Neurologia medico-chirurgica
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38 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 坂井 恭治, Kazuko IWAHASHI, Kinya TERADA, Yuji GOHDA, Masaru SAKURAI, Yuzo ...
    1998 年 38 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    内頸動脈や中大脳動脈などの脳主幹動脈閉塞による広範囲脳梗塞で、高度の脳浮腫によりテント切痕ヘルニアを来した24例に対して、外減圧術を行った。術後2か月の結果(GOS)は、SDが14例、VSが2例、Dが8例であった。術前の意識レベルがJCSで200点であった例、術前のCTで前、中、後大脳動脈全ての領域に梗塞を認めた例、そしてCT上高度のテント切痕ヘルニアにあった例で、術後死亡率が特に高かった。また、われわれは11例の優位側牛王求の激症脳梗塞に対しても外減圧術を行った。その内6例は、失語症を残すも意志の疎通は可能であり、優位側半球の激症脳梗塞に対しても外減圧術は考慮しても良いのではないかと思われた。
  • 川村 伸吾, Nobuyuki YASUI
    1998 年 38 巻 3 号 p. 137-142
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    ラット軟膜血管径に対するdobutamine(DOB)の効果を頭窓法により検討した。DOB投与群では、人工髄液灌流後、10-7-10-3MのDOBを脳表灌流した。コントロール群では人主髄液のみ灌流した。細動脈(内径17-78μm)と細静脈(内径20-97μm)の血管径変化を検討した。コントロール群では血管径変化を認めなかった。104M以下のDOBは有意の血管径変化をもたらさなかった。10-3MのDOBは、細動脈に+73%の拡張をもたらした(p<0.Ol)。この時、細静脈は+12%拡張したが、コントロール群と有意差はなかった。臨床用量のDOBには直接的な脳血管拡張作用はないと考えられた。
  • 卯田 健, Katsuya GOTO, Noboru OGATA, Naoto IZUMI, Shinji NAGATA, Haruo MA ...
    1998 年 38 巻 3 号 p. 143-154
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    GDCを用いた破裂脳動脈瘤の急性期治療の問題点と長期治療効果について検討した。くも膜下出血後2週間以内に治療を行った急性期治療群8例で手技による合併症は認めなかった。5例は経過良好で3例は死亡した。2例は脳血管攣縮による広汎な脳梗塞、1例は肺炎が死亡原因であった。治療後9ヵ月以上経通観察が行えた長期治療群は14例16動脈瘤であった。small neckを有するsmall aneurysm 6例全例で完全閉塞が達成でき再開通は認めなかった。5動脈瘤でcoil compactionによる再開通を認めた。GDCは破裂動脈瘤の急性期治療としての再破裂予防効果が朋待できた。しかし、coil compactionによる再開通は重要な問題であり、治療後の厳重な観察が必要であった。
  • 水野 順一, Hiroshi NAKAGAWA
    1998 年 38 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    腰椎の不安定性による慢性的な腰痛と間欠性跛行を主訴とする15名の患者に対して、TFC(threaded fusion cage)を使用して治療した。すべり症の程度はMeyerding 1で術前のJOA scoreは平均11.5であったが、治療後は23.5に改善した,術後5名は疼痛、跛行がほぼ消失、6名は日常生活に支瞭のない程度に改善、残りの4名は鎮痛剤等の投薬量が有意に減少した。TFCによる腰椎の同定は全例良好であり、TFCの破損や他のインプラントによる再固定の必要性はなかった。1例において創部の感染が生じたが,再手術は不要であった。TFCは1度のすべり症に対して有効な固定法であり、腰痛を速やかに解消することが可能であると考えられた。
  • 小宮山 雅樹, Toshihiro YASUI, Toru IZUMI
    1998 年 38 巻 3 号 p. 161-164
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    著明に拡大したVirchow-Robin腔を持つ2症例を報告した。このVirchow-Robin腔は、すべてのMR撮像条件で、脳脊髄液に一致した信号強度を持つ種々の大きさの嚢胞性病変として描出された。しかし、1症例においてFLAIR画像上、上記の嚢胞性病変に接する小さな高信号病変も同時に描出された。このFLAIR法における高信号病変は、慢性の虚血病変を示すと考えられ、この病変によりVirchow-Robin腔が、緩徐に拡大することが示唆された。
  • 水巻 康, Shunro ENDO, Kazumasa YAMATANI, Akira TAKAKU, Eiji TSUKAMOTO
    1998 年 38 巻 3 号 p. 165-167
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    症例は54歳、男性。突然の頭痛と構音障害をきたし来院。神経学的所見では左舌下神経麻痺を認めた。血管写およびMRI所見より頭蓋外左内頚動脈の解離性病変と起始部の強い屈曲所見を認めた。保存的治療6週後に症状は消失し、動脈解離の画像所見も正常化した。
    内頚動脈解離性病変に舌下神経麻痺を合併した報告は数例にみられ、舌下神経が解離性血腫により機械的な牽引と圧迫を受けた結果によるものと考えられている。本症例は解離性内頚動脈に屈曲があり、その病態をさらに強調したものと思われた。
  • 本田 英一郎, Hironori FUJISAWA, Tunemaro KOYAMA, Yuki OSHIMA, Yasuo SUGITA, ...
    1998 年 38 巻 3 号 p. 168-172
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    交通外傷を契機に胸髄症状を呈したspinal arachnoid cystについて報告する.症例は49歳男性で高速道路をシートベルトを締めて走行中にコンクリートに激突した.その際に激痛が背部に生じた.事故後より背部の鈍痛は残存していたが、4週間目よりと両下肢の知覚異常が始まった.受傷後3.5ヶ月目にMRIを施行.sagittal viewでは第胸椎4-6間で胸髄の後方にlow intensity(T1WI)のmassとして認められた.さらに1ヶ月後臨床症状の増悪後のMRIにてlow intensity massは同一部立の前後に増大を示した.手術所見、組織像より肥厚したarachnoid cystと診断された.spinal aracknoid cystは先天的な場合には脊髄後方のseptum posticumから高頻度に発生している.殆どは無症状に経過する.本症では受傷時の衝撃は3点で固定されたシートベルトに加わり、腹圧、胸髄静脈圧を上昇させることにより無痛候性arachnoid cystが急速に増大またはcyst内に出血を生じ、これが症候性arachnoid cystに発展した可能性が極めて高いと考えられた.
  • 都築 隆, Hiroyuki YANAI, Chikashige KUKITA, Hirotsugu SAMEJIMA, Yukio SHI ...
    1998 年 38 巻 3 号 p. 173-174
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
    我々は,従来使用されているhigh-speed air drillに簡単装着できるirrigation systemを開発した。このsystemは、支管とローター部分からなる。支管外径0.8mm(マイクロ用)をhigh-speed air drillに装着し、drillのフットスィッチとローターのスイッチを連結させ、ローターの回転により間欠的に生理食塩水が噴出するようにした。このsystemを手術に使用した結果、狭い術野でも効果的なIrrigationが可能と共に、drillの作動時の熱による近傍の神経や血管の損傷を防ぐことができた。さらにダイアモンドバーを使用してもその切削力が低下せず,特に顕微競下の頭蓋底手術において有用であることがわかった.
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