【目的】膝前十字靭帯(以下ACL)再建術時において, 脛骨骨孔ルートの違いと術後膝前方制動性との関連を検討すること. 【対象と方法】自家膝屈筋腱を用いたBi-socket ACL再建術後の52例52膝を対象とした. これらを走行が異なる2つの脛骨骨孔を用いた2ルート群と, 近接する2つの脛骨骨孔を用いた1ルート群, 大腿骨の後外側(以下PL)束骨孔を内側ポータルより作製したポータル群の3群に分類し, 術後1年時のローゼンバーグ撮影による骨孔作製位置と膝前方制動性の差について比較検討した. 【結果と考察】大腿骨孔作製位置, 徒手不安定性テスト陽性率, KT-2000による平均前方移動量患健側差などには3群間で差は認められなかったが, 冠状面での脛骨骨孔走行角度には有意差を認めた. 本検討からは, Bi-socket ACL再建術において, PL束の大腿骨孔を適切な位置に作製可能であれば, 脛骨骨孔を2ルートとする明らかな必要性は見出せなかった.
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