本研究の目的は,地方の基礎的自治体管下の図書館によって広域で形成される連携機能を定量分析することと,そこで評価された連携機能の都道府県域での有効性を制度分析することである。最初に,地方の基礎的自治体管下の図書館を,連携機能の異なる複数の自治体群に区分し,各運営実績を,投入要素等との関係において定量分析した。その結果,コンピュータシステムが統合され,かつ域内資料搬送網が形成された自治体群が,他の自治体群より統計的に有意に高い運営実績となる傾向にあると評価された。次に,広域を包含する都道府県域での当該連携機能の一括組み込みについて,地理的範囲や他の公の施設との比較という視点から制度分析した。その結果,この一括組み込みは有効であるが,機能の一体化やそれに伴う費用分担等も発生するため,伝統的な図書館法の枠組みにとどまらず,契約型による階層の異なる自治体間の垂直的な協力が必要になることが確認された。