ITシステム開発のプロジェクトを成功に導くためには,設計段階から実装段階の早い段階で設計ミスや実装ミスを発見し,手戻りコストを減らすことが重要である.このとき,非機能要件の検証はシステム全体が組み上がってみないと分からないことが多く,設計ミス・実装ミスは早期に発覚しにくい.そのため設計・実装中に非機能要件を満たしているかをどこまで検証できるかが重要なポイントである.特に,システムの開発中は必ずしも検証に必要な情報がすべてあるとは限らないため,非機能要件を満たすかどうかの検証は難しい.本稿では,このような課題を解決するため,我々が開発したモデルベースSI環境であるCASSI(Computer Aided System-model based System Integration environment)を用いたITシステムの非機能要件(特に性能や可用性)の検証手法について述べる.本検証手法は,開発の早い段階では,既存システムの実測情報から導出した推定値を用い,開発が進んだ段階では,開発しているシステムの実測値を用いる.これにより,システム開発のどの段階でも統一的に非機能評価でき,非機能要件を満たさないという設計ミス,実装ミスの早期発見を可能にする.このように早期から設計や実装の品質を管理することにより,手戻コストを削減できる.
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