日本図書館情報学会誌
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48 巻, 4 号
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論文
  • 中村 百合子
    原稿種別: 論文
    2003 年 48 巻 4 号 p. 147-165
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,終戦から1947年5月までの,米軍による占領の初期における学校図書館改革の着手ついて,日米に残された史料と当時を生きた先駆者のインタビューによって明らかにした。教育改革,新教科課程の成立,学校教育法施行規則の立案,学校図書館コンサルタント招聘に関する文書によれば,1946年の秋には,すでに日米双方の中央の関係者に,学校図書館の必要性が認識されるに至っていた。またインタビューの証言によれば,学校教育現場においても,1947年の春までに,現場の教師や児童・生徒の間に読書を支える施設を求める動きが生まれてきていた。そして,1947年春に学校図書館コンサルタントのグラハムが来日したことを契機に,改革の動きは両国関係者の協同作業へと展開した。グラハムは「学校図書館の手引き」の編集作業その他を通して,日本の教育者や図書館関係者に積極的に学校図書館に関する指導および啓蒙を行い,改革の着手のためにリーダーシップを発揮した。
  • 山田 正行
    原稿種別: 論文
    2003 年 48 巻 4 号 p. 166-174
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    厳密で総合的な研究こそ,信頼できる歴史認識の基礎となる。近年,グローバリゼーションの趨勢において,隣国との関係が緊密化すると同時に,かつての戦争の歴史認識が議論され,国家の行動たる戦争の様々な記録・資料の調査・収集・整理が求められてきている。このような課題に対して,小論では,社会教育学的視点から国立国会図書館の役割に注目し,国立国会図書館法の改正をめぐる議論,および改正を目指す市民の自己教育運動の過程と意義を考察する。そのために,国立国会図書館法の改正を提起して様々な活動を進める「戦争被害調査会法を実現する市民会議」を取り上げ,自己教育運動論の視点からその生成と展開を論じ,それがグローバリゼーションの進展下で国際的広がりを示している意義を示す。その上で,隣国との歴史の共通認識や共通教育が議論される状況に対して,戦争の記録・資料を調査・収集・整理・提供できるシステムを作るための国立国会図書館の役割の重要性を提示する。
研究ノート
  • 田中 久文
    原稿種別: 研究ノート
    2003 年 48 巻 4 号 p. 175-181
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    2001年7月大臣告示となった図書館法18条の「望ましい基準」は,それまでの半世紀の間当局の数次に亘る努力にもかかわらず実現にいたらなかった。まずその必然性を,基準案の内容と当時の行政の優先度が図書館法旧19条の「最低基準」の重視にあったと見る。次に,今次委員会が当時とは異なった意味で難しくなった国・地方行政を背景として検討を始めた経緯を述べる。審議課題の中で,図書館界の関心も高く委員会でも議論のあったいくつかの事項について,現今の行政の基調と筆者個人の問題意識を述べる。最後に,2001年4月から施行された英国公共図書館基準について,また我が国の基準の受け手としての教育委員会と図書館との係わりについて私見を述べる。
学会記事
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