パッシブ形PEFCは, 常温, 無加湿, 超低圧で水素を供給し, 大気から直接酸素を取り込むものであり, システム全体の大幅な簡素化を図ることができる. したがって, 低コストのモバイル機器電源, アウトドア電源, 非常用バックアップ電源など,数W~数十W程度の比較的小出力レンジの機器への適用を考えた研究開発が行われている. パッシブ形燃料電池は, ある条件下で出力低下, 出力停止などを起こす課題も指摘されている. 本解説は, その課題に対し主に流体工学的な手法でトラブルシューティングを目的として行った実験調査について述べたものである. パッシブ形PEFCの単セルまたはモジュールを用いて, 水分, 温度, 酸素濃度, 気流速度を計測した例を示した. 燃料電池の性能に影響を与えるパラメータとして, 大気の圧力, 湿度, 湿度などの他に, 伝熱に関わる本体部の材質や構造などもあり, 実用化に向けて今後さらに検討が必要である.
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