Luxol fast blue-periodic acid Schiff-hematoxylin(LPH)識別染色法と画像解析装置を使った,新しい計測誤差の少ない形態計測法を用いて23例のヒト解剖体の視交叉付近で視神経の有髄神経線維の軸素断面積と軸素周長を測定し,また同一の方法でヒトの他の有髄神経線維との比較を行った.その結果,ヒト視神経の軸素の平均断面積は0.644±0.361µm
2であったが,これは他の神経に比べてかなり細く,例えば脊髄前根の軸素断面積の約10分の1であった.また髄鞘もうすく,他の末梢神経とは異なって,中枢性(稀突起膠細胞性)髄鞘である点を考慮すると,視神経は手術操作に対してこれまで考えられていたよりも脆弱な存在である可能性がある.
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