ヒラタアオコガネに関する報告は少なく, 本州では稀な種とされていたが, 1979年頃から急に千葉県下のゴルフ場の芝草地で大発生し, 大きな被害を与えていることが関係者の間で話題となり, その防除対策が急がれた。吉田・山口 (1982) は本種による芝草の被害と発生経過について明らかにし, 筆者らはこの虫の飛翔行動と食性について調査した。
(1) 成虫の地上出現時期は4月20日~5月中旬で, 成虫は昼行性であり, 晴天の日の午前7: 00~11: 00の時間帯に多数群がって翔飛 (群飛という) した。群飛と気温, 照度との関係を調べた結果, 群飛するには30×10
4Lux以上の照度が必要であり, 23℃以上の気温は群飛を抑制していることが明らかとなった。また芝草上を群飛するのはほとんど雄であり, その目的は交尾のための雌の探索であると推察された。
(2) 群飛中に採集される個体がほとんど雄であるので, 芝草中 (40×40×20
cm) における性比について調査したところ, 群飛が起ると同時に芝草中の雌の比率は増加した。これは多くの雄が群飛のために地上に脱出したからである。群飛終了後の芝草中の性比は1: 1であった。
(3) 交尾行動は朝方の, 群飛が起る時間帯に芝草上で頻繁に行なわれ, 1頭の雌に多数の雄が群がり, 団子状を呈する現象がその時に見られた。
(4) 本種の成虫は広食性であり, ゴルフ場内では14科, 24種の植物を摂食した。特にツツジ, ヨモギ, サワフタギ, クヌギに多数集まり摂食した。
(5) 本種の防除適期は4月20日~30日頃で, しかも晴天の日の午前中に, 群飛しているフェアウエイーに薬剤散布すべきである。
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