日本図書館情報学会誌
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61 巻, 4 号
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論文
  • 斎藤 未夏, 永田 治樹
    原稿種別: 本文
    2015 年 61 巻 4 号 p. 199-214
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,情報処理技術の革新とインターネットの急速な進展により大きく変化した大学図書館サービスの,利用者の学習/研究活動における位置づけを,改めて把握することである。マーケティング研究では近年,顧客経験の価値を高めることが市場の確保に不可欠との観点から,提供する製品やサービスに接触する場面(コンタクト・ポイント)における顧客の経験分析が進められている。本研究では,上記の目的を達成するために,大学院学生の研究活動に関する経験データを,顧客経験を分析するプロセスモデルCEM(Consumer Experience Modeling)に基づき分析した。その結果,利用者にとっての重要なコンタクト・ポイントが把握され,利用者が図書館サービスを自身の学習/研究活動において不可欠なものとして位置づけていること,及びコンタクト・ポイントの特定にCEM分析が有用であることが確認された。
  • 橋本 麿美
    原稿種別: 本文
    2015 年 61 巻 4 号 p. 215-231
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の目的は,1996年から2015年の間に実施された連邦図書館政策の動向を明らかにすることである。図書館サービス技術法(LSTA)を含む1996年博物館図書館サービス法(MLSA),2003年改正法,2010年改正法を対象に(1)改正法案の成立過程,(2)LSTAの改正内容,(3)実施機関である博物館図書館サービス機構(IMLS)の役割の変化を分析した。その結果,第一にMLSAの改正法案は,図書館界の提案内容が反映されており,議会において短期間で成立したこと,第二にLSTAの目的は「統合」から「連携」へと変容し,館種間での資料共有や情報へのアクセス支援が進められ,また教育,労働政策分野等との連携協力への取り組みが増加したこと,第三に連邦政府の図書館政策に関与する組織の再編が進められ,補助金交付,政策助言,統計業務がIMLSに集約されたことが明らかになった。
  • 大作 光子, 嶺坂 尚
    原稿種別: 本文
    2015 年 61 巻 4 号 p. 232-251
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,ルーブリックを用いた自己評価を通じて,探究学習における学習支援のあり方について検討する。探究学習に取り組む中学3年生の授業を対象に,ルーブリックによる自己評価を実施し,合わせて質問紙調査を行った。自己評価結果の分析を通して,学習者は情報をまとめることと情報利用のマナーに関する情報活用スキルを概ね習得したことを確認した。一方で,情報収集・選択や分析などについては課題が認められた。ワークシート類を充実させると共に他教科や学校図書館との連携を考慮したカリキュラム構築を検討することが必要であることを指摘した。また,情報活用の実践力,あるいはルーブリックの閲覧頻度が高い学習者の方が,いずれの低い水準の学習者より,より高い情報活用スキルの習得に繋がる項目が認められた。学習者が有する情報活用能力の差異を踏まえた,学習支援の方法やルーブリックをより効果的に活用する方法の検討が必要だと考えられる。
研究ノート
  • 前田 知子
    原稿種別: 研究ノート
    2015 年 61 巻 4 号 p. 252-262
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    科学技術情報の全国的な流通システムとして1969年に提案されたNIST構想が,どの程度実現性が見込まれて検討されたのかを明らかにすることを目的に,同構想の具体化に向けた検討が実施された1980年代までの関連資料を調査し,同構想を構成する10の情報機関が果たす機能に関する提案内容及びそれらの実現状況の差異を把握した。また資料調査を補足するため,1970年代を知る3名へのインタビューを実施した。これらを通じて,同構想が日本科学技術情報センター(JICST)の強化を目的とした枠組みであったことを改めて裏付けることができた。また同構想で提案された各種の情報機関や構想全体の実現性は必ずしも見込まれてはいなかった,という捉え方が可能であることが示された。だが,国全体としての科学技術情報の流通システムが検討され,1974年に同構想の基本的フレームワークが取りまとめられた点は評価すべきと考えられる。
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