日本図書館情報学会誌
Online ISSN : 2432-4027
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69 巻, 2 号
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論文
  • 大場 博幸
    原稿種別: 論文
    2023 年 69 巻 2 号 p. 67-84
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/30
    ジャーナル 認証あり

     2019 年4 月~5 月に発行された一般書籍600タイトルのデータセットを用いて,公共図書館の所蔵と貸出による新刊書籍の売上への影響について検証した。各タイトルについて,発行直後から11ヶ月間,全国を単位として,月毎の売上部数,月毎の所蔵と貸出,月毎の需要を示す指標,月毎の古書供給数と古書価格,同期間の委託状況,同期間の電子書籍の発行状況を調べた。これらをパネルデータとし,売上部数を目的変数,そのほかを説明変数として固定効果モデルによる回帰分析を施した。分析の結果,平均値を基準としたとき,前月の所蔵1 冊の増加につき月平均で0.06 冊の新刊売上部数の減少,前月の貸出1 冊の増加につき月平均で0.08 冊の減少という推計値が得られた。このほか需要の減少や古書供給の増加もまた新刊書籍の売上冊数にマイナスの影響を与えていた。需要の高いタイトルに対する図書館による特別な影響は観察されなかった。

  • 横山 幹子
    原稿種別: 論文
    2023 年 69 巻 2 号 p. 85-100
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/30
    ジャーナル 認証あり

     本論の目的は,文献分析に基づき,知識の組織化システム(KOS)としての統合的レベル分類(ILC)と,Claudio Gnoli の存在論(複数主義)との関係を検討することである。 本論での検討の結果,2 つのことが明らかになった。1 つは,Gnoli の存在論は,確かに統合的レベル分類においてすべての研究対象を秩序付けることができるが,統合的レベル分類においてすべての研究対象を秩序付けることができる存在論はGnoli の存在論だけではないということ,言い換えるならば,抽象的存在者を認めるとしても必要とされる抽象的存在者はメンティファクトのような存在者だけとは限らないということである。もう1 つは,たとえ研究対象として知識の地位を評価することのできる存在論が他にあるとしても, Gnoli の存在論は確かに研究対象としての知識の地位を評価することができるということである。

  • 吉澤 小百合
    原稿種別: 論文
    2023 年 69 巻 2 号 p. 101-119
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/30
    ジャーナル 認証あり

     本稿の目的は,探究学習の実施における日本の高等学校の学校図書館と学校図書館職員の現状と課題を,教員と学校図書館職員の考えをもとに明らかにすることである。研究方法は,文献調査と質問調査(Web 調査)である。まず文献調査から5 つの論点を整理し,論点を構成する先行研究を基に,質問事項を決定した。質問調査の対象は国内にある国立・公立・私立の全日制高等学校・中等教育学校における国語科,社会科の教科主任,学校図書館担当教諭,学校図書館職員である。調査の回答数は750 校送付中,330 校(44.0%)であり,回答者は合計646 名(21.5%)だった。回答結果について,全体の傾向分析と因子分析などを行った。これらの調査結果から探究学習指導の目的,情報検索に関する指導内容,学習・情報センター職務の実施,学校図書館職員の自信,学校図書館の情報化,という5 つの論点に基づいた現状と課題を明らかにした。

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