目的:近年,インフルエンザウイルス(IFV)において薬剤耐性株が出現し始め,問題となっている.新たなIFVの予防法や治療法の開発を行うことを目的に,ハトムギ反応生成物 (Coix-seed Reactive Derivatives: CRD)エキスの抗IFV作用を検討した.
方法:MDCK細胞にH1N1 A/Puerto Rico/8/34(PR8)株を感染させ,CRDエキス含有培地で24時間培養した.24時間後に上清のみを回収し,上清中のウイルス力価をフォーカス法により測定した.PVPP処理によりCRDエキス中のポリフェノールを除去し,除去前のCRDエキスとの抗IFV作用を比較した.
結果:CRDエキスはPR8株の増殖を阻害した.また,Time of addition assayの結果,CRDエキスはIFVの吸着時を最も阻害していることが判明した.さらに,CRDエキスのPVPP処理による検討から,ポリフェノールが有効成分である可能性が示唆された.
結論:CRDエキスはPR8株に対して抗IFV作用を示し,さらにIFVの細胞への吸着阻害のみならず,IFVの増殖時においても阻害作用を示した.また,CRDエキスの抗IFV作用にはポリフェノールが関与していることが示唆された.
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