日本図書館情報学会誌
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65 巻, 1 号
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論文
  • 杉山 悦子
    2019 年 65 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/01
    ジャーナル フリー

     敗戦後の米国による教育改革の象徴であった学校図書館政策にかかわり,『読書指導事典』の編纂,日本読書学会の創設に携わった教育心理学者,阪本一郎(1904-1987)の読書指導概念の形成過程を検討した。戦時期の社会教育における「読書指導」に着想を得ていた阪本は,戦後に生活指導としての読書指導を企図した。図書館をアメリカのものと見做した阪本と,日本の図書館側との間に齟齬が生じていた。彼は,「図書館教育」という言葉を「読書指導」の意で用い,「図書および図書館の利用」にはむしろ否定的であった。阪本の「読書指導」は,図書館と一線を引いた“国語の修練”の意を持ち,生徒自ら広範な資料にあたることを避けるものであった。冷戦に入るころにはアメリカ心理学に傾倒していた阪本は,評価テストで不読児の抽出を図った。語彙の標準化と,社会秩序を乱さない人間形成を目指した阪本は,前者を「読書」に求め,後者を「人格」と呼んだ。

研究ノート
  • 橋詰 秋子
    2019 年 65 巻 1 号 p. 18-30
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,子どもにおすすめの児童書を紹介するブックリストを取り上げ,どのような内容のものがどのくらい提供されているかの現状を定量的観点から明らかにすることである。都道府県単位の小学生用ブックリストに対して2015 年11 月に行ったウェブ調査の結果,41 県による81 リストが確認でき,ブックリストは全国的に提供されていることが示された。ブックリストは「読書感想文コンクールの課題図書リスト」や「県の子ども読書活動推進計画に基づくブックリスト」などの5 タイプに分けられ,「県の子ども読書活動推進計画に基づくブックリスト」の掲載点数は他タイプより多いなど各タイプで特徴があった。本文がウェブ公開されている78 リストについて掲載書の書誌データを分析した結果,全体的には出版年が新しい図書ほど多く掲載されるが古い出版年の図書も一定の比率で掲載される,分類については9 類と絵本に集中しているという傾向が明らかとなった。

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