本研究は,英語学習法の1 つである英語多読について,その方法論の特徴と課題について整理し,それを踏まえて英語多読における学校図書館活用の意義,英語科教諭と司書教諭との連携について考察することを目的とする。
研究方法は文献調査である。1990 年代以降の日本の英語多読教育に多大な影響を与えたDay,Richard R.とBamford,Julian,酒井邦秀らの学習原則および指導原則を比較し,その上で,日本の中等教育における英語多読の実践に関する文献を時系列に整理した。その結果,日本における英語多読の実践では,酒井が提唱した多読三原則の影響が非常に大きいが,多読三原則は指導の側面に欠け,生徒が自由に本を選ぶことを重視していない点に課題があることを指摘した。中等教育における英語多読では学習の側面を疎かにすることはできないため,英語科教諭の指導が欠かせない。司書教諭は英語科教諭と連携して読書と学習の両側面を支援することが重要である。
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