本稿では,特別な教育的ニーズをもつ児童生徒に対する(1)学校司書の意識と現状,(2)学校司書の対応に際しての悩み,(3)学校司書の悩み対処を研修,学校職員との相談,連携に注目しながら明らかにすることを目的とした。14の自治体の公立小学校・中学校司書209名を対象に質問紙調査を実施した。結果として,学校司書の8割が関わりをもち,特別な教育的支援を意識する学校司書ほど悩みを抱えがちであった。因子分析から学校司書の特別な教育的支援における悩みは「躊跨感」,「拘束感」,「不安感」の3因子が抽出された。悩みの対処では,特別な教育的支援に関連した研修の参加,養護教諭やスクールカウンセラーなど評価を担わない職員への相談,学校職員との連携を図ることにより,特別な教育的支援に対する「躊躇感」,「不安感」はある程度軽減される傾向にあった。しかし,「拘束感」については,学校司書を取り巻く勤務時間など外的環境を整える必要がある。
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