ニュージーランドに自生する
Z.minimaと日本に自生する
Zoysia属植物との間で交配を行い, F
1個体の作出に成功した。そこで本研究では, 得られたF
1個体をRAPDを用いて雑種性の検定を行い, またF
1個体の形態的および生育諸特性の調査を行った。
Z.minimaとの交雑によって得られた10系統のF
1個体とそれぞれの親系統の葉身から改変CTAB法によってDNA単離を行った。選抜した31のランダムプライマーを用いてPCRを行った結果, 10個体の雑種系統は,
Z.minimaとの種間雑種であることが明らかとなった。また,
Z.minimaを母本あるいは父本とした種問雑種個体を組織学的に観察した結果, 今回作出したすべての雑種系統の葉縁は, 左右同型で肥厚した機械組織が葉縁大維管束を包む流線型のC-B型であることが明らかとなった。さらに雑種系統の花粉稔性を観察した結果, 80%以上の高い花粉稔性率であり, 多くの花粉は正常であることが示された。また, 雑種系統を圃場で展開した結果,
Z. minimaを母本として得られたF1個体は, 葉幅が狭く, 穂の形態も小さくなり, 草姿が小型化する傾向が見られた。今後, 種問交雑によって草型を小型化する方向で育種を進める場合には,
Z. minimaは有効な遺伝資源であることが明らかとなった。
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