芝草研究
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47 巻, 1 号
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総説
研究論文
  • Pattamavadee Kunwanlee, Hidenori Tanaka, Takayasu Inoue, Masatsugu Has ...
    2018 年 47 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2018/10/31
    公開日: 2021/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    日本国内より収集したシバ属 (Zoysia) 遺伝資源約250系統の中から選抜した品種Z. matrella「わかば」について, その特性を評価するために, 品種「エメラルド」, 「メイヤー」および「TM9」との比較を行なった。各品種における11項目の形態的特性 (草高, 葉身長, 葉幅, 出穂始, 穂数, 穂長, 出穂茎の太さ, 出穂茎の長さ, 小穂の長さ, 小穂の幅, 小穂数) およびターフの品質に係わる3形質 (被度増加, 休眠性, 萌芽) の調査を行なった。その結果, Zoysia japonicaの品種である「メイヤー」が最も大型であり, Z. japonicaZoysia pacificaの交配品種である「エメラルド」, Z. matrellaの選抜種である「TM9」と「わかば」は類似していた。しかしながら, 「わかば」は穂と小穂が最も短かった。また, 他の品種と比べて「わかば」は初期の被度増加に優れ, さらに, 最も遅い休眠性を示したことから, 初期の被覆性と冬季の緑度維持に優れるZ. matrella品種としての有用性が示された。次に, 先の4品種を含む国内の品種17系統と海外の品種9系統について, 24のマイクロサテライトマーカーによる品種識別を試みた。その結果, 1マーカーあたり平均5.125のアリルが検出され, 最も多いもの (M3A10) で13アリルが検出された。これらのマーカーで「ウインターカーペット」と「ウインターフィールド」を除いた全ての品種を識別できた。また, この結果を用いて系統樹を作成したところ, 6つのグループに分けることができ, Z. matrella由来の品種はグループIとIVに, Z. japonicaといくつかの交配品種はグループIIに集まる傾向が見られた。グループVは全てZ. japonicaであり, グループIIIとVIは, それぞれ「ダイアモンド」と「エメラルド」のみであった。「わかば」は供試した他の3品種とは異なるグループⅣに属していた。マイクロサテライトマーカーは, 突然変異により作出された品種などは識別できない可能性があるが, 簡便性やコストの面から大変有効なツールである。今後, 育成者権を守るためにもさらに活用されることが期待される。
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