芝草研究
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50 巻, 2 号
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短報
  • 池村 嘉晃, 藤崎 健一郎, 廿日出 正美
    2022 年 50 巻 2 号 p. 89-97
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,校庭の芝生化に適した土壌の物理性と化学性を明らかにすることを目的とし,芝生化してから数年経過した学校の芝生の品質と土壌を調査した。調査対象は,東京8校及び静岡2校とした。調査した学校は,芝生化が困難とされている1人あたりの芝生面積3 m2/人以下は無かったことから,どの学校においても芝生を維持することは可能だと考えられた。土壌の粒径分布は,粘土+シルトの率が25~40%程度の学校が2校,5~20%の学校が8校で,調査した学校は粘土やシルトが多い土壌であった。土壌栄養素の分析結果は,全校ともカリウム,カルシウム,鉄,マンガン,亜鉛,および銅において,望ましいとされる範囲を上回っていた。各調査地点で測定した芝生の環境要因(品質,被覆率,1人あたりの芝生面積,芝生化してからの年数),さらに土壌の物理性(表層硬度,地中硬度,表層抵抗),土壌の粒径,および土壌の化学性との相関係数を分析したところ,リンと品質の間に中程度(r=0.78)の相関が見られた。リンはほとんどの地点で望ましいとされている以上の量があったことと,多くの学校で,8-8-8や10-10-10などの複合肥料を使用していることを考え合わせると,リンは過剰気味で土壌に残る割合が大きく,累積施用量を反映しているためと考えられ,学校芝生の品質を律速しているのは,窒素であると考えられた。結論として,校庭の芝生化を成功させるには,定期的に適正量を施肥することが芝生の維持管理に重要だと考えられる。
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