可視化情報学会誌
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42 巻, 164 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集記事
  • 石井 慶子, 小方 聡
    2022 年 42 巻 164 号 p. 1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
  • 栗田 玲
    2022 年 42 巻 164 号 p. 2-5
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    安定状態に向けて変化する緩和やエネルギー注入され続けている対流など,日常や自然界で起こっている現象の多くは非平衡現象である.平衡現象と異なり,非平衡現象は変化過程が重要であり,その変化過程を定量的に観察することが非平衡現象の理解につながる.ここでは,泡沫の崩壊挙動,重力不安定性の初期過程観察を例としてあげ,可視化技術の進展が非平衡現象の理解に不可欠であることを紹介する.泡沫の崩壊では,液膜が破れた時に,フロントの曲率が反転することにより,液滴が放出される.さらに,この液滴が遠くの膜を破ることで協同的崩壊が起こることがわかった.また,重力不安定性の初期過程観察のために,物理ゲルを用いて,重力不安定状態を弾性力で支え,加熱によって流動化させることで初期過程の観察に成功した.このように,可視化は非平衡現象の理解を進める重要な役割を果たしていると言える.

  • 岩田 修一
    2022 年 42 巻 164 号 p. 6-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    高粘性流体からの気泡除去方法を概説し,圧力振動を用いた新しい概念に基づく気泡除去方法と,その効果について説明した.また,2次元偏光高速度カメラを用い,高い時間分解能を保持しつつ,100Hzの圧力振動場における気泡近傍の局所の遅延分布(応力場)と配向角の分布を可視化できることを紹介した.圧力振動の印加によって膨張時と収縮時には異なる流れがあり,この2つの流れが非常に短い時間で入れ替わるという複雑な流動様式を明らかなった.

  • 玉野 真司
    2022 年 42 巻 164 号 p. 10-13
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    平板上乱流境界層流れに界面活性剤を添加することで生じる乱流抑制について,流れ方向-壁面垂直方向断面および流れ方向-スパン方向断面における染料可視化,ならびにPIV可視化を元に紹介した.まず,染料可視化により,界面活性剤を注入した下流域では,可視化染料が壁面ごく近傍においては流れ方向にシート状に長く伸び,その上方に大規模な流れ構造が生じることを説明した.次に,PIV可視化により,壁面ごく近傍から主流域にかけて細かな乱れ構造が大幅に抑制されること,壁面ごく近傍では,変動速度ベクトルが壁面にほぼ平行となり壁面垂直方向の運動量輸送が抑制され,シート状構造が形成されることを説明した.可視化研究により,界面活性剤を注入した場合の乱流渦構造がニュートン流体のものとは全く異なることを示し,界面活性剤水溶液の流れを扱う場合には,流れの全体像を把握する上において可視化観察が重要なツールとなることを解説した.

  • 日出間 るり, 鈴木 洋
    2022 年 42 巻 164 号 p. 14-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    二次元流動場を用いて,分子量が106オーダーのポリエチレンオキシド(PEO)の添加が,二次元乱流中の渦放出と,エネルギー輸送に与える影響を,流動場の干渉縞による可視化と粒子画像流速測定法により調べた.渦放出は,PEOの絡まり合いに由来する溶液の緩和時間に強く依存し,PEO濃度上昇とともに,変形,消滅,再生成という3つのタイプの渦に変化した.乱流中で放出される渦の変化は,速度場計測から計算されるら流動場のエネルギー輸送を大きく変えた.流動場の乱れエネルギーは,PEO添加とともに急激に減少したが,PEO添加により特徴的な乱れエネルギーのピークも出現した.そのピークの位置は溶液の緩和時間と関係があるのではないかと考えられた.

  • ―垂直加熱冷却壁を有する矩形容器内における自然対流―
    森本 崇志, 熊野 寛之
    2022 年 42 巻 164 号 p. 18-21
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

     固液相変化時の相変化潜熱を潜熱蓄熱に利用する物質は,相変化物質と呼ばれ,未利用熱エネルギーや再生可能エネルギーを活用する物質として注目されている.この相変化物質を,界面活性剤の作用によって微細な粒子状で液中に分散させた懸濁液は,水中油滴型のエマルションであることから,相変化エマルションと呼ばれる.相変化エマルションは潜熱蓄熱材としての利用のみならず,分散質の固液相変化を伴う条件において高い熱交換性能を示すことから,高効率な熱輸送媒体としての利用も期待されている.分散質の固液相変化に伴う高い熱交換性能は,相変化潜熱の影響に加えて,相変化に伴う密度変化によって対流が促進されるためであることが示唆されている.本稿では,分散質の固液相変化を伴った場合において,垂直加熱冷却壁を有する矩形容器内を自然対流する相変化エマルションが示す特徴的な温度場および対流場についての研究成果を紹介する.

  • 石井 慶子, 小倉 一起, 川山 昂祐, 佐藤 亮, 麓 耕二
    2022 年 42 巻 164 号 p. 22-25
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    磁性流体は液体そのものが磁性を持ったかのようにふるまう.中でも,“感温磁性流体”は100度以下の範囲で磁化の温度依存性が大きいことから,熱輸送デバイスへの応用が期待されている.磁性流体中の強磁性粒子は鎖状クラスターを構成することが知られており,このクラスター構造が熱移動の促進を引き起こす一方で,閉塞を引き起こすトレードオフの関係にある.デバイスの実用化,高機能化に際して,このクラスターの形成特性の理解と制御が重要である.しかし,磁性流体は黒色不透明かつ,磁性粒子はナノサイズであるため,実験的な局所流れ場の取得が困難である.そこで,著者らは磁性ナノ粒子をそれよりも大粒形のポリマーマイクロ粒子に封入し,蛍光標識をすることで磁性流れ場,クラスターの挙動を可視化計測し,流動特性の把握を試みている.著者らが合成した磁性マイクロ粒子,計測した磁性クラスターや流れ場について最近の試みを紹介する.

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