都市部軌道緑化による表面温度低減効果について, 無潅水かつ連続無降水におけるバラスト軌道面 (以下非緑化区) および緑化面 (以下緑化区) の温度を定量化した。本研究では緑化区の表面温度が非緑化区の表面温度より低くなることを緑化による表面温度低減効果 (マイナス〜℃) として定義し, その効果を軸とした検証, 分析を行った。結果, (1) 緑化による表面温度低減効果は, 無潅水かつ連続無降水条件においても全体として存在した。統計処理結果から日中では研究期間10日中8日間5%水準で有意に, 夜間では10日全日1%水準で有意に, 緑化による表面温度低減効果が発揮された。 (2) 緑化による表面温度低減効果の最大値は, 最終降水日から7日目に観測された-6.65℃であった。 (3) 緑化区は連続した期間内において, 5℃毎に区分した温度帯のうち非緑化区で観測された高温度帯の出現時間割合を最大約10%低減した。 (4) 本研究で定量化した, 部分としての緑化による表面温度低減効果が, 赤外線温度分布画像を用いて面的に連続して存在することを追認した。本研究の対象である都市部軌道緑化による表面温度低減効果は, 無潅水かつ10日間の連続無降水条件が観測された中で, 日中は9日間5%水準で, 夜間は10日全日1%水準で有意に機能し続けたことをはじめて明らかにした。