Neurologia medico-chirurgica
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39 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 国塩 勝三, Kengo MATSUMOTO, Hisato HIGASHI, Hisashi ADACHI, Takashi TAMIYA ...
    1999 年 39 巻 5 号 p. 341-349
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    放射線組織内照射療法(BRTX)後の再発時に開頭術を施行した悪性神経膠腫30例のうち組織学的に放射線壊死と診断された症例(12例)と腫瘍の再発例(18例)との増殖能を比較検討した。MIB-1抗体にて免疫組織学的染色を行い腫瘍および壊死組織に存在する腫瘍細胞のMIB-1陽性率を検索した。内訳は退形成性星細胞腫14例、神経膠芽腫16例である。放射線壊死の12例中2例は組織は壊死のみで、10例では腫瘍細胞が一部壊死内に混在してみられた。放射綜壊死のMIB-1陽性率は7.6±5.5%で、初回手術時のそれ(17.0±11.2%)と比較し有意に低値であった(p<0.05)。腫瘍再発例では、初回時と再発時とで陽性率に差はなかった。以上より放射線壊死組織内に腫瘍細胞がみられるが、これらの増殖能はBRTXにより低下していた。
  • 守山 英二, Hiroichi BECK, Toshihiko MIYAMOTO
    1999 年 39 巻 5 号 p. 350-357
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    過去20年間にVL thalamotomyで治療したParkinson病(PD)患者53名の治療成績を分析した。―側手術例44例では、振戦、筋強剛に対する効果は良好で、平均8.8年の追跡期間中効果が持続していた。無動に対しては効果は乏しく、その進行がADL低下の主因であった。両側手術例9例でも同様の傾向で、無動の顕著でない例は長期間良好なADLが維持されていた。重大な合併症は、凝固部位の脳内血腫1例、軽度なものは、一過性麻庫4例、一過性意識障害2例、けいれん発作2例であった。振戦、筋強剛がADL低下の主な原因となっているPD患者はthalamotomyの良い適応であり、他の治療法と組み合わせることによりPD患者の治療予後改善に役立つと考えられた。
  • 田辺 路晴, Takashi WATANABE, Satoshi MATSUMOTO, Hisayo OKAMOTO, Kazunori S ...
    1999 年 39 巻 5 号 p. 358-361
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は睡眠時無呼吸症候群の既往をもつ体重110kgの38歳の男性である。自動車事故により、前頭部を打ち受傷した。強い頚部痛を訴えて、両側の外転神経、左舌咽神経、左迷走神経の麻痺、左顔面と右上下肢躯幹の温痛覚の知覚低下、左上肢の脱力を認めた。神軽放射線学的検査により、斜台と両側後顆からなる大後頭孔前半部の骨折を認め、左の後頭顆は内側に偏位していた。ハローベストで16週間外固定をして経過観察した。嚥下障害、嗄声、脱力は軽快した。近年後頭顆の骨折の症例は報告が増えており、本症例はその中で最も重症例と思われる。保存的に治療し、症状が軽快した。
  • Gerhard BAVINZSKI, Andreas SCHOEGGL, Andreas GRUBER, Monika KILLER
    1999 年 39 巻 5 号 p. 362-366
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    A 57-year-old male presented with a rare variant of dural arteriovenous fistula, located in the wall of an unobstructed superior sagittal sinus. Drainage occurred through a cortical vein no longer connected to its parent sinus, which filled up a cluster of transmedullary running veins, one of which was the presumed site of hemorrhage. Arterial blood was supplied via the external carotid artery branches. This type of fistula seriously increases the risk of hemorrhage in the patient and therefore requires complete obliteration. Attempts to embolize the fistula failed. The draining vein was isolated and coagulated resulting in permanent occlusion of the fistula. The fistula probably developed through a process of thrombophlebitis and revascularization via arterioles of the vein rather than previous occlusion of the sinus.
  • 奥地 一夫, Masayuki FUJIOKA, Yuji MAEDA, Tadashi KAGOSHIMA, Toshisuke SAKA ...
    1999 年 39 巻 5 号 p. 367-371
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    両側慢性硬膜下出血に対して一期的に両側の血腫を除去した直後に一側の動眼神経麻痺と脳幹症状を呈した85歳の男性について報告する.入院時CTでは両側の脳実質を強く圧排する分厚い血腫を認めた.緊急手術にて両側をほぼ同時に血腫除去を行った,すなわち,左の減圧を最初に2分後に右を行ったにもかかわらず,術後に右動眼神経麻痺と左不全片麻痺,意識障害を生じた.左の最初の減圧によって右の頭蓋内圧が相対的に上昇し左右の圧均衡がくずれ,この2分間に一過性の右の鈎ヘルニアが生じたと考えられた.術後のMRIでは右動眼神経の内側への変位が認められた.このような巨大な両側慢性硬膜下出血の手術において,正確な両側同時かつ緩徐な減圧が必要と考えられた.
