可視化情報学会誌
Online ISSN : 1884-037X
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33 巻, 129 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 嘉副 裕, 元祐 昌廣
    2013 年 33 巻 129 号 p. 1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/25
    ジャーナル フリー
  • 小方 聡
    2013 年 33 巻 129 号 p. 2-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/25
    ジャーナル フリー
    エバネッセント光顕微鏡システムを用い,固体壁極近傍(具体的には壁面から数百nm以内)の液体流動の観察手法と測定結果について解説した.エバネッセント光顕微鏡を中心とした実験装置一式の説明に加え,実際の粒子画像を用いることでエバネッセント光照明を用いた測定手法の特徴を視覚的に分かるようにした.また,粒子の蛍光強度と壁面からの位置の関係を検定する手法や検定結果,撮影された粒子画像を速度分布にする手法の詳細を示した.具体的には,エバネッセント光照明のしみだし深さ内のトレーサ粒子の積算流速の平均値を用い速度分布を求めた結果を示した.最後に,壁面極近傍(100 nm < z < 250 nm)において,蒸留水の速度分布はニュートン流体の二次元ポアズイユの速度分布とよく一致することを示した.
  • ―ミクロ的な動的濡れ:先行薄膜形成過程―
    上野 一郎
    2013 年 33 巻 129 号 p. 8-13
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/25
    ジャーナル フリー
    「濡れ」として知られる現象のうち,固液気3相境界線,いわゆるコンタクトラインの移動を伴う「動的な濡れ」について,ミクロな視点で現象やこれまでの知見を紹介する.特に,濡れ性のよい条件下で形成し,肉眼ではほとんど確認することの出来ない「先行薄膜」と呼ばれる領域に注目して,これまでに提案されている充分発達した状態に対する理論モデルや実験的研究に加え,非定常的な初期発達過程に関する実験結果を紹介する.また,著者の研究グループの研究活動の紹介として,ブリュースター角顕微鏡を導入して先行薄膜の初期発達過程の検出を行った例を取り上げる.
  • カノン ジェームズ, 塩見 淳一郎
    2013 年 33 巻 129 号 p. 14-18
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/25
    ジャーナル フリー
    近年の合成,加工,および計測技術の進歩に伴い,ナノ構造の設計・制御を通じてマクロスケールの課題の解決を目指す研究が活発に行われている.熱流体工学分野における興味深い現象としては,カーボンナノチューブをはじめとするナノスケール空間内の高効率流動が挙げられる.このような現象の分子分離技術などへの応用に向けては,機構の詳細な理解および制御性の探究が必要であり,分子シミュレーションが重要な役割を担うと考えられる.本稿では,分子動力学シミュレーションを用いたナノスケールにおける流動特性の研究例をいくつか紹介する.はじめに分子動力学シミュレーションの方法論や特徴を簡単に概説した後に,可視化されるナノスケール特有の流動特性と,それを利用した工学応用の可能性について議論する.
  • 松田 佑, 山口 浩樹, 新美 智秀
    2013 年 33 巻 129 号 p. 19-23
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/25
    ジャーナル フリー
    マイクロ熱流体デバイスでは,作動流体が液体のものを中心にデバイスの内部流動の研究が進められてきているが,気液二相流,気体流に関する研究はまだその初期段階である.気体流は,マイクロスケールでは高クヌッセン数流れに分類され,気体を連続体として扱うことができず,速度滑りや温度飛躍,熱遷移流など特異な物理現象が壁面近傍で顕在化することが知られている.これらは壁面と気体分子との相互作用によって生じると考えられており,マイクロスケールの熱流動場の理解において壁面上での物理量の計測が極めて重要である.著者らはこれまでにLangmuir-Blodgett(LB)法によって感圧塗料(PSP)を分子膜化したPSMF(Pressure-Sensitive Molecular Film)を作製し,マイクロスケールでの圧力分布計測を実施している.またPSMFに比べ簡便な手法として,マイクロ流路そのものをPSP化したPSCC(Pressue-Sensitive Channel Chip)も開発し,マイクロスケールでの圧力分布計測を可能としている.本稿ではこれらの作製法,計測例を示す.
  • ―PIV法を用いた繊毛流れの解析―
    篠原 恭介, 濱田 博司
    2013 年 33 巻 129 号 p. 24-27
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/25
    ジャーナル フリー
    ヒトをはじめとする脊椎動物の内臓は左右非対称な配置や形態を持っている。発生中のマウス胚において、受精後8日に左右対称な形態から左右非対称な形態に変化する。この時期、ノードと呼ばれる運動性の繊毛をもつノードとよばれる細胞群が正中線上に現れる。この繊毛は時計回りに回転運動し、将来の右側から左側へ向かう水流を発生させる。この左向きの流れがノード脇に左右対称に発現していた遺伝子発現を非対称に変化させると考えられている。本稿では、野生型と繊毛の変異胚それぞれにおけるノード流の流れ場の可視化計測を行った。PIV解析の結果、ノード内の局所的な左向きの流れでも左右対称な遺伝子発現を左右非対称に変化させることができるこが分かった。この事からノード細胞は流れを高感度に感知できるシステムを持っていることが示唆される。PIV解析は生命現象を解明するのに非常に有用な手法であるといえる。
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