日本図書館情報学会誌
Online ISSN : 2432-4027
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57 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • 利根川 樹美子
    原稿種別: 論文
    2011 年 57 巻 4 号 p. 107-123
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の目的は,昭和27年(1952)〜40年(1965)の大学図書館の司書職法制化運動において,大学関係法令の特性が,法制化の提案や大学図書館の諸側面に及ぼした影響を明らかにすることである。法制化の提案内容を整理し,大学関係法令の特性を検討し,両者の関係を分析した。その結果,法令の特性が及ぼした影響として,次の五つの事項を示した。(1)大学図書館の専門的職員の設置を必置義務とする提案と大学の自治の尊重との矛盾,(2)専門的職員の配置を求める大学図書館が,大学へ働きかけ,承認を得ることの必要性,(3)専門的職員を法令上の"必要な職員"とする解釈の妥当性,(4)大学図書館の組織としての機能に対する大学関係法令の制約,(5)大学図書館司書の研究能力の定義と資格規定が整合していることの必要性である。以上のことから,司書職法制化の提案がいずれも成立しなかった要因として,大学関係法令の特性の影響があったことが明らかになった。
  • 谷口 祥一
    原稿種別: 論文
    2011 年 57 巻 4 号 p. 124-140
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    総合目録ネットワーク「ゆにかねっと」のレコード群を対象に,機械的な書誌同定と著作同定を試みた。どの程度機械的同定が可能であるのか,どのような選択肢が有効であるのかを検証した。DC-NDL形式の書誌レコードから指定したフィールドの値を抽出し,正規化処理を加えて同定キーを生成し,同定用に保持したデータベースと照合する方式とした。タイトルや著者の採用する範囲,同定キーの組み合わせ方,その他の選択肢について,それぞれ機械的同定処理を実行し,人手により形成した正解集合との照合に基づき評価を行った。その結果,機械的な書誌同定と著作同定はともに十分に機能することが示された。併せて,1)採用した正規化処理の有効性,2)シリーズタイトル以外のタイトルとそのよみの包括的な採用,タイトルの分解・組み立ての採用の有効性が,また3)著者とそのよみの包括的な採用,出版者による著者の代用の有効性がそれぞれ示された。
  • 匂坂 佳代子
    原稿種別: 論文
    2011 年 57 巻 4 号 p. 141-160
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    ビッグ・ディール契約の課題を明らかにするために,日本の中小理工医学系国立大学における電子ジャーナルの需要と提供の実態として利用と契約状況の双方を調査し,それらの関連性を探った。協力の得られた9大学を対象とし,研究者に対するウェブを用いた質問紙調査及び,図書館に対する契約状況調査を行った。更に,2大学の図書館員にインタビュー調査を行った。研究者からは,250人(回答率7.7%)の回答を得た。研究者の電子ジャーナルの需要は高かった。一方,図書館は,ビッグ・ディール契約におけるパッケージを維持するために,研究者の需要があるいくつかの学会誌等が契約できない状況が確認された。研究者の需要と図書館からの提供にはずれが生じていたが,現状では図書館は,ビッグ・ディール特有の価格設定のために修正は難しいことも明らかになった。この要因により,研究者の私費購読や他大学の知人への依頼という利用実態があると考えられた。
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