芝草研究
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47 巻, 2 号
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総説
研究論文
  • 田中 聡, 浅井 俊光, 片岡 知典, 及川 浩生, 今野 洋子, 水庭 千鶴子, 高橋 新平
    2019 年 47 巻 2 号 p. 95-104
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2021/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国の競技場における主要な寒地型芝草であるペレニアルライグラス (Lolium perenne L.) に対する補光の効果を明らかにすることを目的として, 室内実験を行った。2種類の色温度 (5,000Kまたは2,700K) の高光束密型Light emitting diode (LED) 照明装置を用いて, 光合成光量子束密度 (PPFD) と照射時間を変えて, 太陽光相当分と補光相当分の光を照射した。毎週, 草高を記録し, 刈高20mmで刈込み, 刈草の乾物重を測定した。28日後, 掘取り, 地上部と地下部の乾物重を測定した。総乾物重は, 処理5 (5,000K, 800μmol 8h), 処理8 (2,700K, 800μmol 4h) および処理4 (5,000K, 800μmol 4h), 処理2 (5,000K, 400μmol 4h), 処理7 (2,700K, 400μmol 4h) および処理3 (5,000K, 800μmol 2h), 処理6 (補光なし (2,700K対照区)) および処理1 (補光なし (5,000K対照区)) の順に, 大きかった。特に, 処理5の総乾物重は, 処理6および処理1の4倍となり, 地上部および地下部乾物重も同様の傾向を示した。したがって, 補光はペレニアルライグラスの乾物重を増加させたといえ, 処理5は, 耐踏性や損傷からの回復の向上の可能性がある。一方, 上方への伸長量は, 処理8において大きく, 処理4, 処理7, 処理2, 処理5および処理3がこれに次ぎ, 処理6および処理1において小さかった。すなわち, 色温度5,000Kの補光は, 色温度2,700Kの補光に比べて, 芝草の上方への伸長量を小さくした。乾物重の結果と併せると, 5,000Kの補光は, 地表付近に密度が高い葉群を展開させたといえる。また, 処理5および8は, 分げつ数や葉数が多かった。すなわち, 補光は, 発育速度の増加や利用開始までに必要な期間の短縮につながった。色温度は, 葉数の増加に必要な日数を短縮すること, すなわち, 発育に影響を及ぼすことが示唆された。これらの結果から, 高光束密型LED照明装置による補光は, ペレニアルライグラスの生育量の増大や, 発育を変化させる効果があることが明らかとなった。
  • 伏見 昭秀
    2019 年 47 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2021/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    シバ (Zoysia japonica Steud.) を主体する瀬戸内海地域の芝生畦畔の維持管理において, 5月, 7月, 9月の年3回の草刈りのうち, 7月の草刈りを抑草剤ビスピリバックナトリウム塩液剤の1回処理に代替することを検討した。2016年試験では, 6月上旬から7月下旬の剤一回処理と従来の7月草刈りでは, 9月の草刈り前における乗算優占度の合計 (m3/m2), 群落高 (cm) およびシバ被度 (%) は同様の傾向であった。2016年試験と同一の芝生畦畔を用いた2017年試験では9月の草刈り前の対照区を含めた乗算優占度の合計はチガヤ [Imperata cylindrica (L.) P. Beauv.] の優占によって, 2016年試験に比べて2.4倍に増加した。群落高は6月下旬から7月下旬の剤1回処理と7月草刈りで, ほぼ同様であったが, 6月上旬の剤1回処理では高くなり, 芝生畦畔の群落高として看過できなかった。また, 2017年試験では2016年試験に比べて対照区を含めたシバの被度は低下した。以上のことから, 抑草剤の処理時にチガヤの発生量が少ない場合には, 7月の草刈りを抑草剤に代替することが可能であることが示唆された。
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