室内環境
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15 巻, 1 号
室内環境
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著論文
  • 雨谷 敬史, 王 寧, 倉林 健太郎, 三宅 祐一, 久米 一成
    2012 年 15 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    PM2.5の個人曝露濃度や室内濃度の測定には,小型のインパクターをミニポンプに接続して,1.5 L•min-1程度の流量で捕集するシステムが優れている。しかし,市販のフィルターをそのまま使用すると,粒子重量を正確に測定できないことが判った。本研究では,フィルターの恒湿化方法や前処理方法を工夫することによって,±2μgで正確に重量が測定可能である方法を見い出した。具体的には,テフロンコーティングフィルターを窒素気流中300℃で6時間加熱処理を行い,恒湿化後測定することにより,粒子重量を精度良く正確に測定しうることを認めた。本研究で開発した手法は,PM2.5個人曝露測定や室内濃度の測定に適用できるばかりでなく,アジアにおけるPM2.5大気環境中濃度の測定などに応用可能であると考えられた。
  • 青柳 玲児, 松延 邦明
    2012 年 15 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    パラホルムアルデヒドを用いたパーミエーションチューブ法によるホルムアルデヒド発生ガスの発生安定性を検証した。ポリエチレンチューブにパラホルムアルデヒドを充填し,パーミエーションチューブを作製した。これを50℃に投入し,発生ガス中のホルムアルデヒド浸透速度(Pr)を標準的な算出方法であるチューブの重量測定と,ホルムアルデヒドの定量分析により求めた。この結果,ホルムアルデヒド定量分析から得られたPrPrf)は発生約40日後より約1年間の安定を確認した。一方,チューブ重量測定から得られたPrPrw)は,発生直後にPrfに対して10倍以上の値を示した後,徐々に減少し,210日後にはPrfの安定値である60 ng/minを示した。これは,パラホルムアルデヒドに含まれる不純物の発生を示しており,重量測定により得られるPrが過剰になる原因になった。
  • 便器からのアンモニアの発生法について
    二科 妃里, 杉山 紀幸, 鈴木 昭人, 成田 泰章, 野崎 淳夫
    2012 年 15 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,トイレ内臭気物質汚染の対策製品が数多く市販されているが,これらの製品性能を求めるにはトイレ内臭気物質汚染を再現する新たな技術が要求される。ヒトの屎尿排泄物は微小熱源でもあるため,屎尿排泄物から臭気物質は便器を経由して上昇拡散する。この場合,臀部や太ももの間から臭気物質は漏洩し,トイレ空間を汚染する。そのため,便器からの漏洩臭気物質による室内空気汚染を如何に再現するかが一つの課題であった。そこで,本研究では便器からの臭気物質発生法についての新たな提案と検証を行うものである。すなわち,1)排泄時の屎尿排泄物の臭気物質発生特性を有する「擬似汚物」の開発を行い,次に2)定常発生が行える「臭気ガス定常発生装置」を作製し,最後に3)非排泄時の臭気物質発生を再現する「臭気物質発生源シール」を作製した。実験的検証の結果,1)スポンジ,粘土素材によって作製した擬似汚物は,排泄時のアンモニア発生特性を再現できる。また,本擬似汚物と「臭気物質放散面積調整器」を便器に設置したところ,臭気物質汚染濃度は実際のトイレ汚染の傾向を示すものの,多少低めの値を示した。本手法は脱臭便座や消臭剤などの対策製品の性能試験に適応することできる。2)臭気ガス定常発生装置では,アンモニア濃度を長時間安定的に保持することができ,本手法は脱臭便座などの試験法に適している。3)非排泄時では便器付着物による汚染が問題となるが,「臭気物質発生源シール」でこの汚染が再現できる可能性がある。
  • 徳村 雅弘, 和田 友布子, 宇佐美 友理, 八巻 高子, 水越 厚史, 野口 美由貴, 柳沢 幸雄
    2012 年 15 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    ガス吸収と液相での酸化反応を組み合わせた気液接触型の新規空気清浄法の開発を行った。揮発性有機化合物(VOC)の酸化分解反応を液相で行うことにより,有害性のある不完全酸化分解生成物の室内空気中への放散を防ぐことができる。本研究では,液相での酸化分解反応としてフォトフェントン反応を用いた。フォトフェントン反応は鉄イオン,過酸化水素,光エネルギーを用いてOHラジカルを生成する反応である。生成したOHラジカルが液相中に溶解したVOCを酸化分解する。本プロセスは,気相中のVOCが液相へ物質移動し,フォトフェントン反応により分解されるため,気相中のVOCを連続的に除去できる。また,OHラジカルの反応性は非常に高く,水への溶解度の低い疎水性のVOCも,液相に物質移動した瞬間に分解されるため,疎水性のVOCも連続的に除去できる。本プロセスの有効性を評価するため,親水性と疎水性のVOCの除去実験を行った。実験では親水性VOCとしてアセトアルデヒド,疎水性VOCとしてトルエンを用い,ワンパス式で除去率を求めた。その結果,入口濃度1000ppbvのアセトアルデヒドガスを97%以上,定常的に除去することができた。また,入口濃度1000ppbvのトルエンガスの場合も50%程度,定常的に除去することができた。処理後のガス中の中間生成物をPTR-MSにより測定した結果,フォトフェントン反応を用いたVOCの酸化分解による不完全酸化分解生成物の放散がないことを確認した。
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