日本図書館情報学会誌
Online ISSN : 2432-4027
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52 巻, 4 号
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論文
  • 海野 敏, 影浦 峡, 戸田 愼一
    原稿種別: 論文
    2006 年 52 巻 4 号 p. 205-221
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,近代における図書館の存在意義と社会的機能を明らかにすることである。そのために,主体とメディアの関係を手がかりとし,哲学,社会学,メディア研究等の先行研究を照査した。メディアが近代的主体の成立に寄与するための客観的条件を考えたところ,すべての条件を初めて満たしたのは印刷本であった。また,現在に至るまで印刷本だけが近代的主体の成立に寄与してきたことがわかった。さらに,19世紀に欧米で成立した近代図書館は,理念的には近代的主体の理想を純粋に体現していた。以上より,近代における図書館の本源的な社会的機能は,印刷本を媒介として近代的主体の成立,維持,強化に寄与するものであることを示した。
  • 松戸 宏予
    原稿種別: 論文
    2006 年 52 巻 4 号 p. 222-243
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,特別な教育的ニーズをもつ児童生徒に対する(1)学校司書の意識と現状,(2)学校司書の対応に際しての悩み,(3)学校司書の悩み対処を研修,学校職員との相談,連携に注目しながら明らかにすることを目的とした。14の自治体の公立小学校・中学校司書209名を対象に質問紙調査を実施した。結果として,学校司書の8割が関わりをもち,特別な教育的支援を意識する学校司書ほど悩みを抱えがちであった。因子分析から学校司書の特別な教育的支援における悩みは「躊跨感」,「拘束感」,「不安感」の3因子が抽出された。悩みの対処では,特別な教育的支援に関連した研修の参加,養護教諭やスクールカウンセラーなど評価を担わない職員への相談,学校職員との連携を図ることにより,特別な教育的支援に対する「躊躇感」,「不安感」はある程度軽減される傾向にあった。しかし,「拘束感」については,学校司書を取り巻く勤務時間など外的環境を整える必要がある。
研究ノート
  • 藤谷 幸弘, 前田 博子
    原稿種別: 研究ノート
    2006 年 52 巻 4 号 p. 244-256
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,韓国の首都であるソウルの公立図書館の設置状況や施設概要を明らかにし,かつそれらが1995年から2005年の10年間にどのように変化したかを分析したものである。変化の実態については,一般閲覧室と総合資料室の利用時間およびそれらの空間計画に着目した結果,次の3点が明らかになった。1)市立図書館の一般閲覧室の利用時間は,早朝6時の開館が夏季1時間,冬季2時間遅くなったが, 22時の閉館時間に変化はない。2)一般閲覧室の部屋数や座席数が図書館の規模を大きくしているが,両者とも減少している。3)総合資料室やデジタル資料室の新設のため,一般閲覧室の移動や削減を行う方法が取られることが多い。10年間にソウルの公立図書館の代表的な機能である一般閲覧室が減少し,総合資料室が新しく設置されていくメカニズムを読み取ることにより,韓国特有の公立図書館の発展過程の一端を明示した。
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