対象及び方法 肘屈曲角度の変化による皮膚上の測定差及び尺骨神経自体の移動が神経伝導速度測定に及ぼす影響について健常人50名100肢に対して検討した. さらに, 伝導速度測定時の適切な肘屈曲角度を考察した. 肘関節内側上顆を基準点とし, 6cm近位部(以下AE)と4cm遠位部(以下BE)に印をつけ肘屈曲角度を変化させた時のAE-BE間の距離を各種測定機器を用いて測定した. また小指外転筋よりMCV(運動神経伝導速度), 小指より逆行性にSCV(知覚神経伝導速度)を各々の角度で測定した.
結果と考察 皮膚上の長さの測定値は, 測定機器による有意の差はなかった. 伝導速度の変化は130°屈曲で最大となり, 0°屈曲に比べ有意の差を認めた. 一方, 90°屈曲以上では分節性伝導速度に有意な差がなく, 90°屈曲以上の一定角度での測定が適当と考えられた.
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