  • 畠山 尚志, Kanji YAMANE, Takeshi SHIMA, Yoshikazu OKADA, Masahiro NISHIDA
    1999 年 39 巻 5 号 p. 372-375
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性。主訴は眩量発作。左頚動脈撮影にてpersistent primitive hypoglossal artery(PPHA)と内頚動脈瘤を認め、さらにPPHA分岐部より中枢側の内頚動脈に高度狭窄を認めた。両側椎骨動脈は低形成で、脳底動脈はPPHAから造影された。内頚動脈瘤が破裂する危険性を考慮し、先ず動脈瘤のclippingを行った。1ヶ月後に頚動脈内膜切除術を内シャントを用いて行った。術中測定で内頚動脈の血流量は70ml/minと少なく、PPHAのstump pressureは25mmHgと低値で後頭董窩の低灌流状態が強く疑われた。術後、眩景発作は消失した。
  • 吉田 真三, Yoshifumi ODA, Yasuto KAWAKAMI, Shinichi SATO
    1999 年 39 巻 5 号 p. 376-379
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    頭蓋頚椎移行部に発生した硬膜動静脈瘻(dural AVF)の症例について報告した。患者は68才男性で下肢より始まり次第に上行する進行性のミエロパチーを呈した。MRIではC1,C2レベルで拡張した静脈が脊髄周囲に認められ、また髄内にT2強調像で高信号域を呈する所見が見られた。血管撮影では右椎骨動脈が硬膜を貫通する部位においてAVFが認められた。本症例におけるAVFは硬膜にnidus様の所見を有さず椎骨動脈と脊髄静脈との問のdirect fistulaの形態を呈していた。硬膜内静脈側で外科的にfistulaの遮断を行ったが、術後患者の神経症状は著明に改善した。
  • 磯野 光夫, Shigeaki HORI, Yohei KONISHI, Hidetomo KINJO, Kenji KAKISAKO, R ...
    1999 年 39 巻 5 号 p. 380-383
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    多発性脊髄髄膜嚢胞を合併したEhlers-Danbs症候群の一例を報告した.症例は40歳女性.主訴は左下肢に放散する下腹部痛.前仙骨部後腹腹腔に多発性の髄膜嚢胞を認めた.当初椎弓切除にて嚢胞閉鎖を試み,拡大した硬膜根嚢部を充填閉鎖したが腫瘤は縮小せず,再度開腹術にて腫瘤の縫縮を行った.これにより症状は軽快したが,術後創傷治癒が遷延し腹壁ヘルニアとなり,また合併した頚椎病変に長期臥床による筋萎縮が加わり一時四肢麻痺の状態となった.Ehlers-Danbs症候群では,創傷治癒に問題があること,合併疾患を有することから,術前の詳細な評価とより低侵襲の治療が必要と考えられた.
  • 加藤 功, Yutaka SAWAMURA, Hiroshi ABE
    1999 年 39 巻 5 号 p. 384-386
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    近年,顕微鏡下手術操作の進歩により,硬膜内手術の際の術後合併症は著しく減少した.しかしながら髄液漏あるいは皮下の髄液貯留は,経蝶形骨洞手術や頭蓋底手術以外の通常の開頭術においても,少なからず経験する合併症である.この予防あるいは治療法として,フィブリン糊の使用,腰椎ドレナージの挿入,第13因子の投与などが報告されている.そこで私共は,簡単な工夫により皮下の髄液貯留を予防する方法を行なっているので紹介する.遊離骨片の骨皮質に等間隔に2~3対の斜孔を開けて針を通せるようにし,頭蓋形成後に閉創時帽状腱膜と骨片を糸で縫合する.これにより帽状腱膜下の遊離腔が減少し,髄液のみならず血液の貯留も予防できる.
  • 近藤 惣一郎, Akira KOBAYASHI, Hirokazu NAGATA
    1999 年 39 巻 5 号 p. 387-390
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    閉頭時の骨弁固定は近年プレートによりなされる機会が増えつつあるが,コスト面,感染性などの問題により,一般施設では縫合糸を用いる場合が未だ多い.骨弁を縫合糸を用いて整復する際に役立つapplicatorを開発した.このapplicatorのみで,従来の方法で必要になった曲針,持針器,多数の小鉗子は全く不要となる.開発品はアルミ製で全長6cm,直径0.7cmの屈曲可能な直針であり,両端に糸把持溝を有した単純なものである.我々は80回の閉頭術に,このapplicatorを使用したが,硬膜損傷などをきたすことなく安全に,従来の方法に比して有意に骨弁整復時間を短縮する事が出来た.また術者・ナースの肉体的、精神的疲労の軽減にもつながった.
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