とはいかなる行為であるのか」を明らかにすることを目的としている。既存の読書研究は,読書の対象や,児童や生徒に対する読書指導といった側面に焦点を当てるものが多かった。これに対して本研究は,個人の行う読書は様々な次元からなる行為であると考え,成人を対象として読書の次元を明らかにしようと試みた。20代から40代の計29名を対象にフォーカス・グループ・インタビューを5回実施し,発言を分析した結果,読書とは,対象(何を読むのか)に加えて,志向(なぜ・何のために読むのか),行動(どのように読むのか),作用(読んだ結果何を得るのか),場所(どこで読むのか)の五つの次元から成る行為であることが明らかになった。特に対象は,物理的媒体,ジャンル,内容評価といった観点からみられる可能性が示唆された。
  • 橋詰 秋子
    原稿種別: 論文
    2009 年 55 巻 4 号 p. 213-229
    発行日: 2009/12/28
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    書誌レコードの機能要件(FRBR)をOPACに適用するFRBR化は,近代目録にとって積年の課題であったcollocation機能の実現であり,情報量が増大する現在においても有用だと考えられる。既存のMARCレコードを用いたFRBR化を日本で進める際の基礎データを得るために,日本の標準的なMARCであるJAPAN/MARC(J/M)フォーマットを,FRBRによって分析した。具体的には,J/Mのデータ要素とFRBRで示される実体,属性及び利用者タスクとの対応付けを行い,結果を整理した。さらに,目録の機能を考える上で重要な概念である「著作」という観点から,J/Mの機能的特徴を探った。その結果,次のことが明らかになった。(1)J/Mのデータ要素に結びつく実体は,「体現形」が最も多く全体の約3割を占めていた。(2)J/Mは,MARC21と比べて,「著作」に結びつくデータ要素が少なく,「著作」に関するタスクの達成に弱かった。J/MとMARC21の「著作」に関する機能の相違は,両者のアクセスポイントの機能の違いだと考えられる。
  • 寺澤 正直
    原稿種別: 論文
    2009 年 55 巻 4 号 p. 230-244
    発行日: 2009/12/28
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,民間所在史料の危機状態に対する個人所蔵者の意識状態と対応能力の関係を明らかにすることである。民間所在史料に関する文献を対象として文献調査を行い,史料の危機状態に関する事項と,個人所蔵者の史料に対する意識状態および負担への対応能力に関する事項を抽出した。前者を従属変数,後者を独立変数とし,両者の関係を分析する。文献調査により,5つの従属変数と20の独立変数が抽出され,それぞれの関係を分析することで,従属変数に対する独立変数の関係が明らかにされた。例えば,従属変数「売却により史料が処分される状態」は,独立変数「所蔵物が史料であると知るが,史料の継続保存に理解のない意識状態」および「史料の継続保存に理解はあるが,史料の利用に理解のない意識状態であり,維持保存と文化行政機関とのコミュニケーションのために被る負担への対応能力を持たない」に関係付けられる。
  • 渡辺 暢恵
    原稿種別: 論文
    2009 年 55 巻 4 号 p. 245-269
    発行日: 2009/12/28
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    現在,小・中学校図書館では,新学校図書館図書整備5か年計画に基づき図書の充実が図られ,蔵書のデータベース化も進められている。1997年の学校図書館法改正により,12学級以上の学校には司書教諭が配置され,さらに,学校司書を置く市町村も増加している。また,学校間・公共図書館との連携を図り,学校図書館の活用を促進する方法が広まっている。本稿では,千葉県内市町村の学校図書館に対する支援の現状について調査した結果を分析し,今後の学校図書館活用の方向性を考察した。その結果,蔵書のデータベース化は市町村の人口規模によるのではなく担当者の考えで実施される傾向にあること,千葉県では司書教諭への理解は不十分ではあるが,学校司書の配置率が全国と比較して高いこと,公共図書館の支援がよく行われ,学校間を含めた連携が進む中で,学校図書館支援センターへの関心が高まっていることが明らかになった。
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