日本図書館情報学会誌
Online ISSN : 2432-4027
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47 巻, 3 号
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論文
  • 河井 弘志
    原稿種別: 論文
    2002 年 47 巻 3 号 p. 97-112
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    19世紀のドイツの民衆図書館は,下層民衆を対象とする貧民給食所のような慈善図書館であり,英米の影響を受けたネレンベルクらは,これを全住民を対象とする図書館に変革しようとした。民衆教育普及協会事務局長ヨハネス・テーフスは,下層民衆のための民衆図書館の普及に力を注いだ1人であった。彼は社会民主主義の影響を受け,下層民衆と労働者の教育の充実につとめ,民衆学校とギムナジウムに二分する複線型学校制度を批判した。のちにネレンベルクらの影響によって全住民のための民衆図書館論に転換し,閲覧室つきの図書会館を主張し,図書館の中立性を守るために公立化を回避し,有料制もやむをえないと言った。しかしテーフスのとらえた全住民の中心には常に下層民衆があり,これが彼の民衆図書館思想を根底から規定していたようである。
  • 石井 啓豊
    原稿種別: 論文
    2002 年 47 巻 3 号 p. 113-129
    発行日: 2002/01/31
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    図書館概念を再検討することを目的として,ソフトシステム方法論における人間活動システムという視点を取り上げた。この視点から,現在通用している様々な図書館タイプに関する定義を分析することによって,図書館は変換過程,すなわち,「資料・情報を固有の利用者集団に提供する活動」を共有することを確認した。人間活動システムとしての図書館が,何らかの所有者のもとで一定の目的を持つこと,および上述の変換過程を共有することに注目して図書館の基本定義を作成した。さらに,基本定義を基礎として図書館概念を再検討するための枠組みとして,ロジスティクスという観点を提示した。すなわち,図書館の活動は「所有者が設定した役割に沿って,資料・情報を固有の利用者に届けるためにその移動と保管を実行,管理すること」という見方である。しかし,現在のロジスティクス概念はビジネスなどの活動を対象としており,また情報を直接には対象としていない点からも図書館に適用するには十分ではない。今後,ロジスティクス概念を検討して,情報に関するロジスティクス概念を開発する必要がある。
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